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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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からかう朱音と手玉に取られる男女


 ふふっ。

 見てる、見てる。

 全く無駄な努力なのにね。

 普通に考えてスパッツを履いているとは考えていないのかしら。

 蓮見の視線にいち早く気付いた者は思う。

 単純で可愛いな。

 それに若いなと。

 娘の行動に関しては厳しい母親は目の前にいる男の子には優しい。


「あら、そんなに私の足見つめてどうしたの?」


「……いえ」


「まったく我慢できないいけない子ね」


「…………」


 小声の会話は盛り上がっている美紀達には聞こえない。

 しかし太もも辺りから慌てて視線を逸らす蓮見の行動に若い女の子四人達は疑問に思ったらしく視線を向けてくる。


「ん?」


「あら?」


「えっ?」


「あ?」


 そんな声に反応したのは朱音。


「ふふっ。貴女達大丈夫よ。私がちょっとからかっただけだから」


「なにをしたんですか?」


「秘密」


 美紀の質問に笑顔で答える朱音。

 視線はすぐに蓮見へと向けられる。

 顔は弱みを握ったといわんばかりにうれし……楽しそう。


「そうなの?」


 だが母親の顔を見た七瀬は何か怪しいと踏んだのか疑いの目を蓮見へと向けてきた。


「……は、はい」


「お母さんになんて言われてからかわれたの?」


 正直に話せば蓮見に未来はないだろう。

 それどころか手足の関節がリアルに外されるぐらいの危機的状況に陥るかもしれない。

 背に腹は代えられぬ。

 と、いうわけで蓮見はチラッと朱音に視線を飛ばしてアイコンタクトで救援を要請する。

 すると、ニヤリ。

 と朱音が微笑む。

 してやられた、と思いたいがもう遅い。


「あら? ダーリン疑うの?」


「お母さん?」


「別にいいじゃない、ちょっとからかって遊んだって。それとも七瀬はダーリンと私が仲良くなったら困る理由でもあるのかしら?」


「そ、それは……」


「そう言えば瑠香と私にダーリンの話しするときいつも――」


「だめぇーーーーーーーー!!!!」


 慌てて朱音の声を遮り、手で口をふさぐ七瀬の行動は速かった。

 そして赤面顔で蓮見を見て、


「い、い、い、いまのはなし、なしだからね! べべべべつにはははすみのここことななななななななんともおおもってないから!!!!」


 とおどけた声で言ってきた。


「え? あっ、はい」


 戸惑う蓮見は一体なにをそんなに慌てているのだろうか?

 と内心思いながらも、どうやら七瀬からの疑いは晴れたと言うよりかは疑いから朱音の言葉によって視線を逸らされたというべきだろうか。

 そんな感じなのでとりあえず安堵のため息を心の中でついた。


「助かった……」


 ボソッと口から出た言葉にエリカが反応する。


「蓮見君どうしたの?」


 そして、美紀も。


「もしかして朱音さんになにか言われた?」


 二人は心配してくれているのか蓮見の方へと顔を向ける。


「んや、べつに何でもないけど?」


「なら急にため息なんかどうしたの?」


「そうよ。なにかあるなら私達が力になるわよ?」


「そうゆうわけじゃないんだ。ただ――」


「「ただ?」


「お母さんって人をからかうの大好きだなって」


「「あぁーなるほど」」


 蓮見の言葉に何かを納得した素振りを見せる二人。


「朱音さん?」


「なーに? エリカちゃん」


「なんで蓮見君をからかって遊んだりしたんですか?」


「あら? 好きな人の気を引くのは恋愛では当然だと思うわよ」


「た、確かに」


 たった一言で言いくるめられてしまうエリカ。


「で、でも、それだと蓮見が可哀そうです!」


「なら逆に美紀ちゃんに聞くけど。ダーリンだって男の子だけど女の子から隙を見せて上げないと手を出しにくいんじゃないかしら? まぁ、美紀ちゃんには他に好きな人がいるから関係のない話しかもしれないけどね? それとも私がダーリンと電話しただけで嫉妬しちゃうぐらいに本当は――」


「す、好きじゃにゃいです!」


 必死に抵抗しようと叫んだ言葉はなんとも可愛い声と言葉になった美紀は七瀬に負けないぐらいに顔を真っ赤にして蓮見の腕に顔を埋める。


「朱音さんがいじめてくる! なんとかして!」


「み、美紀?」


 だが助けを求める相手と問題の相手の両方が悪かった。


「ねぇ、ダーリン?」


「な、なんですか?」


「私水着後残るの嫌だから海に着いたら全身に日焼け止め塗るの手伝ってね」


 ここで朱音が爆弾を設置。

 それがこじつけの罠であると考えない蓮見は本能に忠実になって返事をする。

 それも真顔で。


「当然です!」


「なら私お手洗い行ってくるから仲の良い四人の相手しばらくよろしくね」


 そう言って立ち上がり手を振りながら背中を見せる朱音。

 そして、最大の敵がいなくなった女の子達は心の中でぐつぐつとした感情をあらわにして一斉に蓮見へと襲い掛かった。




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