つかの間の休息
美紀である。
背中を強引に引っ張り蓮見をエリカから引き抜いた美紀はそのまま大きな抱き枕を抱くようにして身体の関節が外れたと錯覚するほどの痛みを伴った蓮見を膝枕して自分の元へと置く。
「やりぃー! 私の勝ちだぁー!」
ガッツポーズをして満面の笑みをこぼす美紀の声は心の底から嬉しそう。
それに機嫌が良くなったのか、魂の抜け殻となった蓮見の頭を優しく撫でてといつもより行動が素直になっていた。
「えへへー。たまには優しくしてあげるよ蓮見」
「ぉ、おう。助かる……骨が死ぬ程痛い……」
その言葉に第二ラウンドを始めようと近づいていた三人の動きがピタリと止まる。
「休戦する?」
「そ、そうですね」
「わ、私もそれがいいと思います」
普段なら元気が爆発していても可笑しくない蓮見がここまでぐだっとしたために第二ラウンドは中止となった。
ゲームの中と現実の世界では全然違う。
身体が脆い。
そう思いながらも蓮見は頭に触れる感覚に優しさを覚える。
流石は幼馴染。
出来の良い幼馴染は学校でもゲームの中でも人気者。
にして、気遣いが出来ればそりゃー男が寄ってくるわな、と一人ネガティブ状態に入っていく蓮見。
「でもまぁ、よく頑張ったね。お疲れ様」
労いの言葉が頭上から聞こえてきた。
するとそれに続くようにして。
「本当にお疲れ様。まさかプロ相手に認められるとはお姉さん本当にビックリしちゃたわ」
エリカの言葉に手助けしてくれたエリカの期待にはなんとか応えられたのだと心が一安心する。
「一人で全部抱え込んで本当にバカなんですから。私達の気持ちを無視してあのお母さん相手に喧嘩売って……でも本当にありがとうございました。私の自由を守ってくれて本当にありがとうございました」
瑠香の声が蓮見の心の中で静かに何度も響く。
「お姉ちゃん? 素直にお礼」
「う、うん」
瑠香に催促された七瀬は少し照れくさそうにして。
「ありがとう。おかげで美紀やエリカさんともこれからもゲームができる。本当にありがとう。でもね、もうあんな無茶はしないで。お母さんが誰かを認めるって本当に稀だから。次は――」
「お姉ちゃん。違うでしょ?」
「……うん。私の気持ちを汲んでくれてありがとう。最高にカッコ良かった!」
照れくさそうに頬を赤色に染めた七瀬の言葉に蓮見は美紀の膝に顔を埋もれさせたまま口角をあげて微笑む。
色々と苦労はしたけど頑張って良かったな、そう思えたからだ。




