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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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情緒不安定な幼馴染


 蓮見の真剣な眼差しは恥じる美紀だけを見ている。

 当然、声も真剣。

 いつもより低い声は男らしい。

 だけど、と蓮見は思う。

 男に生まれた以上これは仕方がないことなのだと。

 そして美紀は。

 女に生まれた以上男を感じこの人となら将来を共にできると思った、だから後悔はないと。

 どこからかすれ違い始めた二人ではあったが会話に問題はなく最後まで進行した。

 二人しかいない家はとても静か。

 お互いの吐息は触れ合うだけでなく、その音まではっきり聞こえる。

 異性と言う事もあり、高鳴る両者の心臓。

 吐息だけでなく、その高まった胸の鼓動までも相手に伝わっているのではないかと錯覚させる。


「ね、ねぇ……はすみぃ?」


「なんだ?」


「いつまでその体勢でいるの?」


 早く事が進んで欲しい美紀。

 と、ついその場の勢いで押し倒してしまった蓮見は心の中で「あっ」と思った。


「…………?」


「…………?」


「…………」


 沈黙し見つめ合う二人。


「……ぅ、もぉばか! するならする! しないならしない! はっきりしろ!」


 色々な意味で我慢の限界に来た美紀が顔を赤くして声をあげる。

 それから右足を蓮見の身体の真下にくるように折り曲げ勢いよく伸ばす。

 そこに両腕も使いと自分より重たい蓮見の身体を突き飛ばす。

 戸惑う蓮見は突然の出来事に戸惑いながら宙に浮かんだ身体をベッドに着地させる。

 背中から落ちたものの幸い布団がクッションになり身体にダメージはないのだが、目の前でブルブルと身体を震わせる美紀になんて声をかけていいのかわからない。

 女心に疎い蓮見ではこれが限界で残念ながら相手の期待に上手く応えることができない。もとはと言えばどこからかすれ違い始めた言葉と行動によるものだが、結果として蓮見は最大の機会チャンスを逃す結果となる。


「あそこまで言って怖気づかないでよ! 私内心きた――」


 ふとっ、美紀が何かに気づいたかのように口の動きを止める。


「……やっぱ、なんでもない。ムカついただけだから」


「……え?」


「うるさい! とにかく蓮見は私の機嫌が直るまで膝枕」


「は、はい……」


 ベッドの上でもぞもぞと動き蓮見の太ももの上に頭を乗せた美紀は手探りで蓮見の手を掴み自分の頭の上へと持っていく。

 蓮見はなぜこうなったのか? と頭の中に??? を量産するも海デート(お出掛け)のためにまずは美紀の機嫌を最優先し何も聞かないことにした。

 そのまま頭を撫で少しでも美紀に機嫌を良くしてもらおうと蓮見が頑張っていると美紀から声を掛けられる。


「海行きたいの?」


「うん」


「はぁ~」


 美紀が大きなため息をついて。


「わかった。なら一緒に行こう?」


「うん」


「だからこの後買い物付き合って?」


「いいけど、何買うんだ?」


「み、みずぎ……蓮見の好きな奴……かう。どうせ着るなら恥ずかしくても蓮見に喜んで貰いたいから……。去年のやつはもう小さいし……」


 急に小声でもぞもぞと言い出した美紀。

 その声はとても小さくて側にいる蓮見ですら聞き取れないほどに小さい。

 だけど蓮見の太ももが急に熱く感じるぐらいに美紀の体温が急上昇した。


「……なんて?」


「みずぎ! 文句ある!? あるなら海行かない!」


 急に起き上がって今度は先ほどとは打って変わり大声で、それも蓮見の耳元で叫ぶ美紀。

 情緒不安定なのだろうか?

 そう思うも、「は、はい……わかりました」と思った事を口にできない男は美紀のペースに呑まれてしまった。


 その後美紀の甘えん坊タイムは一時間程続き、美紀の機嫌が直ってから二人は海に行くための水着の買い出しへと出かけた。

 そこで蓮見と美紀は久しぶりに二人の時間を過ごすも、時間が経つに連れて蓮見の顔が疲れていき、美紀の顔が眩しく笑顔になっていった。つまり美紀に振り回された蓮見は気付けば大量の荷物持ちと言う大役を成し遂げたのであった……。





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