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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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終わりを告げる音は地響き


 美紀からメッセージで情報を受け取った蓮見、エリカ、七瀬、瑠香、朱音の五人はギルド拠点でくつろいでいた。


「暇だな~」


 窓から見える景色を眺めながら蓮見が呟く。

 イベント開始から二十分が経過した頃から周辺が騒がしくなり始めた。

 女四人は美紀からの情報を元にそろそろイベントが本格的に動き始める頃かと各々が予測を立てていたが一番肝心な蓮見がそれに気づくことはない。


「今日は平和だな~」


「それはどういう意味ですか、紅さん?」


「ん? それはだな、宿題がなくてって意味だな」


「あ~、なるほど」


 瑠香は蓮見の言葉に納得した。

 てっきりイベントに対する独り言かと最初は思ったが、どうやら違うらしい。

 外の景色をぼんやりと眺める蓮見に瑠香は心の中で「イベントが終わったら夏休み明けのテスト対策があります」とは言わない方がいいかと密かに思う。

 ここで下手に現実を教えるより今はイベントに集中して貰った方がこちらとしては助かるからだ。

 瑠香の隣では七瀬がいて美紀からのメッセージを確認していた。

 少し離れた所でも朱音とエリカが美紀からのメッセージを確認しては装備の変更や持ち込んだアイテムの確認をしているのだが、蓮見だけは窓の外をぼんやりと見ているだけと温度感が一人だけ違う気がするとも思った。

 だけど一度火が付くと鎮火が大変なので今はこのまま放置する。


「それにしても今回はなんかスローペースだね」


「そうね。まぁ……」


 隣にいる七瀬がチラッと蓮見を見て、


「全ギルドが上級者や中級者を集めたギルドって考えるとまずはお互いの手の内を探るってのはある意味正解だからね。余程の自信があるか、余程の大馬鹿じゃない限りは最初から無茶はしないわよ」


「それもそうだね」


「それよりも里美さん最初から結構飛ばしてる感じがする」


「まぁいつものことだから」


「そうなんだけど、後半バテないか心配」


「多分大丈夫でしょ」


 瑠香の心配を余所に七瀬はあっけない返事をした。

 瑠香から見た七瀬は心配するだけ無駄と言いたそうな顔をしていた。

 拠点の中に視線を飛ばせば少し離れた所で自分たちと似たような会話を朱音とエリカがしていることがわかったが、どうやら朱音も七瀬と同じ考えらしい。


「それにしてもお母さんが参加って……予想外」


 朱音を遠目に見て瑠香が呟いた。

 もう少しこんな感じの落ち着いた時間が続くと個人的には体力的に安心なんだけどと瑠香が内心思った時だった。


 ――ドドドドドッ!!!


 拠点が揺れた。

 一瞬地震? と思ったがすぐに違うと判断し武器を手に取り外へと向かおうとしたときだった。


「皆、はやっ!」


 拠点が揺れた瞬間。

 攻撃を受けた、とぼんやりとしていた蓮見を筆頭に皆がすでに行動していた。






 蓮見が大慌てで拠点から外に出ると攻撃をしていた二十四人パーティーの手がピタリと止まった。その表情は焦り。空いた口が塞がらないのか「あ、あ、、、あ、あぃ?」とわけがわからないことを呟き始めたのだった。


 まさか奇襲を仕掛けた拠点が【神炎の神災者】の拠点だとは思わなかったのだろう。一見防御人員もいない崖際に建てられた拠点。無人で絶好のチャンスと思って攻撃した時には全てが手遅れのことだってある。


「おっ! ちょうど良い所に来たな!」


「しししししえんえんのしんさいしゃ……よりにもよってほほほんものかよ……」


「ああやややべべえええぞぞぞぞぞ?」


「それに朱音までいやがる……どう見てもまずい……あの裏がある笑みは……」


 ようやく俺の出番がきた! と喜ぶ蓮見とは対照的に驚く奇襲を仕掛けてきたパーティーは背中を見せて逃げ始める。


「全員逃げろーーーー!!!」


「えっーーーーー!?」


 まさかの展開に目を大きくして驚く蓮見。

 それもそうだろう。

 なぜならこの拠点にはトッププレイヤーの七瀬と瑠香がいて、ルフランより強い朱音もいるのだから。そんじゃそこらへんのギルドが幾ら頑張った所でこの三人を正面から相手にしながら蓮見を相手にする余力があるギルドなどそうはいない。


「ミズナ! ルナ! 追いかけなさい!」


「「了解!」」


 蓮見の背後から聞こえた声にいち早く反応した二人は背中を見せて走り始めた二十四人を追いかけ始める。

 そして。


「アイツらは私に任せて! ダーリンはエリカちゃんと拠点の死守よろしくね」


 そう言って朱音までもが敵を追いかけ始めた。


「あれ? 俺の出番は……まだ?」


 戸惑い途方に暮れる蓮見に周囲の安全が確保されたのを確認して拠点から出てきたエリカ。


「そうね。まだみたいね」


「…………」


 不服そうな顔を見せる蓮見にエリカがクスッと笑う。


「そんな顔しないの。どうせすぐに来るから。それまで久しぶりに二人でゆっくりしましょ?」


 そのまま手を掴まれた蓮見はエリカと一緒に拠点の中へと戻っていく。


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