スカートの中を見たい蓮見
「あ、当たりまえ」
「本当に?」
「……いじわるぅ」
とうとう頬っぺたを膨らませていじけてしまった美紀に蓮見は「あ~あ、いじけた」と小声でボソッと言いながら七瀬の方に視線を飛ばす。
「たまには私が勝つ日があっても悪くないわね」
勝利の美酒に酔いしれる七瀬にエリカと瑠香が声を合わせて、
「「大人げなーい」」
と、言った。
「――なっ!」
七瀬から向けられるSOSの視線に蓮見は苦笑い。
さてこの状況をどうしたものかと天井を見上げながら呑気に考えていると、
――ピコーン
聞きなれた音が聞こえ、一斉に反応する。
音が同時に四か所から聞こえたからだ。
「……ん? 俺だけない……ハブられた……?」
蓮見以外の全員のスマートフォンに運営からメッセージが届いた。
そもそも蓮見は公式サイトにゲーム情報を受け取る為の登録もしていなければ設定もしていないので来てなくて当然。
逆に来たらそれこそ一大事。
と、言うか幾ら運営から良くも悪くも目を付けられているからと言ってもヤバい。
そんな事を一切知らない蓮見は「まぁ、いいっか」と言って再びくつろぎ始める。
「「「「これは……」」」」
メッセージを読んだ四人の視線が蓮見に向けられる。
ただし表情は心配含んでいる。
だけどまだ関節が痛む蓮見は呑気に美紀の膝の上でくつろいでいた。
女の子の膝枕というものは幸せな気持ちになれて素晴らしいなー、そんな事を心の中で密かに思っていると瑠香から言われた。
「……蓮見さん……次のイベント参加……どうする予定ですか?」
「するけど?」
「そうですか……口で説明するよりこれ見てもらった方が早いと思うので」
渡されたスマートフォンを受け取り、美紀の膝の上で画面を操作し書かれた内容を読んでいく。
『次回――特殊限定イベント告知。
特殊限定イベント名:不夜城に眠る将軍
概要:突如出現した不夜城。その不夜城に眠る将軍を討伐するのが今回の任務となる。ただし今回は上位ギルド認定書を持つ者のと中級ギルド認定書を持つ者の二グループに別れての挑戦とする。ただし戦闘用アイテム以外の持ち込み禁止ならびにプレイヤー妨害ならびに戦闘を上位ギルド認定書を持つ者には以上のルールを追加するので各々頑張って欲しい。詳細は――――』
つまり蓮見対策――神災対策を運営がしっかりとおこなってきたことに蓮見以外の全員が心配しているのだが、蓮見自身そのことにいまいちピンと来ないのか呑気な顔のまま瑠香にスマートフォンを返す。言い方を変えれば蓮見の新必殺シリーズになろうとしていた五感潰しがこれで完全に封じられたとも取れる状況。
「いつかくるかもとは思っていたけどまさかもう来るとはね。予定より随分と早いわね」
「それってつまり蓮見の火力が大激減ってことですか?」
「そうね。七瀬の言う通りね。ただしそれでも半分」
エリカの微笑みに女三人の表情が曇り始める。
「それってつまり…………アイテム分……だけってことですか?」
「うん」
「なら残りのスキル分は……?」
「瑠香? よく考えてみなさい。実のお母さんが認めた人がその程度で止まるとでも?」
「……ですよねぇー」
期待の眼差しをエリカ、予想通りと言いたげな視線を瑠香と七瀬、呆れが入った視線を美紀から同時に向けられた蓮見は反応に困ってしまった。
そもそもの話し。
俺なにも言ってないし、なにもしてないから!
そんな事を思っていても言えない哀れな男は美紀の顔を見上げながら言う。
「そう心配すんなって。いつも通り全力で楽しんで皆でクリアしようぜ」
手を伸ばし美紀の頭を優しく撫でる蓮見。
「はすみ……」
美紀がゆっくりと息を吸いこんで吐き出す。
「ちがーーーーーう! 私が言いたいのはその先よ! さーきぃ!」
突然の事にビクッと身体が反応してしまった。
「あー美紀だけずるぃー。お姉さんにもなでなでして~」
甘えた声を出し蓮見の隣に寝転がり美紀に持っていた手を自分の頭へと持っていくエリカ。そのまま今度はエリカの頭を撫でる蓮見。ただし、態勢は美紀に膝枕してもらった状態。言い方を変えればその分の段差が蓮見とエリカにはあり、蓮見の頭はある事に気付く。エリカの今の角度と高さだとちょうど美紀のスカートの中がハッキリと見えるのではないか! と。どうにかして場所を変わりたい蓮見ではあるが、下手な行動は下心を悟られる可能性があるのでできない。
(う、羨ましいすぎる……)
逆に見えそうで見えないシチュエーションの可能性もあるわけか。
それはそれで有りだな。
自分の心に素直な蓮見はエリカの眼を覗き込んでその瞳に映ったものを確認する。
ジーーーー。
(くっ、暗くて見えない)
蓮見の崇高なる作戦は秒で失敗に終わる結果となった。




