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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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落とす所まで落として……か、ら、の、、、


「なんで私たちより紅の方がダメージ大きいのよ」


「そうだよね。どうしていつもいつも術者が一番ダメージ受けてるのかが私には不思議で仕方がありません。里美さんもそう思いますよね?」


 心の中で思った疑問を敢えて蓮見の近くに来て言うことで疑問解決を図ろうとする七瀬と瑠香。

 そして瑠香の質問に、


「それは私が一番聞きたいわよ」


 と諦め半分にもしかしたら答えが返ってくるかもの期待半分の美紀が答える。

 味方プレイヤーの身体を一時的にドット化したり半透明化させた男の方が自分たちより疲弊し衰弱している。

 それが一度目なら周りもまだ納得できると思う。

 だが蓮見に限っては短時間で二回目。

 よって美紀たちは素直に心配な気持ちとは別に意味がわからないと思わずにはいられない。


「あっ! 皆こっちよ~!」


 声が聞こえたことで気配に気付いたのか横たわった蓮見に付きそってていたエリカが手を振って皆を呼んだ。


「……からだが、おもい、し、いたい」


 元気なエリカとは違いこちらは元気がない蓮見。


「それにしてもこの毛並みふさふさで肌触り良いわね」


 元気がない蓮見の身体を手で触りながら歩く朱音が呟いた。


「お母さん?」


「なに?」


「もしかして紅なら姿がなんでも許せる感じとか言わないよね?」


「え? そうだけど?」


 エリカと同じく見目形がどれだけ人から乖離しようともその正体が蓮見なら受け入れるのが当たり前のような顔で小首を傾ける朱音とそれを見て呆気にとられる七瀬。

 母娘でも受け入れられる許容範囲が微妙に違うらしい。


「てかこれ……」


 そんな母娘の会話を耳にした美紀が疑問に思ったかのように口にする。


「私のスキルに似ている気が……する……ん?」


 勘のいい美紀が何かに気付いたようだ。

 蓮見の視界に入って、


「一応確認ね。これ私のスキルパクった?」


 その言葉に僅かに首だけを動かし肯定する蓮見。


「それで見た所ボロボロだけどもしかしなくても自分の攻撃を喰らってこうなったってことでいいのかしら?」


「……はい」


「また無計画に暴れたの?」


「……はい」


「それなら私たちギルドメンバー巻き込んたことに対する事実についてなにか言うことはないの?」


 ただ怒るのではなく事実確認をした上で慈悲を与える美紀に恐縮する神災狐《蓮見》を見たエリカが助け舟をだす。

 ただし美紀の立場を考えれば副ギルド長としての言い分は正しく間違っていない。


「なんでそんなに冷たい言い方するの?」


「それはそうでしょ? 私たち仲間を巻き込んだのよ? これはチーム戦。個人戦じゃないんだから」


 心に刺さる物を感じる蓮見。

 美紀の気持ちはよくわかるからこそ反論はできない。

 素直に謝ろうとしたその時だった。


「逆になんで毎回巻き込まれてるのに少しも学習せずに紅君の攻撃範囲内にいつもいて巻き込まれてる里美に紅君が謝らないといけないわけ?」


「「「「はっ?」」」」


 これには近くに会話を聞いていた母娘とは別に蓮見もビックリしてしまった。

 まさか発想を逆転させることで善と悪を逆転させたのだ。

 確かに誰を中心に考えるかでこの手の問題は解決の手段が異なってくる。


「えっと……エリカ?」


「だってそうでしょ? なんでいつも里美は里美を中心に物事を考えるわけ? 少しは紅君の立場も考えてあげてもいいじゃない」


「エリカさん……」


「紅君はね、里美たちより弱くてあの手この手がないの。だから相手に勝つためにいつも全力を出しているに過ぎないの。相手に手加減した状態で勝てるほど綾香もルフランも弱くなかったし、これくらいしなきゃ勝てない相手だった。だからしたの。そうよね? 紅君……あれ?」


 なぜか蓮見の心は護ってくれていると思われるエリカの言葉に肉体的ダメージとは別に精神的なダメージを受けたらしく目から透明の滴が気付けば流れていた。


「いや……まぁエリカの言葉も一理あるし……そのね、……否定はしないけど……アンタ……言葉は……もう少し、、、選びなさいよね」


「紅君……」


「もう知ってると思うけど紅のメンタル……強くないわよ?」


「里美……」


「なによ?」


「もしかして私が止め刺した感じかな?」


「状況から察するにそうとしか言いようがないわね……」


 怒っても言葉にはいつも気を付けている美紀。

 幼馴染だからこそ。

 大切な存在だからこそ。

 小さい頃はずっと近くで見てきたからこそ。

 蓮見の心が今どういう状態なのかを常にある程度コントロールできる美紀から見た蓮見は目が点になり意識が此処にあらずになっていた。


「これは……しばらく時間がかかりそうね、はぁ~」


 最後は大きなため息をついた美紀。


 だけどこの時。

 皆が忘れていた。

 蓮見は今一つの肉体に二つの魂を宿していることを。


 なにより純粋無垢な少女の魂が今なにを考えているのかを。


 過去を振り返れば――美紀、エリカ、瑠香、七瀬、朱音の五人は蓮見をからかったり時には色気を使った意地悪してみたりと気を惹こうとしてあの手この手を使っていた。

 言い方を変えれば蓮見に対する好感度が高い異性程蓮見のことを熟知しており彼の内なる原動力に意図的に干渉しやすい。

 そして好感度と言えば……ある少女も例外ではないのかもしれない。


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