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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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瑠香の冷静な判断と対応



「まずは様子見です!」


 正面から走り攻撃を試みる。

 鋭い視線は既にレベッカを捉えており、先ほどのような不意打ちをくらうことはない。


「私も舐められたものだな。 だが油断はしない! スキル『暴風の嵐』!」


 レベッカが自分を軸にしてハンマーを回転させ巨大な竜巻を出現させる。

 竜巻は意思を持っているかのように中心部レベッカから離れ瑠香の方へと徐々に近づいていく。


「そうきましたか。ならこれで行きます!」


 身体の回転を止めて走り始めるレベッカ。

 それを見た瑠香は思う。

 竜巻をなんとかしてもダメ。

 レベッカをなんとかしてもダメ。

 どちらも意思を持ってこちらに攻撃をしてくるのなら両方同時に対処する必要があると。


「竜巻を盾にした攻撃なかなかに厄介ですね」


「お前のペースで闘う義理はないからな。一気に行くぞ! スキル『アクセル』!」


 視界の先では巨大な竜巻と女が接近。

 もし中途半端な対応をしてしまえば確実にダメージを受ける事になる。

 そうなると確実に両方に対抗する必要がある。


「では二つとも攻略します!」


「面白い」


 限界まで足に力を溜めて一気に爆発させた瑠香は、


「特攻ではパワーが足りませんね。なら、これしかありません! スキル『睡蓮の花』!」


 スキルの推進力までを利用して一直線に突撃して竜巻を貫くことを試みた。

 レイピアがピンク色のエフェクトを纏いキラキラと輝き始める。

 瑠香の全MPを消費して、そのMP消費量により威力が変わる『睡蓮の花』。

 MP消費に比例して威力が変化という面では蓮見の『レクイエム』に似ているがこのスキルは『レクイエム』のような長い華やかさは一切ない。まるで睡蓮の花のように一瞬の華やかしさだけがこのスキルである。そして効力が切れ終わるのも一瞬。だけど、その一瞬で幾つものプレイヤーの命を奪ってきたこともまた事実。


「はあああああああああ!」


 竜巻を強引に突破した瑠香はそのままレイピアの先をレベッカへと向ける。


「ふっ、なるほど。強行突破ときたか。だがMPを全て消費した以上回復するまではスキルが使えないはずだ!」


「かもしれません! それでも攻撃をする以外に私に選択肢はありません!」


「いい覚悟だ。かかってこい!!!」


 猛スピードで突撃した瑠香と走ってきたレベッカがすれ違う。

 顔スレスレを横切ったハンマーに心臓が驚いてしまった。

 一撃でも顔面に喰らえばどうなるか、脳が想像してしまったからだ。

 もし途中で怯え足を緩めていたら今頃お嫁には行けない顔になっていた。


 だけどビビッてはいられない。

 両者が後ろを振り返って、再び対峙する。


「スキル『強靭』!」


 レベッカがスキルを発動。

 効果を受けレベッカの身体が赤く光る。


「このスキルによって私の腕力は一時的にかなり向上する」


「純粋な力勝負では勝てなさそうですね」


「なんなら試してみても良いぞ?」


「遠慮しておきます。同性でも不向きな物で勝負する気にはなりませんから」


 レベッカは重たいハンマーをまるで木刀を振るうように片手で軽々と振り回し始めた。そのまま大きくジャンプして襲い掛かって来た。咄嗟に回避行動へ入るも攻撃速度が先ほどより倍以上早くダメージを受けてしまう。


「こ、これは……!?」


「ふふっ、どうした?」


 余裕の笑みを浮かべるレベッカ。


「…………いえ、なんでも」


 女でありながら、ここまで大胆なパワープレイヤーのレベッカを見て瑠香は本当に同じ女なのかと思ってしまう。

 腕、足、腰回り、体格が全て男の蓮見よりしっかりしていて筋肉があるプレイヤーが数十キロの武器、それも本来は体格の良い筋肉質な男性プレイヤーでも両手で扱うような武器を片手でそれも軽々振り回すプレイヤーが目の前にいればその直感は間違っているとは言えない。


 瑠香は攻撃の合間を見てアイテムツリーから煙玉を取り出して地面へと投げつける。

 一気に白い立ち煙が辺りの視界を悪くした。


「次会った時まで勝負はお預けです」


 そう言い残して瑠香は退却した。


(長期戦になればこちらは少数。私が手こずってる間にギルドが狙われるかもしれない以上今はこれが正解のはず。それにあの人……強い)


 瑠香は個人ではなくチームで動くことに徹する。

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