廃墟となった館にて
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廃墟となった館に集まったプレイヤーたち。
ついに化物――神災竜の姿で本領発揮を始めた蓮見。
「な、なんだ、あの都市丸ごと壊滅させてしまいそうな化物は……」
「もうアレ人じゃねぇな……完璧に化物になってやがる……よな?」
「人はいずれアレに進化するのかな……」
「いや、しねぇよ! そんなことあるわけねぇだろぉ!」
「おぉー流石は我らの神災教の神。素晴らしい!」
「まるで世界の命運を賭けた竜と人類の代理戦争だな……」
そんな普段では絶対に聞こえてこないであろう声に「あははは……」と同情する者がいた。
嫌な予感は最初からしていた。
だけどその予感はいい意味で外れた。
期待を軽々と超えてきたのだ。
「まさかお母さんのあんな必死な顔を仕事以外で見るとは思いにもよらなかった」
「と、言うかお母さんだけじゃない。そこに里美さんと綾香さんもいる。だけどあの三人を相手に均衡って本当にあの人何者なの? いつもは私一人でも修業ではギャーギャー言って地べた這いずり回って逃げ腰で逃走常習犯なのに……。なんで今日になると急に人が……化物が変わったように強くなるの?」
「し、知らないわよ……。それがわかれば今頃里美の槍が貫いているんじゃないの?」
「お姉ちゃん心当たりない?」
「うーん、そうね~」
七瀬は瑠香の問いに少し考えてみる。
蓮見があんなに激変する事象があったかを。
すると、ふとっ閃いた。
「もしかして……桃源郷じゃない?」
「えっ?」
驚く瑠香。
まさか人はそれだけのためにあんなに強くなれるのかと。
「そんな下心だけで強くなれるの?」
「うっ……うん。たぶんね」
「……仕方ない。。。今度から修業の時は脱ぐか」
真剣な表情で呟いた瑠香に七瀬が視線を戦場から瑠香へと向ける。
「ん? 露出狂にでもなるつもり?」
「……紅さん以外の前では脱がないから安心して」
「……って出来るわけないでしょう!」
「なんで?」
「紅がそれで暴走したらどどどどうすのよ?」
「そんなの決まってる! 学校辞める覚悟で全部受け入れる! 幸いお母さんに貯金があるのは先日分かったし!」
「…………はぁ」
もうなんて声をかけていいかわからない七瀬。
自分もだが妹が変態であることは前々からわかっていたが、よもや好きな人に対するアプローチが健全の道から大きく外れすぎていてどうしていいかわからない。
「でも安心して。一割は冗談だから♪」
「そう、ならいいけど……ん? 今何割って言った?」
「……ん? てへっ♡」
無邪気な笑顔で誤魔化すことを始めた瑠香に七瀬大きなため息一つ。
もうこれ以上この会話は止めようと視線を瑠香から戦場の方へと戻す。




