お風呂上り
カレイの唐揚げはホクホクした身に、中から奥深い味わいが口の中で広がり旨味の成分が口の中でジュワ~と広がっていく。あまりの美味しさに蓮見の目が大きくなり、食べる事に夢中になる。つい料理の感想を言う余裕が一瞬でなくなってしまった。
「んんっ~!!!!!!」
美紀はそんな蓮見を見て、一安心する。
「良かった……てか反応がわかりやすいわね」
蓮見を見ているとなんだかとても嬉しい気持ちにさせられる美紀。
素直に喜んでくれるからこそ、何かをしてあげたくなるのは母性なのかもしれない。
安心したので美紀もご飯を食べる事にする。
好きな人と一緒に食べるご飯はとても美味しく感じる。
食欲だけでなく心まで満たされた美紀は、美味しそうにご飯を食べる蓮見を見て幸せな気持ちで一杯になった。
「ふふっ。ほら、ちゃんと噛んで食べなさい」
食べる事に夢中な蓮見に残念ながらその言葉は届いていないように見えた。
だけどそれ以上美紀が蓮見に何かを言う事はなかった。
蓮見がご飯を食べ終わり、手を合わせて言う。
「ごちそうさまでした!」
「は~い。そのままお風呂入っておいで。準備終わってるから。その間に私後片付けしておくから」
「でも……それは……流石に悪いし」
「ほら、いいから早く行ってらっしゃい。お湯が冷めちゃうからね?」
「あっ……うん。美紀ありがとう」
蓮見は美紀にお礼を言って甘える事にした。
そのまま後片付けを任せた蓮見はお風呂場に行く。
美紀に言われるがまま服を脱ぎシャワーで身体の汚れを洗い流した蓮見は湯ぶねに浸かっている。疲れた身体には気持ちよく、冷えた身体には最高に気持ちいいと感じるお湯加減だった。
「ふぅ~、気持ちいい~」
つい心の底から言葉が出てきた。
すると、扉越しで美紀のシルエットが見えると同時に声が聞こえてきた。
「タオルと着替えココに置いておくから」
「あぁ~悪い。美紀ありがとう!」
蓮見が美紀にお礼を言うとそのまま美紀は何処かに行ってしまった。
この時、蓮見は少し寂しい気持ちになった。
今は何かと優しくて世話を焼いてくれる美紀がいつかは誰かと付き合うことになれば自分の隣にはもう居てくれなくなるかと思うと嬉しくも辛い感情が押し寄せてきた。
最近美紀とずっと一緒にいたせいか今までなら思いもしなかった感情が自分の中で芽生えだしたと実感していた。
幼馴染としてはそれで美紀が幸せなら応援してあげたいがどこか複雑な気持ちに大きくため息を一度吐いてしまう。
「これが当たり前と思ったらダメなんだよな~」
天井を眺めながらふとそんな言葉が口から出てきた。
「まぁ美紀は俺の事をただのゲームを一緒にする幼馴染程度にしか思ってないだろうし今はこのままでいいか」
蓮見は自分に言い聞かせるようにポツリと呟いた。
――お風呂を上がって自分の部屋に戻ると、ベッドの上で女性向けの雑誌を読みながら足をパタパタと動かしている美紀がいた。




