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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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美紀VSスイレン


 さて、と森の茂みに隠れ【深紅の美】ギルド拠点を目前にした一同が【神炎の神災者】を警戒しながら広がっていく。

 もし見つかれば即全滅もあるかもしれないとそこまで警戒するのは【灰燼の焔】ギルドの本部メンバーの攻撃に特化した者たち。

 並大抵の防御では止めることはできない。

 ましてや防御人員がいない拠点など赤子の手をひねるようなもの。

 だが唯一それができないギルドが目の前にあるのだ。

 常識が常識と機能しない。

 そんな常識がいつの間にかできたぐらいに不可解な男が今いる拠点。

 灰燼の焔は知らない。

 蓮見の今の状態を。

 だから警戒しているのだ。

 仲間の手によってメンタルブレイクされた男の末路を知らないから。


「お前たちは私の後に続け。私が奇襲を仕掛けて中の奴らの注意を引き付ける。その間に全方向から攻撃してまずは拠点を落とせ。その後に動揺した奴らを叩く。いいな?」


 スイレンの声に頷くメンバーたち。


「了解しました」


「それにしても誤算だったとは言えまさか里美だけでなくあの母娘まで拠点を空けてるとはとんだ副産物ですね」


 偵察を通して逐一監視を行っていただけにそこらへんは完璧に把握している。

 今回の狙いは拠点ではない。

 【神炎の神災者】の異名を持つ蓮見の首である。

 ここで一回でも倒して置けばステータスダウンを喰らい【ラグナロク】と【雷撃の閃光】に集中できる、という算段。


 仲間のため一人動き始めたスイレンは隠密行動を心掛け、慎重に拠点を護る結界へと近づいて行く。



 その頃。

 蓮見の身体が小刻みに動き始める。


「くれない……くん?」


 流石にやり過ぎたかと思い、隣に座り直して声を掛けるエリカ。

 好きな人の気が引きたくて意地悪しちゃった、とは罪悪感があり言いにくいものの 場合によっては白状するしかないと内心思う。

 自分一人では相手が誰かを問わず戦っても時間稼ぎにすらならない以上ここは蓮見の復活に全てがかかっていると言っても過言ではない。


 ドクン。


 蓮見の心臓の鼓動が――。


 ドクンッ!


 強くなっていく。

 まるで何かが目覚める前のように――。


 ドクンッ!!


 脳が導き出した答えを実行するかのように――。


「あああああああああああ!!!」


「ちょ!? 紅君!?」


 エリカの幸せを素直に喜ぶことができない少年は叫びながら拠点の扉を勢いよく開けては走り始めた。


 それも全速力で。


 当然蓮見が全速力で走り始めた以上。

 スキルなしで追いかけても誰も止めることはできない。


「ああああああああああああ!!!」


「な、なにぃ!?」


 ちょうど拠点結界を破壊しようとしていたスイレンに向かって蓮見は正面から突撃。

 突然のことに驚くスイレン。


「えっ!?」


 スキルを使い攻撃力をあげるわけでもなく、スキルを使い目くらましをするわけでもない蓮見は敵から見たら異常。


「ス、スイレンさまーーー!」


 茂みに隠れていた者たちが獲物が自ら現れて喜ぶよりも先にスイレンの身を案じて一斉に飛び出し護ろうとするも、蓮見は止まらない。


「待って紅君! その先に敵がいるわ!!!」


 エリカが慌て大声で忠告するも既に手遅れ。


「スイレン様に手出しはさせん! スキル『一閃の閃き』!」


 直線状の敵に自身のAGIを三倍にして突撃し一撃を与えるスキルを発動した男はスイレンに迫る蓮見に向かって突撃。スイレンの背後から姿を見せた男の一撃が蓮見へと迫りくる。


「馬鹿め! 正面から来るなど笑止。これで終わりだぁぁぁぁぁぁ!」


「ああああああああああああ!!!」


 二人の男が正々堂々と衝突。


 ――。


 ――――。


 かと誰しもが思った瞬間だった。

 メールの逃走劇の時と同じく華麗なクロスステップであっさりと攻撃を躱した蓮見はスイレン目掛けて止まらない。


「ば、バカな!?」


 スキルを使ってもAGIが蓮見より劣っている男の腕では残念ながら蓮見に触れることすら叶わなかった。


「来るなら、こい!」


 武器を構え身構えるスイレン。

 だけど蓮見は止まらない。

 ビビらない。


「俺は認めないぞーーーー!!! 気付けば俺だけが幸せな旅路に行けない未来なんて~~~~。カモン! 俺様戦闘機! 現実逃避スクランブル発進!」


 現実逃避をした蓮見はスキル『猛毒の捌き』を使って空へと浮上し何処かへと行ってしまう。


 あまりのあっけなさにその場にいた全員が言葉を失った。


「「「「…………」」」」


「「「「…………はっ?」」」」


「「「「…………えっ?」」」」


 そんな戸惑いをかき消すように別方向から可愛い女の子が「……エリカの奴、さては紅をからかって遊んだな?」と蓮見の悲鳴に似たなにかを聞いた者が一人、二人、三人と近づく。

 女の子たちの周りには既に戦闘不能となった者たちがバタバタと倒れている。

 蓮見と男の一騎討ちに注意が向いていた者たちだ。

 不意打ちはないと高を括っていただけに一瞬で負けてしまったのだ。


「お前は……」


「ふ~ん。なるほど」


「……さ、とみ……戻って来たのか」


「まぁね~。私疲れちゃったから。でもまぁ、休むにはまだ早そうだけどね」


「……お前たち! こうなった以上私が里美の相手をする! お前たちは今のうちに残りを潰せ。エリカしか護りがいない拠点などただの空き家と変わらん!」


 スイレンの指示を受けた者たちが動く前に別二方向から声が聞こえてくる。

 そして歩き二人が合流しては拠点との間に立ちふさがる。


「「おおっと~。そうはいかないんだな~これが。ここから先は私たちが相手してあげるよ?」」


 里美ちゃん戦隊である。


「「「「「……えっ?」」」」」


 可笑しい。

 と、自分の目を疑う者たち。

 【神炎の神災者】ならわかる。

 だけどなぜ美紀が三人? と。

【深紅の美】ギルドで一番増えてはいけない男は最大五人まで増えるが、まさが正統派で実力者である美紀までもが増えるとは……。

 そんな表情を浮かべる者たちに里美ちゃん戦隊は背筋を大きく伸ばしながら警告する。


「あ~これ? 気になるの?」


「これはね~」


「「「対神災用里美ちゃん戦隊だよ♪」」」


 などと笑顔で呟く者たちに多くの者が息を呑み込んだ。


 ドンッ!!!


 すると、それを祝福するかのように遠くの方で大爆発が突如起きた。



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