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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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予選 最恐VS最強 一騎討ち開幕(SSストーリー)


 調子に乗り始めた蓮見の前に現れたのはルフラン。

 蓮見と同じく観客予想でdグループの優勝候補の一人となっている。


「久しぶりだな」


「は、はい……お久しぶりです」


「俺の獲物を横取りしただけでは飽き足らず地上にいた俺まで攻撃とは中々面白いことをやってくれたな」


「……これは」


 蓮見一か八かの賭けに出る。


「事故です! わざとではありません!」


 ここに来てドヤ顔で嘘を突き通し始めるも逆にルフランに冗談だと捉えられ笑われてしまう。


「あははは、面白い冗談だ! まぁいい。余興はこれくらいでいいだろう」


「……へっ?」


「俺は待っていたぞ。本気のお前と戦えるこの日を。さぁ、手加減はいらん、今度は本気で来い。本気のお前を倒してこそ俺の存在価値が上がると言うものだ! スキル『加速』『パワーアタック』!」


 蓮見が瞬きをしている間にルフランは素早く戦闘態勢に入りこちらに突撃してくる。こうなった以上やはり戦うしかないと腹をくくる。


「チッ、やっぱりこうなるのかよ! ならスキル『迷いの霧』」


 毒煙の発生させその中に身を隠す事で突撃してきたルフランの初撃を回避する蓮見。

 そのまま至近距離で矢を放ち反撃。

 だが剣でガードされる。

 矢の方向から位置を逆算されたのかルフランの攻撃が止まらない。

 一言で言うならまるで見えている時と変わらない連撃。

 剣の間隙を見つけては距離を取り蓮見も負けじと攻撃していく。


「スキル『迷いの霧』」


 効果範囲を広げ、身を隠す場所を拡大。

 だが、毒煙の範囲を広げたところで戦況は変わらない。

 蓮見が矢を放つ度にルフランが目を瞑ったまま、僅かな気配と音を頼りに蓮見の位置を正確に把握してくるのだ。


 剣が顔スレスレを横切り髪の毛が数本切られた。

 だがそんなことを気にしている余裕はない。


「見切った! スキル『加速』!」


「アクセルじゃない時点で舐められているのか、俺」


「逆だ。お前相手に無駄なMP消費は避けたいんでな」


「…………そうなると余計に厄介だな」


 神災モードの蓮見とルフランではAGIの差がかなりある。

 だけど互角に見えると言う事は、


「さっきから先回り……というか動きが読まれているのか……」


 と言う事に嫌でも気が付く。

 毒煙で一見蓮見の優位なように見えたが実はその逆。

 蓮見が相手のスキルを利用するように、ルフランもまた蓮見のスキルを利用した。

 蓮見を追いかけるのではなく、追いかける振りをしながら動きの速度に緩急を織り交ぜ蓮見の一手先を読み待ち構える。ルフランがしていることはただそれだけ。口では簡単に言えるがそれは圧倒的な戦闘経験値があって出来る偉業。とても素人が一日二日で習得できるものではない。長い年月と時間をかけてゆっくりとその精度を上げてようやく使えるようになる常時発動ユニークスキルの一種なのだ。


「……あぶねぇ!」


「……三センチほど外したか」


「センチ単位で狙うとか里美並みに鬼じゃねぇか!」


「まぁいい。お前は既に俺の領域にいる」


「――ッ!?」


 なにより厄介なのはこれだけじゃない。

 さっきのに加え、ルフランは蓮見に勘付かれないようタイミングを見計らっては時に誘導しているのだ。

 そのため、蓮見の戦闘リズムが完璧に崩されてしまう。

 これが蓮見とルフランの実力差。

 真正面からやり合えば到底太刀打ちできないどころか勝負にすらならない。

 観客から見た蓮見はまさにルフランがそこら辺のプレイヤーを相手にしているような映像にしか見えない。だけど、それは相手が一般プレイヤーの話し。

 ルフランはここに来て確かな手応えがないことを密かに懸念していた。

 それは観客も同じだった。


「可笑しい。反撃がなぜ来ない?」


 そう。

 途中から蓮見は逃げることに全神経を集中させたために反撃が一切こないのだ。

 攻撃があと一歩の所で躱されてしまうのだ。


 時間経過以上に恐い物はない。

 故にルフランの解答はこうだ。


「まだ諦めていない……?」


 事実それは正しい。

 蓮見は今は逃げることに全力だが、いつか来る好機を密かに心の底から待っている。


「これは俺の勝手な予想だがルフランさんには俺の全力シリーズじゃ勝てない。なら勝つ為にどうすればいいかだが答えは一つしかない。それは――」


 蓮見毒煙に姿を隠しルフランを撒く事に成功した。

 一度息を整え、ゆっくり吐き出す。


「――全力シリーズを超えた超全力シリーズを一撃お見舞いするしかない。その為には……」


 蓮見大きなため息をついて。


「~はぁ。本当は里美が敵になった時まで隠し持って起きたかったんだが仕方がない。相手がルフランさんな以上最低でも里美と対等と思っておかないとマジで負けるだろうからな」


 蓮見決意する。

 とっておきをルフランにお見舞いすると。

 ただし成功するかしないかはやってみないとわからない。


 この時両者の手には緊張の汗が流れていた。

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