命懸けで編み出した最恐の技
美紀がイフリートに向かって走り始め、蓮見がイフリートの背後に回るため迂回する。
しかしイフリートは二人の狙いに気付いたのか蓮見を狙う。
大きくジャンプをして燃える拳を力いっぱい振り下ろしてくる。
想像以上の速さと威力に蓮見が壁まで瞬時に吹き飛ばされ、大地がへこみクレーターが出来る。
「スキル『ライトニング』『連撃』!」
蓮見はスキル『不屈者』の効果でギリギリのとこで踏ん張るがHPゲージがないに等しくなる。そしてイフリートの注意が蓮見に向いたタイミングで美紀の槍が白いエフェクトを放ち雷撃からの鋭い七連撃を与える。
「よし! ならばスキル『破滅のボルグ』!」
手ごたえがあると感じると同時に美紀が後方に大きくジャンプをして槍を投げる。そのままイフリートの心臓を貫き大ダメージを与えた槍をスキル『巨大化』の付加能力を使い回収する。
「スキル『レクイエム』!」
怯むイフリートに蓮見の追撃がクリティカルヒットする。
Killヒットではないがダメージを与えた。
「ウォォォォォ!!!」
イフリートが雄たけびを上げるとHPが自動回復を始める。
どうやらある程度ダメージを与えると発動するボスのユニークスキルらしい。
「スキル『ライトニング』」
雷撃がイフリートに当たるがHPを自動回復するイフリートにはあまり効果がなかった。
イフリートが今度は美紀を狙い、飛び掛かる。巨体から繰り出されるパンチや蹴りの間隙を狙い反撃していく。そしてイフリートの目に狙いを付ける。
重心が左足に乗り、イフリートの渾身の一撃のパンチが来た時、それをギリギリまで引き付けて躱す美紀。そして大きくジャンプをして槍を投げ、イフリートの右目を貫いた。そのままイフリートの身体の上を駆け抜け、顔の前まで来た時に短刀で更にダメージを与えながら槍を回収して蓮見の元に向かって大きくジャンプして合流する。
「どう! この圧倒的実力! まだまだ紅には負けられないからね」
左手に持っていた短刀を直し、そのままガッツポーズをする美紀。
右目を潰されイフリートは片膝をついてその場に倒れ込んだ。
「流石だな! 良しなら俺も! スキル『連続射撃3』!」
蓮見がイフリートに向かって【鏡面の短剣】を複製からの形状変化をして放つ。五本の矢がイフリートを直撃する瞬間、矢が蒸発して消えた。
よく見るとイフリートの身体が全身燃えていた。どうやら頭、両手両足にあった炎が全身に広がり防御力と攻撃力を上げているように見えた。
「マズイ……あれじゃ近接戦闘は無理」
「なら俺に任せろ! いい案がある。悪いけど少しだけイフリートを頼む」
美紀がイフリートの注意を引くため突撃する。蓮見は左手にポーションを持ち、右手に複製した【鏡面の短剣】を持つ。そして全力でイフリートの右目の死角方向から近づく。
「里美、『パワーアタック』を見せてくれ!」
「わかった、スキル『パワーアタック』『雷撃』!」
そのまま返事をして、雷撃で更に注意を引く美紀。
「スキル『投影Ⅰ』、見せてやるぜ! この俺が奇跡の一撃をなぁ!」
投影でコピーしたのは美紀のパワーアタックだ。イフリートに気付かれることなく近づいた蓮見は左手に持っていたポーションの飲みHPを回復する。これ以上の接近はイフリートの炎の熱さに影響を受け近くにいるだけでHPが減っていくためである。
「覚悟しろよ!! さっき先制攻撃してくれたお返しだ!」
「今から見せるのは俺がゲーム中に死を悟った際に思い付いた最強にして最恐の技だ! スキル『パワーアタック』!!!」
蓮見が持つ【鏡面の短剣】が白いエフェクトを放ち攻撃力を上昇させる。そして背後まで近づき【鏡面の短剣】を勢いよくイフリートのお尻に突き刺す。
――ブスッ!!!
確かな手ごたえを感じると同時に【鏡面の短剣】が攻撃時に発生させる水がイフリートの炎で気化させられる。それだけでなくどうやら武器も攻撃の影響を受けるらしく【鏡面の短剣】が熱くなる。あまりの熱さに慌てて手を離してその場から逃げる蓮見。
そして【鏡面の短剣】が水蒸気爆発して消えた。
「ウォォォォォォ」
今度はお尻にダメージを受けて四つん這いになって苦しむイフリート。
「よっしゃー! どんなもんだぁ!!!!」
大きくガッツポーズをして喜ぶ蓮見。
イフリートのベースは人間でそれを神話化させて作られたイフリート。完成度の高さ故の誤算でかなり痛そうだった。蓮見はイフリートの弱点が心臓と頭である事に気付き、この事にも戦闘開始と同時に気付いていたのだ。
「なんか嫌だけど……えぇーい。とりあえずこれで終わりよ。スキル『パワーアタック』『破滅のボルグ』!」
MPポーションを飲んだ美紀が目とお尻を抑えて苦しむイフリートに止めの一撃を与える。
抵抗する力がないイフリートは心臓を貫かれた事によってHPを失いそのまま光の粒子として消えていった。
「おつかれ」
「うん……お疲れ様。ってか最後のなに……?」
「んっ? 最後のって俺がパワーアタックを使えた理由か? それは……」
「じゃなくて、あの一撃は何なのかって聞いてるの?」
「あれはだな……俺が里美に言われてプレイヤースキルを磨く為にイノシシと戦った時に……」
蓮見は美紀にあの日の事を説明する。
説明していく中で、美紀の目がゴミを見る冷たい視線になっていく。
――そして。
蓮見は美紀に十分間その場に立たされみっちりと怒られた。




