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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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男と女の駆け引きが引き起こした幽霊騒動


 昨日は存分にしてやった!

 両脇に寝た朱音と美紀が!

 蓮見に!


 そんなわけで最後は七瀬に泣きついて場所を変わってもらい頭部を瑠香、両サイドをエリカと七瀬に護って貰いなんとか寝付けた蓮見。

 昨晩驚かしてやろうと考えた蓮見は就寝時間になり部屋が暗くなったタイミングで寝たふりを始める。だけど今日に限って皆の寝つきが悪いらしく、さっきから気配がなんとなくする。だからと言って諦めるわけにはいかないので、適当に俺様全力シリーズでも考えながら来るべき時が来るのを待つことにする。しばらくして静かになった部屋でまず初めに朱音を驚かそうと作戦を決行する蓮見。


「にししっ~。まずはお母さんから」


 声を押し殺し近づく蓮見。

 すると――。

 それを読んでいたかのように、寝言で「う~ん、美紀ちゃん? その先の部屋は行ったらダメよ? 幽霊に取りつかれるからねぇ~」と寝言を言った。


「うん?」


 耳元でクラッカー鳴らしてやろうと近づいた蓮見だったが完全に動きが止まってしまう。

 あれ? 今? お母さん……なんて言った?

 と、脳内で朱音の声を思い出しては反復させる。


「いやいやいや……この別荘にそんな怪奇現象が起こる部屋なんて……」


 幽霊、お化け、心霊現象、そんなものは所詮人間が面白がって昔作った眉唾物で本当にあるわけがない、と自分を強く持とうとした蓮見の耳にふいに風が吹き込んできた。


「ぎゃああああああああああああ!!!!!」


 深夜の叫び声に皆が起きる。

 いや、演技を止めて起きてきた。


 同時に皆が狙ったように起きた違和感よりも先に蓮見は耳に当たった風の正体を確認するべく後ろを振り返ると薄っすらと姿を見せる白い幽霊がそこにはいた。


「いやああああああああああああああああ!!!!」


 叫び声と同じタイミングで目から涙が零れた。

 だけど視界は悪くなっても身体は正直に動いてくれる。

 恐い。恐い。恐い。恐い。

 逃げろ、逃げろ、逃げろ。

 ヤバい。ヤバい。ヤバイ。ヤバい。

 そんな感情に素直になった身体は初めに視界に入ったエリカに向かって飛び込む。


「ゆぅれぇいでだぁ~!!!」


「きゃあ!? は、はすみくん!?」


 続いて驚かそうとしていたエリカが蓮見に驚かされる。

 あまりにも勢いが良かったためエリカがお布団に倒れつつも、蓮見をキャッチして優しく抱きしめる。


「あはは!!!」


 そんな蓮見を見て朱音が大笑い。

 他の皆は「あはは……」と苦笑い。

 勉強で頭が付かれて憂鬱だろうからと朱音の提案で女子五人で蓮見を驚かそうと考えたのだ。当然蓮見は女子の作戦を知らなかったし、女子は蓮見の作戦を知らなかった。だから両者がお互いのタイミングを待っていたのだ。そして駆け引きは女子五人の勝ちとなった。幽霊役の美紀をより幽霊に見せる為用意された特殊光の懐中電灯がエリカと七瀬と瑠香の枕元にあるのだが、エリカの腕の中でびくびくと震えている蓮見は一切気付かない。流石にこれ以上は可哀想だと思った七瀬はさりげなく三つの懐中電灯を回収して蓮見に見えない所に置き、美紀は被っていた白シーツを脱いだ。


「蓮見もう大丈夫だよ」


「みみみき?」


「うん。美紀だよ」


「ほほほほ本物?」


「うん」


「まじか……でも美紀で良かった……本物じゃなくて」


 美紀の声に恐る恐る振り返ると幽霊の正体が美紀だと分かった蓮見は心の中で安堵する。だけど心臓のバクバクは一向に止まらず、全身から溢れでた冷や汗も止まらない。この世にはして良いことと悪いことがある。少なからずそう思った蓮見はあることを思い至る。

 現実世界こっちでダメなら仮想世界あっちで目にもの見せてやると!


 心に明日は俺様全力シリーズお披露目会決行を強く誓った蓮見は五人の女子に見守られてゆっくりと眠りについた。

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