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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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【深紅の美】ギルドの緊急作戦会議


 神災竜で構成された神災四天王が敗れた事実は――【深紅の美】ギルドにとってかなり大きな痛手となった。


 そんな中蓮見は一人拠点の片隅である物を見つめていた。

 ただし周りから見れば背中を見せて酷く落ち込んでいるようにしか見えない。


『聖水瓶ver二:大危険(試)』と書かれた瓶である。

 今までの聖水瓶とは一味違う聖水なのだがこれはうっかりエリカが製作途中に目を離した隙に偶然それを見つけてしまった蓮見が出来心でイベント前に盗んだ品物。


「う~ん。これを使えば俺ってばまだまだ活躍できそうなんだけど……使ったら盗んだのバレてエリカさんに怒られそうだけど……。そもそも【火】【水】厳禁ってどういう意味だろう」


 とても小さい声でぼそぼそと呟きながら、チラチラと拠点の片隅から中心部に集まった集団へと視線を向ける蓮見。

 知識に乏しい蓮見はこの瓶の中身のことをよく知らない。

 ただ何となく危険と書かれている以上、なんか凄そうなんだよな~、的な感覚で興味をそそられているだけ。

 そんなわけでエリカに中身がどうなっているのかすら聞けない蓮見はこれをどうやって使えば効率的に使えて、これは従来の聖水瓶とどう違うのか、そう言ったことが何一つわかっていない。なので、どうしても聞きたい蓮見だが、エリカはどうやら美紀の対応で忙しいそうだ。


「ちょっとこっちに来なさい、エリカ! 紅になにしたの!?」


 美紀に大きな声で詰め寄られるエリカ。

 それを見て蓮見はここで安易にエリカを庇い手に持っているものの説明を求めた日には自分も間違いなく怒られると思いここは一人できる限り存在感を薄くし事が収まることを静かに待つことにした。


「お、落ち着いて里美」


「アンタ誰が【ラグナロク】【雷撃の閃光】【灰燼の焔】プラスアルファ私たちの度肝を抜いてこいって言ったのよ!? おかげで一回死んでるわ、スキルめっちゃ使うわ、アイテムだってなんだかんだ使ってくるわで紅の戦力大幅にダウンじゃない!!! それに三大ギルドだけならず他のギルドにも今こそ私たちを潰す好機って思われた可能性だってあるのよ!!!」


 蓮見の火力は持続性に欠ける。

 その多くはアイテムやスキルの複合による大規模な攻撃。

 そのため燃費の悪さは相変わらず改善されていない。

 それに神殺しの礼装シリーズを装備した相手では従来の俺様全力シリーズや俺様超全力シリーズの一部では火力不足で倒す以前に致命傷すら与えることが上手くできない。状況としては最悪だ。

 なにより一度負けてしまったことで蓮見のステータスは既に全て十パーセントダウンしている。

 これではもう蓮見の取り柄であるAGIもその輝きを失い真価を発揮することはもうできないかもしれない。


「ち、違うのよ! これには事情があるの!」


「事情?」


「そ、そうよ、ちゃんとした事情があるのよ……これには」


 美紀相手に弁解するエリカに七瀬が声を掛ける。


「事情とは一体なんですか?」


「そ、それは……甘えただけでは物足りず悪戯を少しだけ……ね?」


 最後は同情を求めるように片目ウインクで誤魔化すエリカの頭上に美紀の鉄拳が振ってきた。


 ――ドンッ!!


「っいたぁい!!!」


「ん?」


「……なんでもありません」


 頭部を抑えて涙目になるエリカを見た瑠香が思わず、


「痛そう……」


 と、感想を口から漏らす。


「あれ? お母さんどこ行った?」


 七瀬の言葉に瑠香が隣に視線を向けながら答える。


「お母さんならさっきまで私の隣に……んっ?」


 途中で疑問に思った瑠香に美紀が代わりに答えようとするもやはり見当たらないらしく。


「あ、あれ……朱音さん?」


 七瀬と瑠香に続き美紀も不思議に思い周囲に目を飛ばすと一人落ち込んでいるのか拠点の片隅でさっきから座り込んでは呪詛のようになにか小言を言っている蓮見の方へと歩いていた。


「ダーリン大丈夫?」


 ビクッ!?

 突然のことに新しい聖水瓶を見ていた蓮見の身体が驚く。

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― 新着の感想 ―
[一言] 聖水瓶盗難事件。 容疑者は蓮見。 しかし、まだ誰も聖水瓶が消失したことに気づいていない? この場を乗り切れるか蓮見?
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