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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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いざボス部屋へ



 気合いは十分の美紀、七瀬、瑠香の三人。

 逆に気合い以前に腰抜けの蓮見とそれを介護する朱音とエリカ。


「紅くん足取り重いけど大丈夫?」


「は、はい。なんとか‥‥‥‥幽霊終わってまた幽霊とかマジ勘弁してくれ‥‥‥‥」


「でもまだ幽霊って決まったわけじゃないからね?」


「そうよ、エリカちゃんの言うとおりよ。あくまでその可能性が高いだけであってそうじゃない可能性もあるのよ?」


 おどおどする蓮見を心配して見守る朱音と時折足取りが悪いためによろめく蓮見を支えるエリカ。三人は前を歩く美紀たちに置いていかれないように気をつけながら三人の背中を追いかける。


「たらら~ららら~♪」


「久しぶりに皆でチームとして遊べるからってテンション上げすぎよ、里見」


「だって嬉しいじゃん! 最近そうゆうのなかったしね」


「そうですね。里見さんとこうしてペアで何かをするのは久しぶりですもんね」


「そう、そう! ルナの言うとおり」


 なんだかんだ皆で行けるとわかって嬉しくて仕方がない美紀を筆頭に六人はアイテムの確認を済ませてから第四層へと繋がるダンジョンの場所へと向かう。


 場所は最北にある『神聖の儀式の間』である。

 ここは第三層が解放されてずっと立ち入り禁止区域だったため、全く情報がない。

 ただ一つわかるのは、ボス部屋へと続く道を邪魔するように配置されたNPCは他の場所と違いとても獰猛かつ攻撃的でプレイヤーの体力を奪いに来るということ。これは立ち入り禁止区域が解除された入り口に立て看板で警告されていたのでここまで来たプレイヤー全員知っている。


 まずはボス部屋がある場所に行くために森を抜けなければならない。

 だけど小規模最強とまで呼ばれる【深紅の美】ギルドメンバーが全員集合しているのだ。トッププレイヤーの美紀、七瀬、瑠香。さらには、朱音が合流した以上この程度障害にすらならない。


 綺麗な森林景色を護る守護者のように、森の中へ入って来た侵入者を倒す為あちらこちらから敵が襲い掛かってくる。

 蓮見とエリカは最早最強の番人となった朱音が護り、前方の道は若さ全開かつ元気マックスの三人が切り開く。


「はぁぁぁ!!!」


「ナイス! ルナ上!」


「任せて! スキル『水龍』!」


「里美後方上空からガーゴイル四体行った! 左翼のウルフの群れは私が何とかする!」


「了解! スキル『加速』『連撃』!」


「お姉ちゃん援護は任せて!」


「サンキュー! スキル『水手裏剣』!」


 と、三人の連携は完璧で最早進行を止めることはただのNPCにはできない。

 本来は肉体的疲労やアイテム消費を加速させるように意図して配置された敵ではあったが圧倒的な戦力の前では逆に準備運動程度にしかならない。


 しばらくし、森を抜けると今度は森から神聖の間に行くための空中階段が見えてきた。案内図には神聖の間の奥に神聖の儀式の間が存在するとのこと。そんなわけで少しずつゴールが見えてきた五人は足取りを軽くしてペースを上げていき一人は気合いと根性でペースをあげていく。


 まるで天空にある都市に向かって歩いているような感覚になる。

 階段は全て半透明のため下を見れば随分と高さがあるように見える。

 それにここでは森とは違いモンスターも襲って来ない。

 なので、五人は景色を堪能しながら前へと進み、一人は前だけを見て歩き続ける。


「わぁー見て! 綺麗な景色が見えるよ」


「本当ね! あそこ私達が居た街じゃない?」


「どこ、どこ?」


「ほらあそこよあそこ!」


「本当だ!」


「エリカさん目いいんですね!」


「まぁね~」


 などと楽しい会話も蓮見の耳には上手く入ってこない。

 なぜならこの後のことを考えるとどうも気分が乗らないしテンションが上がらないのだ。それだけ蓮見にとって幽霊は天敵。会う可能性があるかもと思っただけでもかなり憂鬱なのだ。そんな蓮見を見て「恐いなら手を握ってあげようか?」と子供扱いしてくる朱音。だけど歩幅は前を歩く女の子四人とは違い蓮見にしっかりと合わせてくれている。


