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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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神災竜蓮見絶体絶命!?


 もしこれが通用しなければ蓮見は絶望的な状況になる。

 それがわかっているからこそここが勝負所だと自身に言い聞かせる。

 スキル『猛毒の捌き』『虚無残像』を始め超全力シリーズ消耗により蓮見の強さは凄い勢いで落ち始めている。それは前に美紀が言っていた言葉に通じる。蓮見は燃費が悪い火力任せな所がある。正にその通りなわけでエリカの助力がなければ今頃ガス欠寸前だっただろう。それでも火力低下は免れない。あるのはあくまで延命。それは当然蓮見の眼前にいる三人も分かっている。


「スキル『咆哮』!」


 大きく息を吸いこんで吐き出す。

 蓮見がまず初めに狙ったのは朱音。

 朱音の動きが二秒鈍くなる。

 その間に全力で近づく。

 大きな羽を羽ばたかせ、魔法陣に命令し毒矢と共に。


「来るのね。いいわ! かかってきなさい!」


 動きが制限されても臆することなく待ち構える朱音。

 そして二秒経過。

 レイピアの剣先が僅かに動き蓮見へと向けられる。

 些細な変化ではあるが蓮見は見逃さなかった。


「いいわ、もっとよ」


「なにか狙っているのか……?」


 蓮見が右手に力を入れて拳を握る。

 そして力いっぱい朱音に向かって振り抜く。

 突撃の推進力を得たパンチは朱音の顔面を容赦なく殴る。

 予定だった。

 蓮見が瞬きしたタイミングで朱音がギリギリで躱す。

 想定外の動きに蓮見目を大きくして驚く。


「悪いわね。見えないなら見える距離で戦えば実は怖くないのよ」


 空を切った右腕にレイピアが突き刺さる。

 それも一撃や二撃などではない。

 数にして十連撃。

 スキル乱れ突きである。

 瑠香が使うより倍、いや十倍、そうじゃない百倍は恐ろしい。

 激痛に耐えすぐさま毒矢で反撃。

 そのまま勢い殺さず朱音の前を大急ぎで通り過ぎていく蓮見。

 だがその間にも四回レイピアの剣先が蓮見の身体を貫いた。

 たった一回の攻撃を外しただけで二割HPゲージが減った蓮見は痛みに耐え振り返ると同時に次の攻撃に備える。


「毒矢も百本以上あるのに全部避けたのかよ……」


 逃げ道をふさぐように広範囲で展開された毒矢は全てギリギリのところで躱されそのまま蓮見と一緒に朱音を通り過ぎて蓮見の後方へと戻ってくる。

 たった一回の攻防。

 それだけでもわかってしまう。

 朱音がどれだけ普段手を抜いて遊んでいるのかが。

 そして思う。

 なぜいつもは手を抜いているのに今日はいつもより気合いが入っているのだと。

 思考はネガティブな方へと働く。

 だけど敵は待ってくれない。

 朱音に注意を向けている隙に両サイドから別の気配を感じる。

 美紀と綾香だ。

 まだ痛みが伴う右手はしばらく使えそうにないので、左手のガトリング砲以外の銃口を綾香に向け一斉発射。そして毒矢を半分――数にして七十本美紀へと向けて発射。残りは朱音を警戒して待機させる。


「もう見慣れたよ、紅! 幾らその武器が高火力かつ広範囲攻撃が可能でも人一人通れる隙間が必ずどこかには出来る。だったらそれを見つければ怖くないからね! スキル『アクセル』!」


「んなっ無茶苦茶過ぎる!?」


 驚くのはまだ早い。


「その程度で私を止められると思わないでスキル『アクセル』!」


 二人の速度が急上昇。

 完全に蓮見の斜め上。

 いやこれくらいまだ予想通り!

 と強引に思い込む事で蓮見は次なる一手を即座に考え行動に移す。


「だ、だろうな! それぐらいよ、よんで、読んでいたぜ、お嬢様方! スキル『ドラゴン三十六裂アイアンクロー』!」


 動揺を隠しきれない蓮見はその場の勢いで反撃の一手に出た。

 蓮見の両手の爪が赤く燃える。

 炎属性の力を得た爪に力を集中させて自ら綾香へと突撃し三十六の連撃をお見舞いする。

 この際右手が痛い等言っていられない。

 そんな泣き言を言っていては男がすたる。


「ッ!? 面白い。スキル『幻影の舞』!」


 綾香の二十二連撃が蓮見に襲い掛かる。


「背後貰った! スキル『パワーアタック』『連撃の舞』!」


 背後からは美紀の十四連撃。

 さらに。


「私を忘れてもらっちゃあ困るわね! スキル『ペインムーブ』!」


 上空から迫りくる六連撃。

 どれを受けてもマズイ。

 と言うか、どれか一つでも真面に受ければそれだけでも下手したら再起不能なんてことになるかもしれない。絶体絶命の危機に蓮見は微笑む。



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