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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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蓮見VSリューク 後編


 蓮見はこの時。

 美紀と同じくトッププレイヤーと呼ばれるリュークの実力を認めるしかなかった。

 たった数手でここまで追い込まれた事実はどうあっても覆えらないからだ。


「へへっ。やっぱりすげぇーよ、アンタ」


 不敵に微笑む蓮見に今度がリュークが全身に冷や汗をかき始める。

 リュークは知っているからだ。

 追い込んだはずの【神炎の神災者】たる蓮見が不敵に微笑むとき、歴史を振り返る限りほぼ百パーセントの確率で神災もしくは予期せぬ事態が起きることを。

 だけど力を込めて蓮見の腰を右から左へと切断するため振り抜いた大剣は途中で止めることはできない。

 こうなった以上やられる前にやるしかないと、勢いに身を任せるリュークは蓮見の口が動いたのを見逃さなかった。


「悪いが俺様の神話伝説をこんな所で終わらす気はねぇ!」


 ドンッ!!


 次の瞬間。

 リュークの攻撃が触れるよりも早く蓮見の身体が爆発し勢いよく何処かへと飛ばされた。

 攻撃対象を見失ったリュークの一撃が空を切る。

 しかしすぐさま炎剣が蓮見を追尾しようと方向転換を始めた時だった。


 蓮見の方から突撃。

 そして大きくジャンプした蓮見は足場に使っていた毒矢をリュークに向けて放つ。


「へへっ。流石に手榴弾エスケープは結構痛かったが俺様の真骨頂はここからだ!」


 両手に一つずつ持った危険度マックスの手榴弾と聖水瓶。

 そのまま無謀にもリュークに自ら飛び込んでいく。


「ふっ。馬鹿め!」


 ニコッと微笑み勝利の一歩にまた近づいたと確信するリュークとその表情を見てそれこそが俺の狙いと言わんばかりに自信満々の蓮見。


「そう思った時点でお前の負けだぜ! いつだって俺様は進化するんだぜ!」


 そう言って毒矢と炎剣が衝突し相殺し合った瞬間。

 蓮見が手に持っていた手榴弾が爆発し至近距離にいたリュークを巻き込んで大爆発を起こした。


 そのままリュークごと巻き込んだ自爆攻撃は遠目で見ていた【灰燼の焔】ギルドメンバーに安心感を与える結果となってしまう。


「自爆……?」


「ってことはリューク様の力が【神炎の神災者】を上回ったってことか?」


「……すげぇー、流石はリューク様。アイツに自爆特攻をさせるとは」


 だがそれは安易な考えを持つ者の発想。

 なぜなら歴史は繰り返すからだ。


「アハハ~! ここからが俺様本気モード!」


 自爆特攻によりHPゲージが赤色になった蓮見は神災モードとなり大地を一直線に駆け抜ける。

 その先には先ほどの爆発によって態勢を崩したリュークがいる。


「……ん?」


 途中違和感に駆られるも足が止まることはない。

 足に力を入れて大きく踏み込み残り五メートルをたったの三歩でゼロ距離にする蓮見はそのまま左脚を地面に固定して力一杯に引き金を引く。


「うぉりゃあああああ!!!」


 そのまま狙いを定めて思いっきり銃弾を放つ。

 蓮見の放った銃弾《右拳》は寸分の狂いなくリュークの顔面を捉え殴り飛ばす。


「ぐはっ!?」


 するとリュークの身体が竹とんぼのように回転して地面を転がっていく。


「まだまだぁ!」


 弓使いでありながら……。

 弓を捨て……。

 矢を捨て……。

 短剣を捨て……。

 アイテムを捨て……。

 己の拳で戦うことを選んだ蓮見にもう迷いはなかった。


 リュークの大剣はどうしても武器の性質上大振りになりやすい。

 そのため蓮見は最も小回りが利く拳を選んだ。

 蓮見の連続攻撃が地道にリュークのHPゲージを削っていく。

 時にワンパン|《Killヒット》を狙ってみるが、そう簡単には決まらず防がれてしまう。


「さっきの爆発といいなんかいつもより手応えがないのはなんでだ?」


 攻撃が当たっているのにいつもの手応えを感じられない蓮見。

 それこそがリュークが装備している神殺しの礼装シリーズの効果。

 つまるところ神殺しの礼装シリーズとは――対蓮見特化装備とも裏では呼ばれる程に大半がラスボス(対プレイヤー用)使用となっている。

 そのため上位召喚獣と上位神殺しの礼装シリーズを手に入れたプレイヤーこそが今では蓮見の最大の天敵となっているわけだ。


「スキル『アクセル』!」


 蓮見の一撃を躱し、自身が加速することで反撃をしてきたリューク。

 だけど蓮見の攻撃の手も止まらない。

 破壊力抜群の大剣相手にも不器用ながらも格闘家のようなファイティングポーズ取り闘う。


「知らないなら教えてやる。俺や多くのプレイヤーが装備している神殺しの礼装シリーズの殆どはアイテムによるダメージを軽減したり爆発や毒と言った追加ダメージや状態異常ダメージも軽減する効果がある」


「――ッ!?」


「ようやく気付いたか! 時代は既にPVEよりPVP主流の時代に変わってきているというわけだ!」


 軽減。

 その言葉を聞いた蓮見は思う。

 今までの火力では俺様の一撃は恐るに足りないのか!?

 脳が解釈した。


 舌打ちをする蓮見。

 だが至近距離で長時間戦えばどうしてもプレイヤースキルの差が出てくる。

 舌打ちをして悔しがる蓮見に追い打ちをかけるようにリュークの大剣が蓮見の身体に一撃を加えた。


「……グハッ!」


 当然神災モードの蓮見に残されたHPゲージは残り僅か。

 容赦ない一撃は単発で終わることなく。


「ふっ。油断したな?」


 大剣が赤い炎を纏うと目にも止まらぬ速度で蓮見の身体を切り裂いた。


「ぐあああああああああ!!!」


 そして【神炎の神災者】こと蓮見と正面から闘い初めて一人で倒したプレイヤーはルフランでも綾香でもなくリュークだった。


 光の粒子となって消えていく蓮見にリュークが微笑む。


「ふふっ、はははっ!!! ついに、ついに、【神炎の神災者】破れたりー!!!」


 その言葉に【灰燼の焔】ギルドの士気が急上昇。ここで支部からの急難要請に気づいたリューク。


「防衛第二部隊第三部隊は支部ギルドの救援に向かえ! この好機を逃すな! 既に神殺しの礼装シリーズを装備した俺たちの敵は絞られたぞ!!!」



「「「「「オオオオオオ!!!」」」」」


 湧き上がる歓声。

 そして【灰燼の焔】ギルド防衛部隊の一部が攻勢へと出て行き支部で大暴れしている神災竜の殲滅へと向かった。

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