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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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小休憩と思考


 ■■■


「あれ……もしかして痛み感じないぐらいアドレナリン出てる感じ?」


 これには流石の美紀もびっくり。


「あのタイミングでまさかあんなことするとはやっぱり常識外れね……あはは」


 正直さっきの一撃はタイミング的にも成功すると踏んでいただけに美紀は少なからず焦りを覚えた。蓮見の火力は今も尚凄い勢いで衰えている。はずなのに追い込めば追い込むほど逆に自分達が泥沼にはまっていくような感覚。

 ワクワクするはずなのに全身が見えないプレッシャーに喜びを感じながらも恐怖してしまう。

 それは不快感などなく何と言うか忘れていた感覚とでも言うべきだろうか。

 蓮見は決して強くはない。

 だけどこうして対峙すれば肌が感じ取ってしまう。

 強者だけがもつプレッシャーを。

 何より楽しそうに微笑む蓮見に好奇心が刺激される。

 期待外れなんかじゃなかった。

 蓮見だからこそまだ私が知らないなにかを見せつけてくれるのではと過剰な期待をしてしまう。いつからだろうか。気付けば全身がいつもより軽い。それはきっとこの時を自分が何より楽しんでいる証拠なのかもしれない。


「まさか……ここまでやるとはね」


 初めてだった。

 ゲームを本格的に初めてまだ半年程度しか立たない人間に右手が微かに震えるなど。

 回収した槍を伝わってくるこの脈動は一体なんだと言うのか。

 周りが神災と褒め称える理由がなんとなくわかった気がする。

 蓮見は紛れもない発想力がある天才なのだと美紀は認めた。 

 才能とは生まれ持った物ではない。

 人が努力して得た者や努力していく中で得た経験や知識から生まれる物。

 他人から見ればそれは大したものではないかもしれない。

 でも他の他者から見ればそれは才能に見える事もある。

 つまるところ才能とはこれまた不明確な定義の元成り立っているのかも知れない。

 不明確な定義という意味では神災もまさしくそう。

 広範囲攻撃による一撃必殺、通常攻撃による一撃必殺、スキルによる一撃必殺、どれもきっと蓮見以外が相手なら決して怖くない。

 蓮見が使うからこそそれらは必要以上に警戒しなければいけない。

 百三十九の飛んでくる矢を全てレイピアで落とした朱音を見れば一呼吸入れている。

 あれだけでも凄腕の実力者だとわかる。

 普通にプレイヤー技術だけであれを防ぐのは美紀でも不可能。

 それを息を少し乱す程度で造作もなくした朱音は異常。

 だけどその朱音を持ってしても整えれるときは息を整えているということは逆を言えば朱音ほどの実力が合っても蓮見を警戒しているということ。

 決して無茶な攻めはしない、と言うべきだろうか。

 対して自分と差違があまりない綾香も同じ。

 まだ何かしてくるのだろうと警戒しつつも期待の眼差しを蓮見に向けている。

 

「追い込めば追い込むほどプレッシャーを与えてくる相手は稀。だけど大抵はそんな人間は死に物狂いで辛い表情を見せる。だけど紅は逆。追い込めば追い込むほど不敵に楽しそうな笑みを向けてくる。まるで逆境そのものを楽しんでいるような。だからなのかな、こっちまでワクワクしてきちゃうのは」


 蓮見に釣られて美紀が笑みをこぼす。

 念の為にとHPポーションとMPポーションでステータスを回復しておく。

 蓮見は使用制限のあるスキルを武器として戦っている。

 幾らエリカの援護があるとはいえ限界がなくなるわけではない。

 頭の中で情報を整理するも蓮見が後使えるスキルそれも自分たちの脅威となるようなスキルはもうないはず。

 それは頭ではわかっている。

 だけど油断はできない。

 むしろここからが本番だともう一人の心の中にいる自分が大音量で警告してくる。

 理屈じゃない。

 本能がきっと何かを蓮見から感じ取ったのかもしれない。


「警戒って言ったら……後は模倣が一回あるぐらいだけど」


 どんなスキルでもコピーできる模倣。

 だけどそれは一回につき一つのスキル。

 つまりその一回で何が出来るかと考えればおのずと蓮見の行動パターンが読めるのだが蓮見の場合何をしてくるかが読めない。そもそも最近では超全力シリーズまで改良が進んだ全力シリーズあれはスキルであってスキルの領域をある意味超えている。そのため熟練者の美紀でも対処にかなり手間取る。現に諸に受けてはポーションでその傷を癒しているのだから。


「だけどここで怖気づいたら向こうの思う壺だろうし……こっちもギア上げて攻めるしかないわよね」


 と再度槍を構え攻撃態勢に入る美紀。

 どうやら蓮見も同じ考えのようでタイミングを狙ったかのように神災モードを利用した最高速度で突撃してきた。




 ■■■


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