回想――なにが起きたのか究極全力シリーズで
「これが今の私の全力だよ! 邪魔する者を穿つため雷を纏いて最強の一突きを繰り出せ、雷光一閃!!!」
綾香が麒麟の背中が飛び降りてレイピアを地上にいる蓮見へと向けて急降下を開始。
レイピアの先端で空気を切り裂いていく。
ただしただのレイピアではない。
先端が麒麟の角に集めた高電圧の雷撃を帯電したことで青白く眩しい光を放っている。
その姿はまるで空から落ちる落雷のように荒々しく強力で見るものを圧倒するだけの力を秘めておりそれは見た目だけに留まらない。道中蓮見に向けたスキルに綾香が少し触れただけで剣圧と高電圧による影響でスキルが消滅する。
道中邪魔な味方のスキルを全てかき消しながらも、どんどん速度をあげていく綾香はレイピアに溜めた雷を全身に纏うことで攻撃、防御、速度のステータスを上昇させていく。
対して。
「今だ! 《《俺様究極全力シリーズ》》、真究極大爆発パレード(シンアルティメットビッグエクスプローション)!」
”ウオオオオオオオオオ!!!”
大きな声と大きな方向が戦場へと響いたことがスイッチとなり、蓮見の《《第二弾》》究極全力シリーズが発動する。
そもそも究極大爆発パレードとは、【神眼の天災】改めて【神眼の神災】になった時に使った技でありその正体は粉塵爆発。
蓮見がここに来ると同時に誰の目にも映ることなく地中で主のため一生懸命に働いたメールとモグラ君一同の頑張りった成果とも言える。ただし考案者と実行者は共に蓮見であり、一同はあくまで蓮見の代理として下準備をしただけ。
「エリカさんどこでもいいので穴に爆弾を投げてください!」
「はい!」
穴に入っていく爆弾を見て、
「爆発!」
とタイミングを見計らい蓮見が口にする。
「はい! 爆発!」
エリカが復唱し、アイテムを遠隔で操作できるスキルを使い投げた爆弾を強制的に爆発させたことが原因でモグラ君が無作為に掘り進み地下迷宮となった地下の中で舞っていた龍の粉と適度な感覚で置かれた聖水瓶Ver2にも引火していく。
僅か数秒で小さな爆発が大きな爆発へと進化。
無計画に地面を掘り進んでいたため地盤がかなり緩んでいたこともあり爆発が地面を押し上げながら水柱が出現した時に出来た穴から炎柱が吹き上げる。それでも大きなエネルギーを得た爆発にとっては逃げ道が全然足りないため、蓮見が立っている所から崩壊が始まる。その勢いはとても速いため見てから逃げようなど考える頃には数百メートルの地面が崩壊し地中から大規模爆発が顔を出し地上で暴れ始め、更に数秒後には空中にいる者たちを飲み込もうと深紅色の炎の海の波がプレイヤーを襲い始めた。
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息が苦しい。
「う、うごけない……」
自らした行いで今世界がどうなっているか知らない男は自分の攻撃を受けて疲弊したと勘違いしていた。
そのため、強引に身体を動かそうと頑張ってみるも残念ながら一ミリも動いてくれない。なぜか言葉だけは発せるようだが。
色々な所で思わぬ誤算が起きた世界は空には煤煙が舞い少し前まで青空だった空が今は薄黒く暗黒の世界を作ろうとしている最中だった。
当然それも途中で止まっているが、蓮見はそれにまだ気付いていない様子。
「くっ……やっぱりこのシリーズは安易に使えないか……身体に対する負担が尋常じゃないし、なんかくらくらするし……」
自分の技の威力や効果範囲を全く把握していない蓮見は「めまいもする……」と体調不良を訴え始めた。




