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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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The end of my(俺様) world


 敵に最後の絶望を突き付けるようにここにも神災竜が降臨した。後方には六十の毒矢。鋭い眼光は多くのプレイヤーにプレッシャーを与える。

 本体と分身を見分けた朱音はそのまま大きくジャンプして神災竜の頭上へと登る。

 そのまま武器を直して地上にいる者たちを見下ろす。


「ついに来やがった! 【神炎の神災者】だぁ!」


「全員気を引き締めろ!」


 装備は完璧。

 それでも【雷撃の閃光】支部メンバーは不安でしょうがないのだ。

 今まで完璧と思っていた物が過去何一つ通用していないからだ。今回もそうかもしれないとやっぱり心の片隅で思ってしまう。

 身体に刻まれた嫌な記憶は幾ら入念に準備しても消すことはできない。

 蓮見に敵対する者からすればそれはある意味トラウマレベルとも呼べる。

 それだけ蓮見のやることすることが毎回規格外なのだ。

 対策してもすぐに進化するこの男を止めるのは本当に――。


「ふふっ。アハハ! 俺様の時代がついに来たぜ! ってことで行きまーす! 俺様超全力シリーズ『超新星爆発』!」


 本体と離れる際に貰っておいたアイテムを口の中から吐き出す。

 吐き出されて地上に落ちていくのは唾液ではなく聖水瓶。


「お母さん!」


 そして突然名前を呼ばれ驚く朱音。


「えっ? あっ、はい。スキル『水手裏剣』」


 それでも蓮見の意図を瞬時に理解した朱音はスキルを使った。水手裏剣が落下する聖水瓶の後を追う形で飛んでいく。


「行くぜ! 武装エネルギー充填完了。フルファイアー!!!」


 両肩にはレーザー光線発射を可能にした武器。

 両わき腹には左右にビーム砲。

 両腕にはガトリング砲がそれぞれ装着されいる。

 ガトリング砲の砲身が唸り火を噴く。

 ビーム砲は自動照準で調整され四つのビームをそれぞれ打ち出す。

 なによりパワー重視のレーザー光線はエネルギー充填後、そのエネルギーを余すことなく一点火力突破の火力兵器として牙を向く。

 近代化兵器が神災の後押しをする。


 銃弾の一部が聖水瓶を撃ち抜き、真っ赤に燃える。

 そこに朱音の水手裏剣が合流し、水手裏剣が熱せられて水蒸気となり体積が千五百倍以上に膨張する。水は高温の熱源が接触した場合に起こる水の瞬間的な蒸発によるものだ。その爆発こそが水蒸気爆発であり蓮見の超全力シリーズの一つの正体。今回は簡易的なため、威力にセーブが掛かるもそれを補填するかのように、神災竜の後方で待機状態だった毒矢が一斉射出された。


 ――。


 ――――。


 拠点破壊の為、地上へと降り立ち直接破壊を試みる神災竜の蓮見。

 支部とは言え【雷撃の閃光】ギルド。

 拠点にはすでに、遠距離攻撃によるダメージ大幅カット効果を付与している。

 またギルド効果で拠点に対するKillヒットとテクニカルヒット無効まで。

 正に用意周到。


「逃げて! ダーリン!!!」


 地上に降り、いち早く危機を察知した朱音が蓮見の頭上で叫ぶ。


「えっ!?」


 いち早く違和感に気付いた朱音。


「コイツ等ダーリンの攻撃半分以上装備の力で相殺してる! そこにいたら間違いなく生き残った全員の反撃を一斉に受けるわ!」


「……えッ?」


 朱音の言葉に神災竜こと蓮見が気付いた時にはもう遅かった。

 神災竜の心臓部に巨大な槍が突き刺さり、反応した時には既にHPゲージが赤色まで減っていた。


 朱音が邪魔する者を薙ぎ払うため、武器を手に取るも時すでに遅く蓮見は負けてしまった。


 同時。朱音に救難要請が美紀から送られてくる。

 戦闘をしながらメッセージを確認した朱音は驚いた。

 自分ですら正面から闘えば苦労する相手を――。


「……まさか。ダーリンが……スイレンちゃんたちにも押されているなんて……」


 直後正真正銘の本気になった朱音の表情から笑みが消え、増援が来るまえにある程度のメンバーを一度倒してから拠点へと大急ぎで戻る。

 朱音に大ダメージを与えられた【雷撃の閃光】支部ギルドにすぐ追い駆ける余力はなく、難なく戻ることができた。


 これが神殺しの礼装シリーズの力。

 今までみたいにただ単に攻撃すれば大ダメージを与えられるのではない。

 美紀や七瀬や瑠香のようにそれ相応の実力があるものがしっかりと活躍できるイベントというのが今回のイベント。もう第二回イベントの時とは全然違うのだ。


 だけどこの時朱音はあることが気掛かりで仕方なかった。


 朱音の肌には鳥肌。


「あはは……まさ、か……ね……。」


 ドクンッ! ドクンッ!! ドクンッ!!!


 この高鳴る心音は……。






 リュークに本体が破れるとほぼ同時刻、こことは別に【ラグナロク】と【雷撃の閃光】二つの精鋭部隊が集う場所と【灰燼の焔】支部ギルドの神災竜も殲滅されていた。しばらくして【ラグナロク】支部ギルドで暴れていた神災竜も地に落ち殲滅され、朱音と同じく美紀のフォローが間に合わず深紅の美ギルド拠点近くで戦っていた神災竜も負けた。この瞬間多くのプレイヤーの象徴であり最恐だった神災者はトッププレイヤーやその者が率いるギルドに全て敗北したという事実がイベント参加者や観客を含め多くのプレイヤーに周知されるまで時間を要することはなかった。


 目的の大部分を果たしたとも呼べるスイレンたちが撤退を始めた頃入れ替わるようにして別方向から七瀬と瑠香が【深紅の美】ギルドに帰還した。


 少なからず動揺を隠しきれない美紀、七瀬、瑠香、の三人はスイレンたちを大人しく逃がすことにした。

 光の粒子となって生き返り戻ってきた蓮見は三人をチラッと見ては無言のまま拠点中へと戻っていった。


「「「……くれない(さん)」」」


 なんて声を掛けていいかわからない三人はこのまま外にいても仕方がないと判断し蓮見の後を追うように拠点の中へと戻っていく。


 それからすぐに朱音も合流し、拠点の防衛と見張りは里美ちゃん戦隊へと任せられた。


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