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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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闘う意味


「はぁ、はぁ、はぁ、まじかよ……全部ふさがれたとか……」


 攻撃が終わった蓮見は口で息をしていた。

 全速力を維持しながらの連続攻撃は体力を予想以上に使った。

 それでも得られる結果は今一つ。

 ダメージは殆ど与えられなかった。

 与えたのはかすり傷程度のダメージ。


「チッ……」


 額から汗が流れる。

 本気で勝てる気がしねぇ~と苦笑い。

 だけど――ワクワクもしていた。

 これなら《《アレ》》を使う相手には申し分ないと。

 後はどのタイミングで仕込み、どのタイミングで使うかだ。

 作戦決行の時まで絶対に途中でバレてはいけない。

 もし危険を察知し敵がこの場から逃げたら意味がないからだ。

 故に慎重かつ迅速にする必要がある。


「まぁ、いいや。とりあえずこのまま行く。スキル『破壊光線』!」


 大きく口を開け空気を吸い込む。

 スキルによって空中にあるエネルギーを可視化させ口の中で一点に集めることでとても小さなエネルギーの塊が出来る。

 徐々に大きくなっていく塊の照準は言うまでもなく決まっていた。

 ただし――今までのように簡単に対処されないように今回は一工夫する。


「あのエネルギー……まとめて味方ごと吹き飛ばすつもりか!? だっ――」


「ソフィ待て!」


「ルフラン! どうして止める!?」


「落ち着け。俺たちの後ろには大勢の仲間がいる。もしあの骸骨共が【神紅の神炎者】が倒した敵の数だけ骸骨を召喚できると仮定した場合アレの対処を失敗した時どうなるかを考えてみろ。そうすればルフランの言いたいことがわかるはずだ」


 仲間のピンチに慌ててるソフィにルフランとリュークが冷静に状況を分析して伝える。無数に骸骨がでるなどありえない。ましてやMPの消費が最初だけなどと。だったらどういうからくりでどういった効果があるのかを考えた二人は既に蓮見のスキルを初見でありながら見抜いていた。


「……なるほど」


 二人の言いたいことをソフィも理解したようだ。

 一瞬は冷静さを欠いたかと思われたが杞憂に終わった。

 だけど今の蓮見からしてみればどっちでも良かった。

 突撃してきたらルフランとリュークの思惑通りに破壊光線を放って後方の敵味方関係なく消し炭にして骸骨兵として復活させすぐに戦わせるつもりだったから。

 逆に来なければ来ないでいい。


 ――ゴクリ。


 三人の会話が終わるころ蓮見が大きくなったエネルギーの塊をゴクリと飲み込んだ。

 神災狐の体内の中で高エネルギーとなった粒子が暴れる。


「自爆特攻……か?」


 ルフランが細い目つきで睨むようにして蓮見を見る。


「残念ながら違いますね」


 言い終わると同時蓮見が三人に向かって正面から突撃。

 エネルギーの暴発を恐れる三人に対して蓮見は右拳に力を入れてルフランへと向ける。


「遅いぞ?」


 瞬間。

 ルフランの剣が目にも止まらぬ速さで向けられた右拳を切断。


 ――サッ。


「ん?」


 斬ったはずなのに斬った感触がないことに違和感を覚えるルフランを余所に蓮見はソフィとリュークにも攻撃していく。体当たりと尻尾を使った攻撃。


「作戦もなしにくるとは愚か」


「少しは学習しろ!」


 だけどこれも同じ。

 二人の武器は確かに蓮見を攻撃した。

 だけど感触がないのだ。


「にししっ」


 蓮見の武器。

 速さ。

 プレイヤーで一番速いのなら今まで一方通行だった攻撃にフェイントを入れればどうなるだろうか。

 敵は目で見て瞬間的な判断と感覚に頼って攻撃してくる。

 つまりは目でしっかりと見てからじっくり考えて攻撃して来ているわけではないのだ。

 言い方を変えればそこに弱点はあった。


「本命はここだ!」


 攻撃が外れ残像を攻撃した事実にようやく気付き驚く三人に九本の尻尾が間髪入れずに攻撃。

 咄嗟に各々が身体を捻り武器を盾にすることで直撃を回避。

 蓮見の本命それは――。


「態勢を崩した今が大チャンスだぜ!」


 三人の真上に位置を調整し大きな口を開け、先ほど体内に溜め込んだ高エネルギーの一撃を三人に向けて放つ。


「朱雀! 俺を護れ!!!」


 ここでリュークが初めて大きな声を上げた。

 生半可な防御ではこの一撃は受けきれないと判断したのだ。

 朱雀がリュークの声を聞いてリュークを護る盾になるような格好で二人の間にやってくる。


「俺のMPを全部くれてやる! 朱雀スキル『ゴッドエンドオブファイアー』だ!」


 リュークのMPを全て受け取った朱雀が不死鳥となった時のみ使える必殺のスキルを使う。女王を護る神炎隊《親衛隊》を呼ぶなら不死鳥は邪魔する者を灼熱の炎で燃やし尽くすとでも言いたげな光景にルフランとソフィが援護する。

 

「リューク力を貸す! アイツの一撃は当たり所が悪いとKillヒットもありえるぞ! スキル『聖剣エクスカリバー』!」


 魔法陣からエネルギーを受け取った剣が繰り出す最強の一撃。

 時が経ち再び【神紅の神炎者】へと向けられる。


「やはりお前はこれを使う相手に値する! いいぞ! 見事だと褒めてやる【神紅の神炎者】あああああ!」


 視界が悪くてもハッキリとわかるぐらいに眩しく神々しく光輝く剣。

 そこから放たれた究極の一撃。

 その圧倒的な力に放たれたら最後。とまで多くのプレイヤー間で噂される程に前回蓮見と対峙した時から進化したルフランの必殺の一撃でもある。


「それくらいわかってるさ! 神の領域に王手をかけた不死鳥の一撃はKill不可能な絶対の一撃だ!」


「これなら行けるか? だが念には念だ。スキル『雷撃浸食壁』!」


 雷撃浸食壁らいげきしんしょくへき

 七瀬が使う『導きの盾』の攻撃プレイヤー向け防御特化バージョンである。

 ソフィが蓮見に向けて手を伸ばすと、伸ばした手からバチバチと音を鳴らし雷が生まれ三人を覆うように広がり防御壁として作用する。

 その雷撃は純度が高く並大抵の攻撃ではびくともせず、耐久値はプレイヤーMPゲージとちょっと変わった仕組みになっている。維持するのにもMPゲージを消費し攻撃を受けたらその分だけプレイヤーのMPゲージを消費して攻撃を防ぐ役目を果たす。雷撃浸食壁はある意味攻撃を捨て防御に特化したスキル。それでも次の攻撃に出る前に負けては意味がないと警戒したソフィに油断も隙もない蓮見だったがやることは変わらない。

 目の前で何があろうと渾身の一撃を三人に向けて放つだけだった。


 

今年も一年本作品を読んでいただきありがとうございました。

とても嬉しく思います。

皆様にとって来年良いお年になることを心から祈っております。

可能であれば本作品が皆様の娯楽の一部もしくは暇つぶしの一部など少しでもお役に立てればと思って来年も最終話に向けて更新していけたらと思います。

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