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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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蓮見何を思い何を願う(SSストーリー)


「ふふっ。やっと来たわね二人とも。でも残念ね、私に手を出せば蓮見君にも被害が及ぶわよ?」


 七瀬は困惑した。

 てっきり現実世界へと逃げたエリカは蓮見の家に行ったと考えていた。

 事実その考えは正しかった。

 だが目の前で起きている状況は想像すらしていなかった。

 それは七瀬だけではなく瑠香も同じらしく、蓮見の部屋の中を確認するとすぐに目を大きくして驚いた表情を見せた。


「どうして? どうして蓮見がエリカさんに膝枕されてるの?」


「そんな‥‥‥‥蓮見さん」


「蓮見君は今日頑張ったご褒美として私に甘えてるの。だから邪魔しないであげて欲しいんだけど」


 勝ち誇った笑みを浮かべるエリカ。

 はっ? と理解に苦しむ七瀬と瑠香。

 そこに美紀が蓮見の頭をわしゃわしゃとしながら、


「そういうことらしいわ。まぁ、見ての通り本人がね……」


 と蓮見に視線を移しながら呟いた。

 美紀の視線に合わせて姉妹の視線も蓮見へと向けられる。


「「あぁ~なるほど」」


 単純な性格な男を好きになった以上受け入れるしかないと妥協することにした。

 なぜならここで喧嘩しても得る物より失う方の物の方が大きいかもしれないから。

 だから争うことではなく第三の活路を七瀬は素早く導き出した。

 七瀬も有名な女子高に通う才色兼備の持ち主。

 純粋な学力面で言えば美紀といい勝負をする。

 偏差値六十越えの進学校に通うだけでなくテストでは学年一桁は当たり前、ゲームの腕も高い。そんな彼女が導き出した答えとは――。


「……なら明日もし美紀たち全員に勝ったら私が一日彼女になってあげるよ」


 ――蓮見の性格を理解した上でのプレゼント。


 エリカに甘え、蓮見の無気力だった目に力が宿る。


「一日彼女体験なんて~ね。今年の夏どこでも好きな所にデート相手で行ってあげる。だから明日も頑張ってね、蓮見」


「あー、ずるい!! お姉ちゃんばっかり!」


「だったら瑠香も何かしてあげたらいいじゃん」


 その言葉に断固反対の意思を見せた瑠香が考える素振りを見せる。


「なら私は明日蓮見さんが優勝したら蓮見さんの義理の妹になってあげる」


 蓮見の脳が覚醒し――新しい可能性を模索する。


「二人共それ本気ですか?」


 真面目な顔で質問する蓮見に二人はニコッと微笑んで頷く。


「もっちろ~ん! ないとは思うけどその一回で私を満足させられたら逆告白もあるかもだよ~」


「はい! おにぃちゃん! なんちゃって、なんだか恥ずかしいですけど……」


「おっしゃ! その約束絶対に二人共忘れないでくださいよ!」


 ガッツポーズをしながら跳ね起きた蓮見を冷静に自分の膝元まで戻してエリカ。


「あーーーーー! ずるいわよ、二人共!」


「ならここでさっきの話しの続きでもします?」


 エリカの反論に七瀬が悪い笑みを浮かべて言う。

 ここには美紀もいる。

 その事実にエリカも七瀬も当然気付いている。

 運が良いことに蓮見は自分の世界に入ってニヤニヤしていること。

 ここで蓮見の進化の元凶が今回も自分だと暴露し認めることができないエリカは嫉妬と葛藤を理性で抑えて作り笑顔を皆に見せる。


「あら~なんのことかしら? 私心当たりないからその話しは残念ながらできないわね~」


「ちょっと三人で話しを勝手に進めないで!」


 ここで黙って様子を見ていた美紀が声を上げる。

 その顔は見なくても声だけで不満が爆発しているとわかる。

 そんな美紀に七瀬が言う。


「勘違いしないで欲しいわ。美紀は蓮見より強いんでしょ?」


「そうだけど?」


「私と瑠香のご褒美は美紀たちが全員負けた場合のみなのよ?」


「つまり?」


「どうせ美紀も今日蓮見にご褒美与えたんでしょ? だからエリカさんが膝枕をしてもそれを認めている。違う?」


「うッ!?」


「その顔を見せるってことは図星みたいね。だったら私達もいいよね、美紀?」


「そ、それは……」


「もしかしてビビってるの?」


「……ッ!? ……あ~もお、わかったわよ……はぁ~」

(なんで皆こんなやつ好きになるのよ……。私なんか十年以上蓮見の事大好きだってのにいきなりライバル出現とか……)


 最後は大きなため息混じりに七瀬と瑠香の提案を渋々了承する。

 だけど三人の会話は蓮見の脳内には入ってこない。

 この男は既にどうやって明日の戦いに勝ち『ハーレム計画』を遂行させるかを考え始めていた。

 モテない男だと自覚している蓮見にとってはこれは千載一遇のチャンス。

 ここでチャンスを物にできなければ一生一人身の童貞道を歩む人生になるかもしれないとそれはもう危機感を感じる程に。だけどそんな危機感よりも今はムフフな妄想がポジティブな方向に脳を持っていてくれていため、自分の世界に入っており話しの内容は全然耳に入ってない。そんな蓮見に気付いたエリカは耳元で囁く。


「私ね、最近蓮見君が最初の彼氏でもいいかな~なんて思ってるから。たまにはカッコイイ所見せてくれると信じているわ」


 当然その言葉も蓮見の耳には入ってこない。

 別の意味でニヤニヤしているが。

 エリカもエリカで最近は直接的なアプローチを取り始めた。

 その理由は――。

 結局のところ「皆蓮見君が好き。でも蓮見君は……」視線を下げて膝枕をしている蓮見の頭部を撫でてあげながら「ここまでして気付いてくれないのよね……」と美紀がさっきため息をついて言う事を誤魔化した言葉を口にした。

 誰かがリードすればそれを埋めるようにして他の誰かがアプローチ。

 そのため、女子四人とっては一人抜けがして勝つための手段が必要なのだ。

 対して蓮見はその逆。

 皆が皆良くしてくれるものだから逆に気付けない泥沼にはまってはどうにかして彼女ができないかと無意識に色々と周囲を巻き込みながら頑張っていた……。


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