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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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Last Battle 開幕


「紅? 行けそう?」


 敵は待ってくれない。

 それはこの場にいる者なら誰もが雰囲気からわかる。

 心配そうに語りかける美紀の言葉に「あぁ」と小さい声で返事をする蓮見。

 大きな身体がゆっくりと動き始める。

 ここで運営の頑張りで全ての処理が正常に実行される。

 そして自動発動スキルが正常に発動した。

 神災モードの象徴である水色のオーラが全身に纏わりつく。

 周りからみたソレは正に神災そのものの復活に見えるのかもしれない。

 蓮見のHPゲージは自らの攻撃を受け一割以下と一見大ピンチにしか見えないが、蓮見と戦い拳を交えた者たちは知っていた。

 後一歩で勝てる時の蓮見が一番手ごわいなのだと。


「う、ごけ、うごけ、うごけ、うごけ、うごけ、動け、動け、動け、うごいてくれ俺のからだ」


 声に反応するように大きな身体が立ち上がった。


「……えっ?」


 それを見た美紀が思わず声をあげた。


「ちょっと紅君?」


「紅?」


「紅さん?」


「だ、ダーリン?」


 美紀に続いてエリカ、七瀬、瑠香、朱音も驚く。

 味方だけでなく敵も一緒だった。

 気合いを入れ皆の為にと頑張って立ち上がった蓮見は四本足で立った。

 わけではなく、二本足で立ちあがったのだった。

 形態を間違えて人間のように二本足で立ち上がった神災狐。


「マジか……」


 幼馴染で蓮見に対して理解がある美紀でもこの反応。

 両手をポキポキと鳴らして戦闘態勢に遅れて入った蓮見自身からは今まで二本足で歩いたり走ってましたと言われても違和感がないぐらいに自然体でいるように感じられる。

 また背中には巨大な翼と背後に見える九本の尻尾は人間の時にはない物だが扱いに慣れてきたのか蓮見の意思で動かしているようにも見える一同は一瞬言葉を失った。


「もしかしてソレ自由自在にもう動かせるの?」


 美紀の言葉に首を縦に動かして頷く蓮見。


「おう。大分慣れたからよ!」


「そ、そう。ならいいわ……うん」


 戸惑い隠せない美紀。

 ついこの間まで人間だと思っていた幼馴染が人外の姿でも違和感なく動いていると言う事実は美紀にとってはどうやら衝撃的だったらしい。

 他のギルドメンバーは「「「「あぁ~、、、」」」」となにかを察したような言葉を呟いている。


「へへっ、心配するなって。武器もアイテムも殆どないけど俺頑張るからよ!」


「一応聞くけど。頑張ったら上空にいる全員相手どって勝算はあるのよね?」


「ない! だけど……」


「なに?」


「今の俺なら…………もしかしたら…………」


 その言葉に息を飲み込む敵と味方。

 一番聞いておかなければいけない超重要事項はどうやらこの戦場にいる全員が同じようだ。

 蓮見の回答次第では一対三と言う不条理な戦いがこの後起こるかもしれない。

 逆を言えばそれだけ警戒されているということ。

 やはり最恐は蓮見を置いて他にはいない。


「ふっ」


 鼻で笑いそんなこともわからないのか?

 と、珍しく大きくでる蓮見。


「まぁ、見てな。今からこの状況を打開する何かを頑張って考えるからよ」


「は!? ないの!? こんだけもったいぶって!!!」


「……すみません」


 怒る美紀に謝る蓮見。

 なんだいつもの二人か。

 安心する一同。

 だけどこの時エリカと朱音だけは「「考えると言ってる時点で……」」と蓮見の過去の事例からなにかあるかもと踏む。

 多数派の思い通り二人の杞憂で終わるのか、少数派の二人の杞憂が現実になるか、これが【深紅の美】ギルドの命運をもしかしたら変えるかもしれない。

 そう思えばエリカと朱音からしてみれば可能性の問題として考えておかなければならないことだった。

 ただし皆には言わない。

 言わない方が蓮見にとっては結果的に良い方向に物事が進むかもと考えたからだ。

 そして蓮見と美紀の痴話喧嘩の内容から四ギルドの敵は一つに絞られることはなくなった。




 ――。


 ――――。




 蓮見と美紀の痴話喧嘩が終わったタイミングで本当に何もないと確信した【ラグナロク】【雷撃の閃光】【灰燼の焔】そして数秒遅れて【深紅の美】の四ギルドが一斉に動き戦闘が始まった。

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