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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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まだ二日目! 降臨――神災竜!?


「な、な、な、なるほど……。こいつらは女の子だったのか……」


「「「「…………?」」」」


 幽霊たちは答えない。

 当然と言えば当然だが幽霊に人間のような性別は存在しないし、そもそも女の子と言うのは無理があると言えよう。例え幽霊に年齢という概念があったとしてもサイコパスや霊能力者のような特別な力を現実世界で持たない人間がそれを見ただけで判断するのは無理だ。なぜなら蓮見には全部同じに見えるから。唯一わかるのは名前と武器がなんか違うなぐらいで幽霊自体の些細な変化には全く気づいていない。


「か、まは命だとわかるが、……巨大なハサミは……ッ!」


 蓮見は勘付いた。

 巨大なハサミは――。


「まさか命だけに飽き足らず嫉妬したあげく俺の息子も標的か!」


 少し前に見たニュースで若い女に浮気した旦那の局部を刃物で切断した事件を思い出した蓮見は二つの意味で危機感を覚えた。

 そして覚悟を決める。

 昨日はいいようにしてやられたが今日はそうはいかないと。

 まずは安全を確保のため緑色の扉がどこにあるのかを確認。

 それから今にも乱れそうになる息を整え、震える全身に力を入れる。


「そっちがその気にならこっちにも考えがある! あ、あああとでこうかぁいするなぁよぉぉぉ!」


 途中から声が震えていまいち説得力に欠ける。

 だけど蓮見は蓮見で真剣。

 そして鏡面の短剣を複製し手に持ち迷いなく剣を突き立てる。

 ヒットした事により水飛沫が舞う。

 そして血に似た赤いエフェクト。

 鏡面の短剣のダメージを受けた事によりみるみるHPゲージが減っていく。

 プレイヤーでは一部の者だけに許された意図的なKillヒット。

 だが、満タンのHPゲージは赤色つまり一だけ残して減少を止めた。


「「「「「…………」」」」」


 嫉妬した者達が見守る中、本気の本気神災モードとなった蓮見が目を覚ます。

 数々の伝説を残してきた蓮見の目覚めに周囲を取り囲む幽霊が動きを止め警戒態勢へと入る。

 複製した鏡面の短剣を投げ捨てて、首をぽきぽきと鳴らす蓮見の目は真剣なものへと変わっていた。場の空気が一瞬で変わった。そう言っても間違ってはいないだろう。


「こうなったらお前達に見せてやる……この俺の本気をな! 来い! 俺様戦隊!」


 蓮見を中心に風が出現し幽霊たちの前に二人の蓮見が合流する。


「よっ! また会ったな兄弟!」


「そうだな、んで今日はどうした?」


 ブルーとイエローの頼もしさにレッドは鼻で笑い、


「……周囲を見渡してみな」


 ブルーとイエローに状況を確認させる。

 そして、


「後は頼めるか?」


 と、自分の力で勝てないなら分身に倒して貰おうと考えた蓮見。


「……任せとけ!」


「……あ、あぁ……いいぜ。とりあえずアレ一つでいいからくれない?」


「アレ?」


「あぁ……××」


「あぁー、これね。これでいいんだな?」


「おう、サンキュー!」


 なんとも頼りになるブルーとイエローの言葉にレッド蓮見心の中でガッツポーズ。

 最初からこうすれば良かったのではないかと過去の自分に言い聞かせて自分だけ逃げる準備へと入る。神災モードになったのはブルーとイエローのためなんかではない。ただ自分が一秒でも速く安全地帯へと行くための手段の一つに過ぎない。だけど、全部を全部伝える必要はないと考え、


「おっしゃ! 行けー! 俺様達!」


 と叫ぶと同時レッド蓮見は全力で緑色の扉へと向けて足に力を入れた。

 しかし――。

 それは読まれていた。

 違う。

 見抜かれていた。

 しまった、と思うもこうなった以上後にはひけない。


 ――。


 ――――ッ!!!


