小悪魔になった美紀
「お待たせ~……じゃなくてまだいたのか……?」
「うん。どうせ家に帰っても誰もいないから」
「それはそうだろうけど……。んでいつまでいるつもりなんだ?」
「明日の夜」
美紀の隣に行きベッドに腰を下ろした蓮見の言葉が止まる。
てっきり用事が終わったら帰るだろうと思っていた為に蓮見はどう反応するかを考えていると、雑誌を閉じて美紀がこちらを見てくる。
「約束したじゃない?」
「約束?」
「うん。蓮見がイベント中好きにしていいって変わりに今夜は一緒に寝て明日は勉強をするって」
その言葉に蓮見が「う~ん」と言って考える。
すると確かにそんな事を言った記憶が合った。
「確かに……。でも今日はいつも以上に疲れてて美紀の相手をする気力がすでにないんだが……それでもいい?」
蓮見は第二回イベントでいつも以上に頑張って動いていた為に身体がクタクタだった。
首の骨をポキポキと鳴らしながら美紀を見る。
「うん。なら今日は蓮見が頑張ってくれたお礼に私が特別にマッサージをしてあげるわ。ありがたく思いなさい。さぁ横になって」
美紀は蓮見の身体をベッドに寝かせるとそのままマッサージを始める。
今まではいつも逆だった立場に蓮見が嬉しくてほほ笑む。
すると美紀は少し照れくさそうに顔を赤くした。
「ねぇ蓮見、蓮見が今回頑張ったのって私のためだったりするの?」
腰を揉みながら美紀が質問してきた。
だけど正直に話すのはやっぱり照れくさいので蓮見は曖昧に誤魔化す事にした。
「美紀がそう思ったんならそうゆうことだろ。多分な」
すると、美紀が柔らかい表情で頷く。
「そっかぁ。蓮見?」
「んっ?」
「ありがとう」
「うん。……って恥ずかしいから誤魔化したのに素直に言うなバカ!」
「だと思った。蓮見って昔からどうでもいい事に限って変なプライド持って誤魔化す癖あるもんね。あはは~」
美紀はマッサージをしながら楽しそうに笑い始めた。
その声は本当に楽しそうで、嬉しくも恥ずかしい気持ちにさせられたので蓮見は枕に顔を埋めて美紀から顔が見えないようにした。
「あれぇ~顔を隠して、【神眼】様はどうしたのかなぁ~? 女の子にマッサージされて欲情したの? それとも何か恥ずかしい事でもあったのかなぁ?」
本当に楽しそうに笑いながら蓮見をからかってくる美紀は小悪魔にしか見えなかった。
「ん~それとも下心を隠すのに必死なのかなぁ~?」
こうなった美紀は中々止まらない。
耳元でささやき言葉を発する美紀から微かに香る甘い香りに蓮見の神経が刺激される。
蓮見は赤面しながら枕から顔を離す。
「違う。ってか美紀からかうな!」
小悪魔としか言いようがないような満面の笑みで今度は顔を近づけてくる美紀。
美紀が今日来ている服は胸元が見える服だった。
童貞蓮見の心を持て遊ぶように胸元が見えるように強調してくる。
蓮見の視線が頭ではダメだと分かっていてもつい大きい胸に視線が誘導される。
「んっ? 何のことかな? それで何処見てるの? あぁ~もしかして触りたいのかなぁ?」
――コイツ確信犯か!
と蓮見の頭が理解する。




