【異次元の神災者】と【神炎の神災者】の名を持つ者が参戦!
深紅の美ギルド一同も飛んで戦闘状態に入っていく。
「どう考えてもこの数私たちが不利。作戦は?」
七瀬が美紀に尋ねる。
蓮見に聞くよりここは美紀に聞いた方が連携を取るという意味でも良いと判断してのこと。
「苦しいのは百も承知だけど、生き残ることを最優先にして次に可能な限り紅の援護と敵を倒してポイント稼ぎ。敵の本命は間違いなくこっちは紅のはず。というか多分全ギルド考えていることは同じだと思うから」
「ってことはやっぱりギルド長?」
「そう。どんなに強いギルドでもギルド長が倒されれば少なからず動揺する。それは皆わかっているはず。だからチャンスがあれば――」
美紀の言葉を先回りするように瑠香が口を開く。
「――ギルド長の首ですね?」
「そう」
「これは骨が折れそうね」
「あら、いいじゃない。私はこういうピンチの状況の方が燃えるわよ」
「お母さんの場合はこの状況で負けるっていう考えがないから楽しめるだけでしょ?」
「まぁ~ねー。ってことでダーリン私も久々に行くわ!」
「了解です! 俺様もお母さんに負けないぐらい全力で行きます!」
蓮見が速度をあげて敵陣へと突撃した。
神災狐となった蓮見は目立つ。
だけど神災モードとなっていることでその速度はプレイヤーの時と同じく全プレイヤーの中で断トツに速く簡単には捉えられない。例え一度敗北しステータスダウンを喰らっていても速さに関して言えば殆ど支障がないと言っても過言ではないぐらいに他プレイヤーよりも蓮見はステータスポイントを振っていた。
「やっぱりコイツ速い!」
「スキルを使った私以上の速さ!? 一割減でこれとかうそでしょ?」
「正に異次元の速さを持ち神炎の業火を扱う男。面白いならば受けてみよ! 我が剣術を秘奥義一閃抜刀!!!」
スキルではなく己のプレイヤースキルだけで放たれた目にも止まらない抜刀術が向けられるも日頃からトッププレイヤーから命を狙われ神災モードとなった蓮見からすれば無名のプレイヤーが放つただの剣術など止まって見える。
「ん?」
さッと横を通り抜けて「なにがしたかったんだ?」と本気で首を傾けた。
そんな意味のないことはするなよ~と蓮見が思う男、実は剣職の中ではかなりの実力者でそこそこ名が知れていたりするのだが、情報収集を全くしない蓮見からすればただのそこら辺のプレイヤーと何一つ変わらない。ただ装備が豪華でコイツもお金持ってるのか……クソッ! ぐらいにしか思わない。
「誰でもいい【異次元の神災者】を止めろ!!!」
「申し訳ございませんがお覚悟を【神炎の神災者】様!」
「アリス! 行きますよ!」
「オッケーでーす!」
飛んでくる攻撃の数々。
だけど――。
今の蓮見はそこら辺のプレイヤーでは誰も止められない。
止めるには蓮見が速過ぎるのだ。
一般の多くのプレイヤーが【異次元の神災者】。
神災教の一部の者や神災教よりの一般プレイヤーたちが【神炎の神災者】。
と彼の業績を称え彼を象徴する名として呼ぶ名前である。
どちらも同じ人物を現しておりその名はネットを介してとても有名であり、同じゲームをプレイしている者たちの中で彼の名を知らない者は極一部とまで言われている。
だが今回のイベントでまたしても偉業を成し遂げた蓮見はその二つの名を超えるさらなる偉業を成し遂げようとしていた。
それこそが蓮見の追い求めた理想の究極全力シリーズ。
「へへっ。里美には上手く誤魔化したが今度は三度目の正直になればいいけどな」
ボソッと呟いた蓮見の表情はとても柔らかく目がキラキラと輝いている。
「究極全力シリーズに昇華した超新星爆発。今度はソレで皆の度肝を抜いてやるぜ。にししっ~」
そもそも超新星爆発とは一般的に星が一生の最期に起こす宇宙最大の爆発現象のこと。その意味を蓮見は正しく理解しているのだろうか。今まで理解して使っていなかったと仮定してもイベント専用ステージは先ほどの一撃で限界を超えるか超えないかの所まで追い込まれ、運営の助力の元復活したばかり。となると、もし蓮見が意味の理解云々関係なく感覚的にそれを実行しようとしたとき、運営は、社長は、プレイヤーは、神災信者やファンは、一体何を思いどうすることが正解なのだろうか。
「フフッ、待ってろよ! 今度こそリベンジしてやるからよ!」
それを見つけてみろと言わんばかりに蓮見が突撃してやって来た集団は、ルフランとソフィが激しくぶつかり合い綾香とリュークが派手なスキルを使い戦っている最も火花散る場所でありハイレベルな戦いが繰り広げられている場所でもあった。
「ただいま参上! 俺さまー参戦からのぉ~スキル『火炎放射』!」
だけどこれは全員に簡単に躱されてしまうも乱入には成功した。




