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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説
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はじめての戦い

 土の感触。


 森の独特な匂い……と頭を襲う激痛。


 頭に手を当てうめきながら起き上がる蓮見。


「いっ生きてるのか……?」


 視界の左上にある緑色のバーでHPを確認すると半分まで減っていた。

 その下にあるオレンジ色のバーはMPで気が付けば満タンになっていた。

 そこから察するに地面落下でHP減少、上空で遊んでいるうちにMPがMAXまで溜まったと言った所だろう。とは言ってもMPを使う魔法等一つも獲得していない蓮見には無関係の話しである。


 レベルアップしたのでステータスを確認する。


「ふむふむ。このポイントを使って任意にステータスを強化出来るのか……とりあえず今回は四ポイント全部CRIクリティカルに振っておくか。『イーグルアイ』と合わせれば視野も広く相性も良さそうだからな」


 防御以前に先程のクリティカルヒットをすると単純に二倍以上の攻撃力になる事がわかったので下手に攻撃力を上げるならクリティカルの方がお得だと蓮見は判断した。そもそも根本が間違っており毎回クリティカルになるわけではないのだが……。


 ――ドタドタ


 足音が聞こえる。


 どうやら先程の騒ぎ……訂正して蓮見の情けない悲鳴と落下による音に反応して近くにいたプレイヤーが近づいて来ているのかもしれない。

『イーグルアイ』の効果らしく地上にいながらまるで上空から地上を見下ろすように周囲の状況がすぐに把握できた。客観的に言えば身長が十メートルになりそこから遠くを見ているような感覚だった。

 これでプレイヤーkillでもされたら嫌なので『イーグルアイ』を使いながら他のプレイヤーとNPCモンスターに遭遇しないように素早く森の奥の方へと逃げる。


「これ……意外に便利がいいな」

 そう言って全力で走る蓮見。




 魔の森の奥の方まで勢いで逃げてきたはいいが奥に行けば行くほどプレイヤーは殆どいなかった。それもその通りなわけで奥に行けばその分敵も強くなるわけで……。

「やべぇ。どうしよ……」


 蓮見は逃げるのに夢中になり道に迷っていた。

 そして今度は帰る事に集中しすぎて狼――ウルフと遭遇していた。

 ウルフ相手に走って逃げ切れる自信はなく、かと言って戦って勝つ自信もなかった。


「『イーグルアロー』とか言うスキルでも……んっ?」

 蓮見の言葉をスイッチに妙な黄色い点が表示され頭部の中心地に現れる。


 慌ててスキルの内容を確認する。

 つまりこれは敵の弱点を示す点なのだろうか?

 それにしても直径一センチ程度の点と言ってもいいような小さい丸部分に矢を放つ技量等ない蓮見は戸惑う。このままジッとしていれば今は様子見なのか威嚇してくるウルフが攻撃してくることだけは雰囲気から察して間違いないだろう。


 覚悟を決め戦闘態勢を取り、弓を構える。

 先制攻撃それも一撃で決める為に集中して矢を放つ蓮見。

 すると矢はゲーム補正が効いているのか狙った方向にしっかりと一直線に飛んでいき当たった――と思いきや普通に躱されてウルフの突進をまともに喰らってしまった。


 グハッ!!!


「って、これ、痛覚あるのか……」

 身体が宙に浮き一回転、二回転、三回転と後方に転がる。

 もろに突進を受けたお腹を擦りながら何とか立ち上がる。


 息を整えもう一度弓を構える。


「精神統一。今度はギリギリまでアイツを引き付ける。システム補助があるなら限界ギリギリまで近づけば当てれるはずだ……HPはさっきの攻撃のせいでもう一割ぐらいしかない……失敗すれば負ける」


 さっきの矢は蓮見のイメージ通りに飛んでいった。


 ならば素早さで分があるウルフが絶対に躱せないタイミングで矢を黄色い丸に向かって放てば確実に当てられると何処か根拠のない自信があった。


「来い」


 するとウルフが蓮見を翻弄するかのように右に左にとジグザグに動きながらこちらに向かってくる。意識を集中させてウルフの頭部それも中心部に見える黄色い丸……あまりにも小さいのでこの際もう点としよう。そして点だけを見て目で追いかける。


 ウルフと蓮見の距離が残り二メートルの所でジャンプして襲いかかってきた。

「空中では身動きがとれまい」


 ニヤリと笑い矢を放つ。

 予想通りに矢はウルフの脳天に直撃。


『クリティカルヒット』

 という文字を見てにやけると同時に光の粒子となって消えていくウルフ。


『スキル『火事場の速射』、スキル『矢の自動生成』を獲得しました。レベルが六に上がりました』


「フゥー。何とか勝った。あれ、さっきまで腰にあった矢が全部消えたぞ……」


 急に矢が消え武器が使い物にならなくなった蓮見は慌ててステータス画面を確認する。

 そしてスキル一覧から今獲得したスキルの効果を確認する。



 スキル『火事場の速射』

 効果:HPが減少すればするほど連射速度が向上。HP減少時に自動発動。

 獲得条件:HPが三割弱で通常射撃のクリティカルヒットで敵を仕留めた場合に0.05%で獲得。



 スキル『矢の自動生成』

 効果:矢を放つ構えを取れば矢が勝手に生成される。

 獲得条件:敵を半径一メートル以内かつ通常射撃で撃破。残HP三割以下&MP八割以上。



 試しに弓を構えてみるとあろうことか瞬時に矢が自動生成され出現する。

 そのまま矢を放つと先ほどと同じくちゃんと一直線に飛んでいった。


「これは……何て便利がいいんだ。なんかカッコイイなコレ!!! うおぉぉぉぉ!! よっしゃー!!!!!」


 若い少年の奇声にも似た喜びの雄たけびが魔の森の奥で木霊し響いた。


「そうそう。さっき獲得したスキルポイントはCRIに三、DEXに六それぞれ振り分けておくか。結局のところ当たらないとさっきみたいにクリティカルあってもしょうがないからな……」


 これでCRIは四十、DEXは四十六となった。



 DEXは一般的に命中率のことである。

 当然クリティカル補正にも影響してくる。



「疲れたしHP的にも今日はもう何もできないな」

 そう言ってログアウトする蓮見。


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[気になる点] 便利がいいって、聞いたことない使い方ですが方言なんでしょうか?
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