「子供扱いしないでください……」


「あら、拗ねて可愛いわね。なら恋人繋ぎしない?」


 吊り橋効果を意図的に狙った朱音が蓮見に手を差し伸べる。


「握ってくれたら嬉しいな♪ なんて私思ってるんだけどどうかしら?」


「……顔笑ってますよ」


「でも私からのお誘い断るのかしらダーリンは?」


「俺が本当はどうしたいかわかってて言ってますね」


 口ではブツブツと言いながらも手は素直で朱音の手を握る。

 朱音の少し小さい手のひらを通して暖かい温もりが蓮見の身体へと入ってくる。

 それは蓮見の不安を和らげてくれる。


「どう? 少しは落ち着いた?」


「はい……」


「素直で宜しい。私ダーリンのそうゆうところ好きよ」


 直球で褒めてくる朱音に思わず心臓がドキッとしてしまう。

 それに嬉しそうに微笑みを浮かべて言われたら冗談だと分かっていても勘違いをしてしまいそうになる。今は手も繋いでおり照れ隠しで距離を取る事も出来ない。蓮見は朱音にからかわれたのだとわかると余計に恥ずかしい気持ちになってしまい身体の体温が上昇。それは手のひらを通して朱音にすぐにバレてしまう。


「身体は正直なのね、うふふっ」


「…………はい」



 そんな会話が数分続いた。

 だけど気付いた時には神聖の間の入り口に到着していた。

 朱音のおかげで少しは気が紛れた蓮見はここで大きく深呼吸をする。


「もう大丈夫みたいね」


 そんな声が隣から聞こえた。

 すると手のひらから伝わっていた温もりが消える、

 朱音が手を離したのだ。

 少し寂しい気持ちになってしまったが、手を握っていたのが前にいる誰かに見つかるとからかわれそうだったので蓮見は小声で「ありがとうございました」とお礼を言って寂しい気持ちとお別れをする。


「どういたしまして。もしダーリンが私の旦那になれば毎日握ってあげるわよ? な~んてね♪」


 蓮見の耳元で朱音が囁いた。

 美紀とは違った小悪魔振りに蓮見は悔しいことに期待を胸に膨らませてしまった。

 そう――考えてしまったのだ。

 脳が勝手に……。


「冗談よ?」


「わ、わかってます」


 慌てて平然を取り繕うも朱音にはきっと全部バレているのだろう。

 蓮見はそう思った。


 どこかの王宮の中にあるような豪華で大きい二枚扉を皆で開けて、中に入る。


 神聖の間に入るとすぐにHPゲージとMPゲージが全回復した。

 どうやらここの効果らしい。

 景観はワルシャワ王宮を連想されられる。

 天から吊るされた豪華絢爛な装飾品から放たれる光は床に反射してプレイヤーを下と上から綺麗な光で照らす。天窓から射す光も普段味わえない雰囲気を醸し出す役目を果たしている。


「スゲー!」


「クオリティが高い……噂通り本当にお金かけてるんだ」


「ボス部屋の前でこれってことはボス部屋もこれくらい凄いのかしら」


「色々とヤバイわね。とりあえずカメラで撮影して、リアル世界のデバイスにこの風景を一枚送って保存しておこうかしら」


 景色に見とれていても仕方がないので、奥へと進んでいく。

 道は大きな一本道で迷うことはない。

 道中に貴族の家にあるような豪華な調合品がいくつも並べられている。

 エリカがどさくさ紛れ手を伸ばし持ち帰ろうとするもしっかりと台座に固定されていて持ち帰りは不可能になっていた。

 しばらく進むとまたしても豪華な扉が前方に出現する。


『ボス攻略戦 参加しますか?


 YES / NO』


 大きなウインドウが出現した。

 それを美紀が玄関のチャイムを押すような感覚で『YES』を触ると大きな扉がゴゴゴゴゴゴゴと音を鳴らしてゆっくりと開く。


 中へ入る。

 するとバタンと大きな音が神聖の儀式の間に音が響いた。

 今度は扉が勢いよく閉まったのだ。

 これで六人はボスを倒すかボスに負けるかしないと部屋から出られなくなった。


 突然どこからか巻き起こる風はボス部屋中心部に集まり、形を形成していく。

 背後には第四層へと続く魔法陣が破壊不能オブジェクト(結界)に護られて一緒に出現。




 ボスは――機械王。

 髪色はオレンジ色で短髪。

 身長は百七十センチ程度で身体は機械で出来ている。

 心臓部にはその動力部と思われる丸い塊がオレンジ色の光を放っていてその光が機械で出来た身体の隙間(関節部分)からも漏れている。


「貴様らか。我が王宮に無断で侵入した者は。ここの王としてはまずは歓迎しよう。そして屍となることを許せ」


 全員がボスの確認を終わらせると約二ヶ月ほど前にも見た数字が空中に出現。

 カウントダウンを始めた数字がゼロになる。


 戦闘開始だ。




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