表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

591/685

一つ目の最大の武器


 鋭い眼光が見つめる先では三人の猛者が武器を構え、真剣な眼差しで蓮見だけを見ていた。周りの悲鳴が聞こえていないのか敢えて気にしていないのか蓮見にはわからない。ただ見つめ合っただけで目に見えない何かが全身に突き刺さる感覚を与えてくる三つの視線はどれも生半可な脅しではびくともしないことだけはわかっていた。


「……動いてこないなら、、、こっちから行くぜ!」


 殺傷能力が高い鋭利な爪をむき出しにして一直線に飛び込む。

 それを合図に手が空いている骸骨兵がリュークの召喚獣にも襲い掛かり足止めを開始。

 最速で最短ルートでの突撃は目にも止まらぬ速さ。

 そのまま大きな口を開ける。


「いただきまーす!」


 まず狙ったのはソフィ。

 大きな歯は一撃で相手を仕留めるほどに鋭利。

 それを勢いよくタイミングを合わせて閉める。


「ふっ、甘いぞ神炎者!」


 蓮見の一撃をバックステップで躱すソフィ。

 だがこれで終わりでない。

 九本の尻尾が両サイドに居るルフランとリュークへ攻撃。

 炎を纏った尻尾が勢いよく二人に襲い掛かる。


「斬り落とす!」


「叩き切ってやる!」


 尻尾の攻撃を躱すだけでなく、剣もしくは大剣を使い反撃してくる二人。

 ただ残りのHP量からも苦しんでいる暇もない。

 そこで勢いを殺さず攻撃に使った反動を利用して前転しながらソフィへと突進する。


「来る方向が分かっていれば後はタイミングを合わせるだけだ。スキル『雷光の一突き』!」


 ソフィが半身になり肩幅に足を広げ構えると、構えたレイピアの先端からバチバチと音を鳴らし出現した雷。

 鋭い一刺しが突撃した蓮見の頭部に直撃。


「うわぁぁああああああ!」


 全身を襲う雷と脳天を襲うレイピアの痛みに蓮見が悲鳴をあげ地面へと落ちていく。

 痛い。

 全身が。

 己のアドバンテージであるスピード任せに安易に突撃したために返り討ちにあった。

 ただしこれが普通のプレイヤーなら蓮見の突撃にここまで対処してくることはなかったのだろう。

 ただ今回は相手が悪かったとしか言いようがない。

 今対峙している三人は美紀と同等程度の実力者たち。

 真っ向勝負して勝てるほど甘くはなかった。

 オンリーワンの速さを持つプレイヤーが速さの一点に賭けて勝負してもパーフェクトプレイヤー級と呼ぶに相応しい実力者の前では無力なのかもしれない。

 そんなプレイヤーたちが痛みで意識が飛びそうになり自由落下する蓮見を追いかけて猛スピードで急降下を始めた。


「チッ……休む暇もくれないのかよ」


 それでも蓮見の最大の武器は人が神災と呼ぶ物と速さ。

 一度敗北しステータスダウンはしている。

 それでも純粋な速さだけなら蓮見は誰にも追いつけない速さを持っている。


『――ったく容赦がねぇ。

 これじゃ美紀とお母さん並みだな。

 せめて七瀬さんと瑠香ぐらいにして欲しいもんだぜ。


 だけどあの二人相手に修行して気付いたんだ俺。

 俺の最大の武器の一つは――速さ!』


 蓮見の目はまだ死んでいない。


「俺はまだ負けてねぇ! スキル『咆哮』!」


 鼓膜を破ると勘違いするぐらいに大きな咆哮が三人の動きを鈍くする。

 その時間を利用して態勢を整え、飛翔する蓮見。

 障害物がない空中。

 それは隠れる場所がない変わりに蓮見が自由自在に動けることを意味していた。


「こうなったら数で勝負! スキル『連続火炎弾』!」


 三人が散開しお互いに距離を取り回避スペースを取るが今の蓮見には関係ない。

 三人を囲むようにして神災狐の残像が出現。

 最高速に達し口から炎の玉を連発して放つ神災狐はまるで今回のラスボスのように一筋縄ではいかない。

 追い込んだら追い込んだだけプレイヤーたちが不利になるのだから。

 蓮見の熱い闘志に呼応するように骸骨兵も欲望のままにプレイヤーたちへと襲い掛かっている。

 つまりはラスボスを倒さない限りプレイヤー(三強ギルド)に勝機はない。

 逆を言えば蓮見が倒れない限りラスボス|《深紅の美》に敗北はあり得ないというわけだ。


 防御が遅れまともに受ければ一撃死の炎が三人を襲う。


「例え炎だろうがどさくさに紛れてやってくる骸骨兵だろうが俺の剣は全て斬る! スキル『高速十六連撃』!」


 炎の玉だけでない。

 不意打ちで炎に身を隠しやってくる骸骨兵も一緒に己の剣で切り裂いていく剣捌きはやはり一級品と言える。

 ルフランは同じスキルを連続で使うことで高速斬りを繰り返すことで蓮見の攻撃を無力化する。


「なるほど。確かにこれなら簡単には私でも捉えることはできないな。まずはこれの対処からするとしよう。スキル『電光石火』!」


 ルフランとは違い華麗な高速移動から放たれる鋭い突きが不意打ちで襲い掛かる骸骨兵の頭部を一撃で撃ち抜き無力化し炎の玉は全て躱すソフィ。派手な技ではないが、実力者が使うからこそ地味だからこそ強力なスキルとなった『電光石火』が蓮見の速さに対抗する術をソフィに与えたのだ。


「炎で攻撃とは……ふっ、甘いな。全てを怒りの業火で燃やし尽くせ、朱雀! 不死鳥となったお前の力を見せてやれ!」


 人を止め神災狐となった蓮見の残像とリュークに向けて放った攻撃が別方向から飛んできた巨大なオレンジ色の炎によって全てかき消されてしまう。


 これが力の差。

 後一歩でダメージを与えられると思ったら振り出しに戻る。

 悔しいが一筋縄ではいかないのはお互い様のようだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