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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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廃墟となった館にて


 蓮見は何度世界を破壊すれば気が済むのだろうか。

 そう思わずにはいられない。

 赤い満月の光が照らす一体の神災竜。

 その身体には沢山の武装がある。

 だけどそれは所詮蓮見の本領ではない。

 本領発揮をした蓮見は息一つ乱すことなく荒れ果てた世界で天に向かって雄たけびを上げる。


「ウォォォォォ!!! 桃源郷ぉぉぉぉぉぉ!!!!」


 戦意喪失した者を更に問答無用で巻き込んでは十九名、今の超新星爆発で地獄送りにした化物は自分の欲望に忠実となる。廃墟となった館では、


「……はぁ、はぁ、はぁ、危なっかった」


 七瀬が間一髪の所で広範囲に障壁を何重にも展開して多くのプレイヤーたちを護っていた。護る義理はないのだが、なんとなく蓮見の言葉が気になってなんとなく護ってしまったのだ。そもそも超新星爆発といいインフェルノワールドといい最後の引き金は七瀬の必殺スキルを模倣でコピーしたものである。それは四天王《神災竜》の一体を倒す時に使った物で決してこんな災いを呼ぶために使ったわけではない。


「この距離で六枚貫通ってエリカさんが加わるとたまったもんじゃないわね」


「いや、でも、あれ……お前達のギルドリーダーだよな?」


「……そうね」


「なぁ、一つ聞いていい?」


「なに?」


「アイツ桃源郷がなんちゃらかんちゃらって叫んでたけどなんのこと?」


 蓮見の桃源郷についてだけは話したくない七瀬は瑠香にアイコンタクトで助けを求めるも慌てて視線を逸らされてしまう。それどころか私は何もしりませんよアピールなのか口笛を吹き始めた。


「知らないわよ……。てか里美死んだんじゃないの?」


「……まじ……私達の希望が……潰えたの?」


「てか【異次元の神災者】とエリカのHPゲージは相変わらず満タンって所か」


「朱音さんと綾香はどうなった?」


「……さぁ。でもアレをまともに受けて生き残るって無理だろ」


 そう皆が皆が言い出した時だった。

 黒い地面から手が生えてくる。


「はぁ~マジで死ぬかと思ったわ~」


 そう言いながら出てきた美紀。

 槍をおばあちゃんが使う杖のようにして這い上がり立ち上がった。

 その光景を見た者達は。


「おぉぉぉぉぉぉ!!! 流石は里美!!!」


 それからすぐに里美コールが始まった。


「いてて、反応が後一秒遅かったらお陀仏だったかしらね……」


 そのコールに反応するように朱音。


「うへぇ~、まさか未来予知しても躱せない一撃が来るとはね」


 そして綾香が復活する。

 だけど三人のHPゲージは赤色。

 本当に余裕がなかったのだろう。

 防具についた土や灰を払落しながらHPポーションとMPポーションを飲む三人。


「おいおい、生きてるじゃん」


「すげー。一体どんなステータスしてるんだ」


 それを見た廃墟となった館にいるプレイヤーたちは目に希望の光を見たように呟く。


「流石って言いたいけど……あーなった紅は里美とお母さんでも簡単には止められない」


「だね。私達が絶対に敵に回したくないナンバーワンはお母さんでも里美さんでもない。誰がなんと言おうと無邪気な笑みをこぼして楽しそうにしている紅さん」


「そう。そして私が尊敬する人」


「好奇心の塊であるお母さんに目を付けられた紅さん。本来だったらその時点でもう詰んでいる。それだけ実力差がありすぎるから。だけど今の一撃でお母さんのHPゲージを七割削った。つまりはアレを超える一撃性を秘めた技があれば紅さんが勝てるかもしれない」


「そうね。でもまぁ、あるんじゃないかしら」


「お姉ちゃん?」


「だってまだ一回模倣が残っているから」


 それを聞いたプレイヤーたちは瑠香を含めサッと血の気が引いた。

 なにかを確信しているような七瀬の呟きが現実となるかならないか注目はそこへ集まりつつあった。

 この時、もうイベントに乗り気な者は殆どいなかった。

 あまりにも危険な戦いがすぐ近くで繰り広げられると知ってしまったから。



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