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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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神災者VS機械王


「ねぇ、ダーリン?」


 調子が良くなった蓮見の元に来た朱音が声をかける。


「なんですか?」


「ダーリンって弓使いよね?」


「そうですよ?」


「そうよね?」


「はい」


「もしかして俺どこか変でした?」


「んんーべつに? もう一度聞くけど弓使いなのよね?」


「そうです!」


 朱音は「そうよね、うん」と小声で呟きながら、蓮見と一緒に機械王と戦っている美紀たちに合流する。

 機械王のHPゲージは半分を切っている。

 しかし、問題が起きていた。

 蓮見と同じくHPの減少が機械王を強くしているらしく、三人を持ってしても中々決定打を与えられていなかった。どころか、美紀と瑠香が前線で苦戦を強いられたことによって口で呼吸を行い息を乱し始めていた。七瀬も的確にフォローしているが上手く機械王を捉えられていないのか攻撃が空を切っていた。


 結果。

 蓮見の後方支援は。

 ――徐々に出力をあげ、追い込まれ始めていた美紀たちを助けることとなった。


「新たな熱源――ッ? スキル『ファイアーエクスプロージョン』!」


 一度空気を吸い込んだ。手の平から圧縮した空気と一緒に放たれた深紅色の炎は七瀬の『爆焔:炎帝の業火』以上の破壊力と広範囲レンジを持っており蓮見が向けた百本余りの毒矢を一瞬で吹き飛ばす。

 二人の合流を警戒した機械王は一旦攻撃の手を緩め、空中で静止後、五人を見下ろしながら「随分と貧弱な援護だな。お前たちの実力はその程度か?」と合流した蓮見と朱音を挑発するように言った。


「へへっ、その割には機械で出来た兵士が全滅してそっちこそ内心ビビッてるんじゃないか?」


 テンションが高い蓮見は逆に機械王を挑発する。

 その間に朱音が美紀たちの元に合流して回復させる。

 朱音が話しを聞く限り機械王のAGIは美紀たちの倍近く速いらしく、攻撃練度が高い。そのため一手や二手先を読んでもステータスのスペック差でどうしても攻撃が上手く当たらず本来しなくていい体力消費を強いられていたらしい。それに相手が人間なら呼吸や仕草から次の一手を読むことも可能だが相手が機械のためそれらは一切通用しない。戦いながら手に入れた攻撃パターンを頼りに頭でシミュレーションして次の攻撃に繋げていたと聞いた朱音は「逆によく三人で半分もHPを削ったわね。『覚醒』を使ったとは言え上出来ね」と正直感心してしまった。そんな四人の視線の先ではそんな状況になっていたとは知らない蓮見がヘラヘラとしている。


「戯言を。王が兵士を失ったぐらいでぐらついてどうする?」


「それもそうだな。さっき俺にその貧弱って言ったな?」


「あぁ」


「その言葉そっくりそのまま返してやるよ。自称王様!」


「ほぉ、威勢はいいようだな」


「へへっ。そりゃ、どうも!」


 機械王が幾ら速くてもこちらはプレイヤー最速の男がいる。

 それが蓮見だ。

 全プレイヤーでずば抜けてAGIは高い蓮見。

 そんな蓮見が本気を出せばあるいは機械王の速度に正面からついていけるかもしれない。


 故に結論は決まった。


「ちょっと面白そうだしここはダーリンに任せてみない?」


 朱音の提案に三人は頷き、戦闘が始まる前に後退する。


「なら、そろそろ行くぜ!」


「かかってこい」


 その言葉を合図に蓮見と機械王の戦いが始まった。



 まだ神災モードではない蓮見だったが朱音の予想通りスピード勝負だけで言えば美紀たちより全然戦えている。


「これでも喰らいやがれ! スキル『連続射撃3』!」


 五本の矢が空中で浮遊する機械王に向かって飛んでいく。


「威勢が良かったわりには話しにならんな」


 急降下することで飛んできた矢を避けるだけでなく、地面が近づくと水平移動に切り替えて飛んでくる。


 落ち着いて弓を構えて矢を放つも当たらない。それでも足を動かして、攻撃の手も緩めない。機械王からの攻撃の隙を見つけて矢を放つことで少しはダメージを与えられるが決定打には程遠い。


「チッ、こうなったら俺様の剣技を見せてやる」


 再度、武器を持ち換え複製した鏡面の短剣を形状変化させて剣の形にする蓮見は身体の向きを変えて一か八か近接戦闘に切り替えた。


「はああああ!」


「舐めるな! スキル『ファイアーガトリング』!」


 二人が衝突した結果蓮見はダメージを諸に受けてしまう。身体中が痛い。吹き飛ばされた身体に力を入れて追撃を試みる機械王の一撃に今度はタイミングを合わせてカウンターを狙う。


「何度も同じ手を喰らう俺じゃないぜ!」


 機械王の一撃をギリギリまで引き付けて避けた蓮見はクロスカウンターを顔面に決めた。ついぞ弓使い以前の素手による攻撃は機械王に僅かばかりのダメージと動揺を与えた。


「なんだと!? 急に動きが‥‥‥‥」


 予想しなかった攻撃に機械王が離れていく。そして、蓮見の変化にようやく気付いた機械王は自分がなにをしたのかようやく察したようだ。HPゲージが三割弱になったことで蓮見が神災モードになり水色のオーラを纏っているのだと。


「こちらの攻撃をわざと受けたのはHP調整のため‥‥‥‥先ほど突撃してきたのもそのため‥‥‥‥」


「‥‥‥‥ふっ、ようやく気づいたか」


 実際はそこまで考えていなかった。たまたま結果的にそうなっただけなのだが、蓮見はブラフで機械王を奔放していく。


「お前は俺の術中にはまっているんだよ」


 ドヤ顔を見せ、渋い声で続ける。


「俺は最初からこれを狙っていたのさ」


「なるほど。すまなかったな、どうやら勘違いをしていたらしい。お前は貧弱ではないと認めよう。ここからはこちらも本気だ」


 蓮見のパンチでHPゲージが三割を切ったことで機械王の心臓部から炎が溢れ出しては全身を燃やす。どうやら、お互いに準備が終わったようだ。



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