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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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美紀、瑠香、七瀬VS小百合



「それでは少ないですよ? お嬢さん方?」


 急に方向を変えた七本の毒の矢が美紀、瑠香、七瀬のスキルを一点の狂いなく迎撃してきた。


「そんな!?」


「これは準備運動。私を動かす事が出来ないようでしたら、所詮その程度と言う事です」


「はっ!?」


 ――ブチッ


 美紀の太い血管が音を鳴らして切れた。

 随分と舐めてくれるようになったご様子で。

 そこまで言うなら見せてやるしかない。

 こっちの本気を。

 駆けながら目を閉じさらに意識の奥深くまで集中、それから目を開く。

 たったそれだけの行動で限界まで集中した美紀の眼は小百合だけを見ており、戦闘に不要な景色の色を脳が排除し、小百合の動きや仕草だけに全神経を研ぎ澄ませる。


「ルナ、ミズナ、援護!」


 低い声に、思わず「完全に切れてる……」と声を重ねて言う姉妹。


「あんまり人を舐めない方がいいわよ、巫女! スキル『加速』『アクセル』!」


 神に仕えるのが巫女の役目だと言うなら納得しよう。

 だけど神に仕えているかと言って何を言ってもいいわけではないのだ。

 例え誰であろうが、本気で美紀を怒らせてはいけない。

 それが変態姉妹の中には確かにあるのだ。

 なぜなら集中した美紀はとてつもなく強く、自分達二人が手を組んでも手をつけられなくなるのだ。


「あ……あぁー紅が好き勝手暴れるから……ストレスが溜まって……里美の我慢の限界が早々に来たじゃない……」


 飛んでくる矢の処理が終わった七瀬が首を横に振って状況を正しく理解する。


「まずっ……急いでフォローに回らないと私まで……」


 慌てて美紀のフォローへと向かう瑠香。


「正面からですか?」


 出現させた矢を使い切った小百合は微動だにせず、突撃してくる美紀を見て呟く。

 そして肩幅に足を開いて、矢を放つ。

 放たれた矢は炎を纏い一直線に飛んでいく。

 ギリギリまで引き付けて短刀の刃で真っ二つする美紀。

 一歩間違えれば矢は美紀の心臓を貫いていたが、当たり前のようにそれをこなしてしまう美紀の集中力は最早異常。


「……ん?」


 まるでなにかした? と言いたげな視線と一緒に今度は小百合の懐に入った美紀が素早く槍を回収し武器を持ち換えながら、


「スキル『連撃の舞』!」


 スキル発動態勢に入る。

 左右からは七瀬の雷撃と水手裏剣、後方からは瑠香が回り込んでおり小百合に逃げ道はない。


「……認めましょう」


 不自然な微笑みを浮かべた小百合に美紀は渾身の十四連撃をお見舞いする。

 だが――。

 美紀の槍の軌道を見切っているのかダメージは与えられるが、全て致命傷となる攻撃は全て躱され最小限の動きで最小限のダメージ量に抑えてきた小百合。そして矢を放つのではなく、投げることで七瀬の魔法を相殺からの手に持っていた弓で後方からくる瑠香のレイピアを受け止め、「スキル『猛毒の捌き』」と呟き美紀を強引に引き剝がしてきた。


「――うそ!?」


「本当ですよ、お嬢さん」


 そう言って、猛毒の捌きの対象を瑠香にも向ける小百合。


「ッ!? スキル『加速』!」


 後方に大きくジャンプする瑠香に矢が降りかかるが、導きの盾が瑠香をしっかりと護る。


「あいつ……第二回イベントの時とは比べ物にならないぐらいに強くなってる……」


 美紀はダメージコントロールをされたことより、今の攻防でも小百合にまだ余裕がある事の方が厄介だと感じてしまった。


 ならばと思い、小百合の猛毒の矢がなくなったタイミングで今度はスキルを使わず連続攻撃だけで近接攻撃を仕掛けていく。スキルはあくまで決まった行動を主に取り、その動きを読まれやすい。対して通常攻撃はMPゲージを使わない反面威力にこそ欠けるが次の一手が読まれにくく汎用性に長ける。その特性を利用して腕に自信がある美紀は猛攻撃を仕掛ける。


「はぁあああああ!!!」


 さっきより鋭く重い一撃が小百合を襲う。

 ここでようやく小百合が足を動かし美紀から距離を取るようにして回避行動に入るが、美紀は小刻みに動く事でその逃げ道を塞ぐようにして攻撃しながらも間合いを詰めていく。等間隔に並んだ大木を盾にするようにして、逃げ回る小百合は僅かな隙も見逃すことなく、弓を構え矢を放ち美紀に反撃してくる。だがそれは美紀も同じ。喰らってはいけない攻撃は躱すか、大木に変わりに受けて貰い次の攻撃の一手へと繋いでいく。


「流石ですね」


「それはどうも! スキル『アクセル』!」


「ではこちらもスキル『アクセル』!」


「くっ……。それにしてもどうして……?」


 美紀の本気をもってしても中々追い込むことが出来ない小百合はやはり手ごわい。

 それもそのはず小百合は今回のレイドボス戦ように調整されており、その強さは明白。ここに来る道中【雷撃の閃光】ギルドは蓮見によって足止めされ、【ラグナロク】ギルドも主力の一部を蓮見によって葬り去られ、【プレイヤーキラー】も倒され、尚且つ道中関係ないプレイヤーも蓮見に倒されと今回の主力メンバーの一部は時すでに蓮見によってここに来ることを阻止されている。

 かといって【神眼の神災】がいる所に、わざわざ好き好んで来ようとする連中も今は少ないというわけだ。噂と言うのはいつの時代も広まるのが早く、トッププレイヤーを倒した噂は光の速さでプレイヤーからプレイヤーへと伝わり伝染する。

 その為、今回小百合ではなく、小百合より弱く、手ごろで高ポイントレイドボスに標的を切り替えた者達はかなり多かった。あのルフランとリュークさえ、ポイント効率の良さを考え、小百合から標的を変更したのだから。当然それを本人達が知るよしはない。そんなわけで――。


「なんで私達以外にここに来ない……」


 そんな疑問が女四人の脳内で浮かび上がってきた。

 それもそのはず、ここに当初来る予定だった者の心を蓮見が根こそぎ刈り取り、空を自由に飛び、周りが対策出来ていない事を当たり前のようにして、息をするかのように神災を振りまいた結果、今回のイベントでは――と皆が皆安牌を取り出したのだ。


 そもそもの話し。

 フィールドの中心地に近くになるにつれて、森が燃え大地が黒一色単に染められ、そこには数多のクレーターがあり、空気中には大量のばい煙が舞い、さらに視線を上に向けれるとキノコ雲が沢山生えている戦場に行くか? という話しである。対策が出来ているのなら問題ないかもしれないが、まともに対策も出来ていないのにそこにいく者はかなり腕に自信がある者しかいないということだ。仮に蓮見とは別ルートから行くにしてもキノコ雲がノキノキと当たり前に生える場所には誰も近づきたくはないだろう……。


「まぁ、いいわ。とりあえず倒すべき相手は倒す!」



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