しばしの小休憩と蓮見の思考回路
運営の切り札が小百合とするなら、運営の最大の敵は――やはりあの男。
同時刻――運営室。
息を呑み込み、モニターを凝視する者達がいた。
その目は今から起こる事を何一つ見逃さない覚悟を感じる眼差し。
それはこの日の為にステータスを限りなく強化(調整)した自分達の小百合を応援
する目的ともう一つ別の理由があった。
――ゴクリ。
唯一無二の存在(神災対策)がどこまであの男に通じるのかと言う事だ。
「ついに来ちまったな。俺達の希望(小百合)VS悪魔(神災)の戦いが」
「だな。神眼を持つ者同士の戦いが」
「一応確認だが、なにがあってもサーバー耐えれるよな?」
ここで一人の男が不安要素の確認を行う。
だけど、それを聞いた別の男は即答する。
「何を言っている? 小百合に神災は効かない、そうだろ? つまり幾ら【神眼の神災】と言えど無駄な事はしない……と願え!!!」
「そうね~、後はもう祈るだけよね」
こうして五人の第四回イベント計画が大成功で終わるのか、大失敗で終わるのかの命運を賭けた幕があがった。ついでに運命(未来)も賭けることとなった。
場所を戻して――第四回イベント専用フィールド。
蓮見は脳内で今使えるスキルの残数を確認していた。
それも念入りに――。
そして、ここである事に気付く。
スキル以前に先程までの戦いに前半戦終わりでエリカから貰ったアイテムの残りも残り僅かで殆ど残っていないことに。
「調子良い事つい言ってしまったが、実はガス欠寸前なんだよな……」
かつて目の前にいる相手を美紀と二人がかりで追い込みこそしたが、結局のところ倒せなかった相手。そして蓮見はあの日以来小百合に勝つことを一つの目標として頑張ってきたのだ。その成果を今ここで試さないわけにはいかない。
だが、ここで一つ問題がある。
同じ弓使いでありながら、あっちは近距離、遠距離問わず攻守が可能であり、蓮見と同じく意図的に致命傷を狙う事が常に可能。故に小百合の前では距離に関わらず常に一発ゲームオーバーの危険が纏わりつくと言う事である。自分の最大の武器の一つをコピーされるとこの上なく厄介だと今身体で感じていた。その為、どう攻めたら正解なのかがサッパリわからないのだ。
仮にの話しだが。
もし物理法則を無視するような一撃を確実に決めることができればあるいは――。
だがそんなこと本当に出来るのか?
いや俺様全力シリーズには一つだけそれを可能にする技がある。
それは幾度となく蓮見のピンチを救った技である。
時に悪魔、イフリートと数々のボス戦で蓮見を勝利に導いた技――かんちょ……。
卑猥な表現を訂正して俺様全力シリーズケッツ・ザ・ビクトリーボンバー(仮名)をここで使うか?
過去を見返す限り、当たればどんなに強い敵でも……倒す事が出来る。
いや、やっぱりやめておこう。
運営……よくもやってくれたな……女を使うとは……ズルい。
違う。この場合は、敵を誉めるべきだろう。
幾ら機械少女とは言え、女の子にそれを使う度胸が蓮見にはないと考えた事実を。
もし狙いが狂ったりでもしたら、ログアウト後百パーセントの確率でギルドメンバーから社会的に抹殺される可能性を考えると……やはりできない。
その時だった。
ふとっ、別の名案が――天からのお告げのように。
脳内へと――舞い降りてきた蓮見。
そう答えは最初から蓮見の中にあったのだ。
今という瞬間が明日を創るのなら、俺にしかできない事を今この瞬間にすればいいのではないか! そう考えた蓮見にもう迷いはなかった。
「きたぁーーーーーーーーこれしかねぇ!!!」
満面の笑みで走り始めた、蓮見。
それを見た、美紀達もすぐにフォローへと動き始めるが。
だけど、なぜか、その手には……手汗が……あった。