 レッド蓮見は驚いた。

 まさか――。


 ブルーとイエローも幽霊が苦手でフェイクを織り交ぜ本体であるレッド蓮見に嘘をつき自分達も逃げようと考えてくるとは思いにもよらなかった。

 忘れてはいけない、分身とは本体の状態をそのままコピーした言わばもう一人の自分であることを。


「「おっしゃ!!! 俺が敵をひき付けてやるぜ!」」


 有言実行と言わんばかりに三人が同じ方向に逃走を開始したため幽霊達が追いかけてきた。


「おまぁ、えたちふざけんなよ! 少しは真面目に戦え!」


「わかってないな、俺は俺で俺達はお前。つまりはそうゆうこと!」


「だからこうするんだよ!」


 レッド蓮見より一足先に外へと出たブルーとイエロー蓮見。

 それからイエロー蓮見がスキルを使う。

 幸いなことにロビーへ出たため、天井がとても高い。

 イエロー蓮見の姿が変わっていく。眩しい光に身体が包み込まれたと思いきや光が太い柱のように天へと伸びていき、柱の中から化物が姿を見せる。

 それは二足歩行で歩き、腕が二本あるが先端は鋭利な爪となっている。

 身体が大きく顔には二本の角が生え黒光りする大きな羽が左右にあり飛行も可能な存在はかつてイベントにて急遽ラスボスとなったため世間的に裏で《《神災竜》》とも呼ばれている存在。その竜が通った先には生き残っても地獄、死んでも地獄しか待っていないとまで数多くのプレイヤー達の中で言われている。そんな神災竜となったイエロー蓮見は大きく口を開けて肺に空気を取り入れる。そこにブルー蓮見がレッド蓮見から貰った聖水の入った瓶を正面へと投げる。ちょうど緑色の扉付近。そしてレッド蓮見が緑色の扉を出た瞬間イエロー蓮見が口から炎を吐く。聖水はすぐさま引火し炎を業火へと変える。さらに大きな羽を動かし外の空気を一気に中へと送り込むイエロー蓮見。そのため中では大爆発が起きた。


「「これがレッド直伝、俺様全力シリーズバーニング爆発(《《仮》》)だーーー幽霊共!!!」」


 蓮見達がいた場所は緑色の扉を除いては窓一つない密閉空間。

 そこでブルーとイエロー蓮見は思い付いた。

 前回自分達が何をしたのかを。

 結果、静かで不気味だった館は燃える館へと姿を変えていく。

 炎の眩しい光が周囲を照らし明るくする。

 周囲が明るくなれば沈んだ蓮見の心を綺麗な炎が優しく温めてくれる。

 火が逃げ道を探し外へと逆流し拡散していくも化学反応の方が速すぎて先ほどの幽霊たちは全方位から火の海に襲われる。そのため完全に逃げ遅れてしまう。オレンジ色の光が眩しく一メートル先すらまともに見えない劣悪な環境を作りだす。それを見たレッド蓮見はニヤリと微笑みこう告げる。


「そうか……この手があった。お前達に聖水瓶を二つずつ渡す。全力で暴れてこい! 俺もここからは暴れるからよ!」


 そう言って蓮見はそれぞれに聖水瓶を渡し散開させる。プレイヤーKillが禁止でも関係ない。やる気スイッチが入った蓮見は不適切な笑みを浮かべ笑い始める。


「うははっアハハ! そうだ、そうだよ……全部灰にして塵残さず燃やしてしまえば世界は俺を必要とし俺も世界と離れる必要がなくなるんだよなー! そうだ、俺様の心は五人の女の子達と混浴を実現する為に燃料が必要だった。その燃料がお前――世界だよ。ってわけで今回は俺とお前の愛のバーニングナイトを楽しもうぜ!」


 頭のネジが一本いや三本は抜けたのではと疑いたくなる発言と意味不明なことを言い出した蓮見はイエロー蓮見に続き姿を変える。


 そして――。

 三体の神災竜《化物》は館を徘徊し始めた。幸運なことに昨日走り回ったおかげで館内はあらかた把握している。逆を言えば知らない所でも知っている所に出れば後は何となるわけで、迷子の心配は一切いらない。この瞬間二日目に限りだがイベントの支配権が幽霊から神災竜へと渡ってしまう。


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