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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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嫌でもやらなければならない夏休みの宿題


 美紀大先生のご指導の元、国語と社会の宿題の一部を終わらせた蓮見。

 本来であればここいらで休憩を入れたいところだが、そうもいかない。

 蓮見の勉強会の後は皆で第四層攻略となっている。

 そのため、今回ばかりは蓮見のペースで事は進まない。

 美紀が達成感に浸り部屋の片隅で窓の外を眺めて大きく背伸びをしているのを横目に蓮見の第二ラウンドはすぐに始まった。


「なら、今度はお姉さんと数学からいきましょうね」


「お、お願いいたします、エリカ大先生」


「大先生ってやだぁもぉ~照れちゃうじゃない。ならそう呼ばれるようにお姉さん頑張るわ!」


 こうして蓮見は休む間もなく数学の宿題へと取り掛かる。


「簡単な所は一人で出来る?」


「はい。とりあえずp6ページぐらいまでなら」


 エリカは蓮見と一緒に自分で出来る所をまず確認した。

 それから足並みを蓮見に合わせて、


「ならこことかは?」


 と少しページ数を進めて式と証明の問題を指さしてみる。

 すると、蓮見の顔が苦い物へと変わる。


「…………理解に苦しみます」


「そ、そう。なら一緒にしてみない? ちゃんと優しく教えてあげるし、この手の問題は文言と流れを覚えたら殆どまるパクリで類似問題も解けるようになるから。ね?」


「はい」


 エリカは【式と証明】の問題に目を付けた。

 これならばエリカがさっき言ったように問題の解き方のコツさえ掴めば完璧な答えは無理でも類似問題であれば部分点は少なくとも狙えるようになる。テスト対策までを考えるなら覚えていて損はないと思われる。


問)整数x、yがx>y≧0を満たすときxの二乗からyの二乗を引いた時四の倍数または奇数であることを証明せよ。


 問題自体はこのようになんら難しくはない。

 ただ解き方を知らない学生からすると苦労する問題である。


 エリカは蓮見の顔色を伺いながら説明を始める。


「まず、この手の証明問題の時は問題文の一部をそのままここに書くの。すると部分点がこれだけで貰えるわ」


「えッ!? マジ!?」


 本気で驚く蓮見にエリカがニコッと微笑む。


「本当よ。だからまずは書いてみましょうか」


「はい!」


 こんなに簡単に点数が貰えるのか!?

 と驚く蓮見の手は滑らかに動き、エリカに指示された通りに余白を埋めていく。


「そのあとは、xの二乗からyの二乗の式とそれを因数分解した式をイコールで繋げてみましょうか」


「こんな感じですか?」


「そうそう! いいじゃん! なら『次に』とか『ここで』といった文言で文章を繋げて――」


 ここから蓮見は悩み始めた。

 どうやら文字式や文章を使った問題にエリカが思っていた以上に慣れていないようだ。

 それを表情から察したエリカは機転を利かせて二つの値をAとBに置き換えてまずは問題を解きながら解説することに変更した。

 すると、蓮見でも理解ができるのか雲行きが怪しさが消えていく。


「――ってな感じだけど理解できた? もう少し丁寧にしようか?」


「いえ。多分大丈夫です」


「うん。なら次の問題わからなかったらすぐに聞いて良いからまずは一人でできる所までやってみて」


 エリカはまず蓮見が問題に取り組みやすい環境から作っていく。

 最初は考えるのではなく、まずは取り組む。

 と、エリカはエリカなりに考えた蓮見に合わせた勉強スタイルで蓮見をリードしていく。

 その考えはどうやら正しかったらしく、蓮見が迷いながらも勉強に打ち込む姿を見る事が出来たエリカは心の中で「苦手な事でも逃げずに一生懸命頑張る子はお姉さん好きよ♪」と思った。


「エリカさん質問いいですか?」


「勿論! どうぞ」


「ここなんですけど、ここもこんな感じでさっきエリカさんがしたように問題文をそのまま書いてこんな感じで繋げる感じでいいんですか?」


 テキストに書かれた証明を見て、


「うん。オッケーよ。でもこの場合は問題文にこう書かれているからこうした方がいいかな」


 と、蓮見の意見を一度肯定してから、丁寧に理由を添えてアドバイスをしていくエリカ。そんなエリカをチラッと見た美紀は思う。


(なんでそんなに人に教えるのに慣れているのよ)


 自分より上手いなーと思った美紀は今度の参考の為、エリカの技術を静かに盗み見ることにした。



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