神災竜の相棒となったメールと新技(神災)お披露目会 前編
メールの自己紹介が終わるとゴクリと息を呑み込んだ七瀬。
「か、可愛い過ぎる……こ、こっちに、お、おいで」
まるで子猫を誘うように両手を広げて目をまん丸とさせて来てとアピールする七瀬にメールが首を傾けて蓮見に質問する。
「新手の誘拐?」
「どう見ても違うだろ? 多分だけどメールを抱きたいんじゃないか?」
「うーん。私を?」
「まぁ、良い人だから行ってみな」
「わかった」
蓮見の言葉に安心したのか手を離してテクテクと七瀬の元に歩いていってはぎゅと優しく抱きしめるメールに七瀬の頬から笑みが零れ落ちる。
まるで幸せいっぱいの顔は今まで誰も見たことがない。
「あの子ってロリコンだっけ?」
「いや? 違うよ? 多分メールちゃんが純粋に好みってだけだと思うけど?」
「なるほどね」
朱音と瑠香の会話に色々と納得の蓮見。
「そうだ! メールちゃんちょっとこっちおいで。そのお洋服だと色々と困るだろうからお姉ちゃんがお洋服あげるわ」
「ありがとう。でもいい。私変身したらこの服じゃないと全部破れて裸になっちゃうから」
「え? 返信するの!?」
「うん。これは仮の姿だから」
「…………紅君?」
「はい」
「ってことはあの噂は本当なのかしら……。もしかしてだけど紅君この子戦闘用の召喚獣なの?」
「なに言ってるんですかエリカさん? メールは食y……じゃなくてその通りです!」
「そう……」
「今食用ってことは……ははあーん、そういうことね。ダーリンはそういう趣味が……」
「あら朱音さん気が合いますね。実は私もなんです……」
「ちょ、待て二人とも! 違う! 食べたい願望はあってもそういう意味じゃ――あああああああああ」
言葉の綾を間違えた蓮見は急に準備運動を始めた二人にお仕置きされた。
身体の関節がメキメキと呻き声をあげる。
そんな蓮見を見てメールは助けに入ろうとするが「大丈夫よ。あの二人はただメールちゃんに嫉妬してるだけだから」と七瀬が耳元で囁いてきたので静かに見守ることにした。
「なら形状変化が可能な伸縮自在のお洋服あげるからちょっと物陰で着替えましょうか。せっかくの美人さんなんだから少しぐらいオシャレしないと勿体ないわよ」
「でも……私……」
「どうしたの?」
「お金ない……」
「いいの、いいの。紅君の召喚獣ならお金いらないわよ♪」
「どういう意味?」
「それは秘密♡ まぁそんなことよりお着替しましょう」
そんなわけでエリカと七瀬と手を繋いで大きな岩陰に向かうメールをチラッと見た蓮見は関節が悲鳴をあげながらも、「メールが俺をよんでぃるぃう気がするぅぅぅ」と先ほどの会話を全然聞いていなかったのにも関わらず本能だけで何かを察知した。
だけど、美紀と朱音のダブルパンチから簡単に抜け出せるわけでもなくその願望は水の泡となった。そんな蓮見を見て瑠香だけはクスクスと笑っていた。
「相変わらず欲望に真っ直ぐなんですね。あはは」




