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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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機械兵士からエリカを護れ


 蓮見の常軌を逸した行動に戸惑ったのは味方だけではない。

 高度なAIを詰んだ機械兵士に一瞬の迷いを与えた。高度なAIが災いした瞬間だった。その僅かな時間が蓮見に攻撃のチャンスを与える。


「正面からぶった切ってやるぜ! スキル『猛毒の捌き』!」


 弓を直して鏡面の短剣を複製し剣の形にした蓮見はあろうことか正面突破を試みる。そんな馬鹿げた行動を易々と認めるわけにはいかない機械兵士が焔龍を操り蓮見にぶつける。


「大抵のことは踏み込んでから決める! それが俺の美学だ! だから毒矢さん後は頼んだぜ!」


 正面から突撃してくる焔龍に対して毒矢によるKillヒットを狙った蓮見。

 そのまま迂回してお互いの距離を縮めていく。

 そこに迷いはない。

 前向きなのか後ろ向きなのかよくわからない台詞こそ吐いたが身体は前向きらしい。

 どうやら蓮見のテンションが徐々に上がってきたようだ。

 その証拠にさっきまで苦難の顔を見せていた蓮見の表情に笑みが戻りつつあった。


「ウォォォォォ!!!」


 焔龍をKillヒットした毒矢は続いて機械兵士に攻撃を開始する。

 蓮見の後方から飛んでいく毒矢は確実に機械兵士の頭部や心臓を撃ち抜いて一撃で無力化していく。蓮見の常軌を逸した行動に機械兵士が迷っているのだ。そのため判断に遅れが生じ、その決定的な瞬間を毒矢が貫く。


「おぉーりゃぁーーー!」


 機械兵士との間合いを詰めた蓮見は先程見た朱音同様に敵陣の中心部で武器を振り回していく。


「追加だ! スキル『猛毒の捌き』!」


 蓮見の声を合図に毒矢が三十本追加された。

 それを横目で見た朱音と今も飛んでくる攻撃からブルーとイエローに護ってもらっているエリカが同時に口にする。


「「そんな、無茶苦茶過ぎるわよ……」」


 二人の意見が一致した瞬間だった。

 それもそのはず蓮見の剣はルフランのように洗練されているわけでもなくキレもない。ただ素人が力任せに振り回しているだけなのだから。そんな蓮見の剣を脅威にさせている存在がある。それが蓮見の隙を見て反撃をしようとした者に自動で攻撃をする毒矢だ。毒矢は蓮見の上空付近で飛び回っており簡単には撃ち落とされないように飛行している。


「変わりゆく時に生きる俺はカッコイイ剣士として生まれ変わった! 機械兵士どもかかってこいや!」


 ん? 剣士?

 その剣捌きで?

 と思う者たちからは苦笑いしかでない。 

 それでも当の本人は真面目も真面目、大真面目である。


 隙だらけの不器用な立ち回りで一体、また一体、と少しずつダメージを与えていく。逃げる敵には容赦なく毒矢による背後からの攻撃。逆に近づく者は仲間への被弾を恐れて七瀬のように武器を鈍器のように振り回すもお互いに素人同士なので粗が目立つため大きなダメージにはならない。魔法使いはそれができても弓使いはそれすらできないので、攻撃を回避するだけ。機械兵士(AI)がこの状況の打開策を導く前に蓮見は死に物狂いで攻撃を続けていく。


「チッ、埒が明かないな。それにこのままじゃ毒矢が足りない。かくなる上は――」


 蓮見大きく息を吸いこんで、


「ミズナさん――アイ・ラブ・ユー!!! 間違えたー!!! ヘルプミー!!!」


 すぐに返事が返ってきた。

 それも蓮見に負けない大声で。

 この時数名が一瞬イラッとしたことは蓮見の知るよしではない。


「ちょ! 変なきたぃ――じゃなくて、急に変なこと言わないで! 気が散るでしょ! ったくもお、スキル『爆焔:chaos fire rain』!!!」 


 七瀬の味方に対する補助魔法の一つ。

 それは蓮見の毒の矢を全て呑み込む。


「これでいい?」


「いいいいいいいぃYES!!!」


 上空に出現した巨大な魔法陣を出口にしてその数を十倍にして放つ。

 七瀬の持つ、味方攻撃に対する最強支援魔法スキルである。


 蓮見の放った猛毒の矢が全て呑み込まれ本数を増やして雨の如く機械兵士たちに向かって降り注ぎ始めた。


 二十本の毒矢が十倍で二百本。

 それらは全てKillヒット狙い。

 朱音の遊び相手として頑張っていた機械兵士を含めてこの瞬間全ての機械兵士が天へと帰還することとなった。


「行け! どさくさに紛れて俺様が後方支援としても頼りになるところ見せてやるぜ!」


 気付けば蓮見のテンションは良い感じに上がっているではないか。

 エリカに一度拳を向けて親指を突き出しては笑顔を見せる。

 神災戦隊ことブルーとイエローにこのまま援護を頼むとアイコンタクトで意思疎通をする。

 不敵な笑みを向けた蓮見は機械王へと視線を移す。

 余った百本余りの毒矢は蓮見の気まぐれで美紀たちと互角の勝負をしている機械王へと全て向けた。


 誰も予想すら、いや期待すらしていなかった後方支援の恩返しは――。

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