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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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浮沈の機械王


「出力をあげた。さっきまでとは違うぞ、油断してあの世に行かないように気を付けるんだな」


 機械王が動いた。

 ただしさっきまでとは違う。

 両の手のひらから放出される炎を推進力とした動きは距離にして十二メートルを瞬時に縮めてくる。空中で片足を折り曲げもう片方の足を前に出し上半身を後ろに倒す。蹴りの態勢に入っていることがギリギリ認識できた美紀は膝を後ろに追って避ける。顔の数センチ上を通り抜けたと思いきや急停止しからの遠心力を利用した回転蹴りが飛んでくる。


「きゃあああ!」


 三人の中で一番軽い瑠香が蹴り飛ばされた。七瀬は杖を盾にすることでなんとか耐えるもバランスを崩してしまう。


「まだだ!」


 七瀬に向けられるかかと落とし。


 美紀が下半身に力を入れて起き上がり、すぐ七瀬を護るため動く。


「ミズナ! スキル『アクセル』!」


 美紀が七瀬の前に立ち機械王の一撃を受け止める。槍を両手でしっかりと持つも、女の子の筋力では機械王の一撃を受け止めるには不十分だった。ダメージを受けフィードバックダメージが美紀の身体に入る。


「サンキュー、助かった! スキル『水手裏剣』『雷手裏剣』!」


 美紀の身体を左手で受け止めながら七瀬が反撃に出る。至近距離からの攻撃は機械王が回避行動を取る前に当たる。水で濡れた身体に雷が流れ追加ダメージも入った。だが、喜んではいられない。機械王はすぐに態勢を整え瑠香に突撃していく。


「スキル『ファイアーガトリング』!」


 瑠香は覚悟を決めて、正面から立ち向かう。


「そっちがその気ならこっちだって! スキル『桜花乱れ桜』!」


 最近解放されたレイピア専用スキル。

 効果は三十二連撃とかなり強力だが、スキル発動者の攻撃速度と威力がかなり上がる反面攻撃そのものにシステムアシストはない。そのため自分で攻撃を組み立てないといけないわけだが瑠香程の実力があればシステムアシストがなくても十分に戦える技量は既に持っている。故にデメリットは存在しない。逆を言えば決められた型はなく変幻自在。瑠香は機械王の動きをギリギリまで見て引き付けてから攻撃に入る。


 普段はどこか優しい瑠香。だが今は違う。殺らなければ殺られると全身で感じ取った瑠香の目は普段の姿からは想像できないぐらいに真剣だった。ピンク色のオーラを纏ったレイピアの高速の突きと一撃が重たい連打がぶつかる。レイピアが拳に打ち返される。機械王の全身はただの鉄ではなく希少価値の高い特別な金属でできているため、並大抵の武器では歯がたたない。だけど異変はすぐに起きる。


「――なっ!? 貴様まさか!?」


「どんなに強固な外装でも間接部分はどうしても弱くなる。これは当然です」


 目にも止まらぬ速さでの攻防の中瑠香はそれをやってのける。その顔はどこか楽しそうに微笑んでいる。誰かが昔あれは戦闘狂だと言った。それは間違いなどではなかった。


「だが、甘い!」


 ダメージを覚悟した機械王は敢えてその身で瑠香の攻撃を受け止めると同時に強力なパンチを瑠香の身体にお見舞いする。


「うっ‥‥‥‥」


 痛い。

 でもやっと訪れた攻撃のチャンス無駄にはできない。

 皆で繋げたのだ。

 ここで一人弱音を吐くわけにはいかない。


「ルナ、頑張って耐えて! スキル『デスボルグ』!」


「里見さん?」


「スキル『導きの盾』!」


 薄い緑色の盾が出現して瑠香の身体を護る。攻撃を終えた瑠香はそのまま背後にやって来た美紀に引っ張られて後方に下がる。勢いよく飛んで来た槍の一撃を避けそのまま無防備になった二人に襲いかかる機械王。だが、それは叶わない。背後でUターンして再度攻撃を試みる槍と可愛い妹に手を出すなと言わんばかりに七瀬が杖を大きく振り上げて機械王の頭上に降りおろしたからだ。


「チッ、小癪な」


「妹を殴る奴に言われたくない!」


 後方からの攻撃を危険視した機械王は空中へと飛び槍の対処に入る。




 三人が機械王と接戦を繰り広げている頃、蓮見と朱音は機械兵士と戦っていた。




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