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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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イベント準備はもう始まっている!?


 蓮見が部屋を出ていったのを確認して美紀が口を開く。

 四人の中にはある問題があった。


「てか今回どうする?」


「そうね。強豪ギルドが本格的に蓮見君の首を取りに来たわね」


「無駄に警戒されてて私たちだけじゃもうカバーできる限界超えてるわよ?」


「蓮見さん大人気ですよね。いつの時代も」


 美紀、エリカ、七瀬、瑠香の四人は悩んでいた。

 流石に百人を超えるギルドが最低三つ。

 一つのギルド最大百人までのルールの裏をついてきた【ラグナロク】【雷撃の閃光】【灰燼の焔】の三つ。

 ただでさえ一つを相手にするだけでも精一杯の敵が前回のギルド対抗イベントの結果を踏まえさらに万全の状態で挑んでくるのだ。

 正直今の戦力では【深紅の美】ギルドに勝ち目はない。

 世間が言うように【深紅の美】ギルドは少数精鋭のためこのような多人数を相手に長時間戦い勝つことは難しい。戦いが長引けばそれだけアイテムを必要とするし、体力だって減っていく。身体の疲労は一度溜まればパフォーマンスに影響を与える。集中力だってそうだ。人間の集中力なんて持って数分から数十分。どんなに頑張っても四時間ずっとは無理だ。集中力が切れればそれだけ判断が遅れる。二回までは負けても復活できるが、それは足枷付きの条件付き。負ければ負けるほど、ハンデを背負い復活ではポイント狩りに狙われる可能性だって否定できない。つまりはステータス現象を介した実力の逆転現象が起こるかもしれない。そう考えると、今回ばかりは分が悪いと思わずにはいられない四人。そんな四人の視線が朱音へと向けられる。なぜなら朱音だけは提示板でどこか強きだったから。


「お母さんは何か作戦とかあるの?」


「私?」


「うん。板見てる時お母さん別に気にしてないって感じがしたんだけど?」


「う~ん、そうね~」


 朱音はわざとらしく考える素振りを見せる。


「だったら七瀬に聞くけど、仮にダーリンがこの状況を知ったら絶望すると思うかしら?」


「驚きはしそうだけど、絶望まではしない気がする」


「よね。だったら私はダーリンが側にいてくれるならそれだけでいいわ。ってことで夜ご飯作ってくるわ。気が向いたら手伝いに来なさい」


 思い悩む若い娘たちに一度微笑んでから朱音は夜ご飯を作るため移動する。

 その背中を見た瑠香は「なんか楽しそうと」と感じた。

 それは瑠香だけでなく、他の四人もそうだった。

 まるで悩むことではない、と圧倒的な強者が語る背中。

 実力があるからこそそれができるのだろうと、思う四人はふとっ思う。

 だったらなんでいつも蓮見はそれに似た行動がとれるのだろうかと。

 答えは簡単なのかもしれない。

 ゲームを勝つことを前提としているんじゃなく、ゲームを楽しみ事を前提に物事を考えているからだと。

 つまり――蓮見は追い込めば追い込むほど強くなるのかもしれない。

 そう考えた時――色々と辻褄が合いだす。


 【異次元の神災者】が未だに成長する理由に。


「だったら私たちのするべきことはもう決まったわね」


「ですね、美紀さん」


「楽しんで勝つ! それが私たちの目標ね」


「そうなりますね、エリカさん」


「ところでエリカ? 一つ聞くけどこの前蓮見にあげた大層大きな武器壊れたじゃない? アレってもう修理終わったの?」


「ふふ~ん。美紀甘いわね」


「えっ?」


「アレはもう修理してないわ。変わりにバージョンアップした物を――」


「七瀬、瑠香! 犯人エリカを取り押さえて!!!」


「「任せて(ください)!!!」」


「いやあああああ!?」


 エリカは七瀬と瑠香に取り押さえられた。


「なんでいつも蓮見のためにそんな危険物ばかり作るのよ! 絶対に巻き添え喰らうんだから少しは威力をセーブした物をっていつもお願いしてるでしょ!」


「仕方ないじゃん。好きな人が喜んでくれる物を作る! それが私の使命なのよ」


「もうエリカったら!」


「なら蓮見君の笑顔見たくないの?」


「そ、それは……」


「七瀬と瑠香は?」


「うぅ……そ、それは……」


「み、みたいですぅけどぉ~」


 二人の力が弱まったことでエリカが自由になる。


「見たくないなら私三人が虐めてくるからもう何もあげれないって今から言ってくるわよ?」


 戸惑う三人を見てエリカはニヤッと笑みをこぼす。


「ならイベント前に渡しても問題ないわね?」


「「「はい……」」」


 恋心が邪魔して、正常な判断を誤った三人。

 蓮見のことを好きにさえならなければ未然に解決できた、と内心思うも笑顔が見たいという乙女心に負けた三人は蓮見が喜んでくれるならいいかと考えてしまった。


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