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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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第四回イベント前の一時


 そんな事があった。

 単純な性格は小悪魔の行動と言葉に一喜一憂し朝から目覚め脳を覚醒させる。

 理由はどうあれこれがハイテンションの理由。

 

「よし……今日こそは……取りに行く」


 そのとても小さな言葉に周囲にいたプレイヤーの視線が引き寄せられる。


「なにをだよ……」


「金か?」


「それはエリカだろ」


「ならレイドボスの首か?」


「それは里美とミズナとルナ」


「そうなると……何が正解なんだ……

?」


 固唾を飲むプレイヤー達を無視して蓮見は呟く。


「今日こそは俺もMVPプレイヤーの座を取りに行く」


 頬っぺたを叩き気合いを入れて美紀達の待つ場所に向かう蓮見を見た者達はその背中を見て口を揃え本人には聞こえない声で言った。


「「「「「お前が毎回断トツでNO.1だからな……」」」」」


 と。それはもう呆れたように、いやそれが当たり前のように、無意識に口から言葉が出てしまったのだ。

 だけど今回はアイテムの持ち込みが制限され、回復系統のアイテムしか持ち込むことが出来ない。それも午前の部(前半戦)なし、午後の部(後半戦)は少量、とそれぞれに持ち込み制限が付くなど今までで一番苦労しそうなイベントだった。ただしプレイヤーKillによるポイント強奪がないぶん午前の部(前半戦)は復活有りでダメージを与えさえすればレイドボスに負けてもポイントゲットと誰でも気軽に参加が可能と参加への仕切りは低いイベントでもある。


 その事から多くのギルドはどうせなら効率よくポイントを集めようと同盟を組んだり合併したりと新たな仲間の力を必要とする者達が増えた。

 元々腕に自信があるギルドは逆にギルドで部隊を作り多くの戦場で連携を取りながらレイドボスに立ち向かおうとしていた。


 当然【神眼の神災】が率いる【深紅の美】ギルドも腕に自信がある者たちが半数以上なので今回は二チームに別れて多くのポイントを個人と一緒にギルドでも取りに行こうと言う事に先日の話し合いで決定したのだ。当然それ意外にもちょっとした目的がある。


「あっ、おはようございます。紅さん」


「おはよう、ルナ」


 蓮見が到着すると瑠香が真っ先に気付き微笑みを向ける。

 その天使のような微笑みの隣から美紀がやってくる。


「もう遅いわよ」


「ごめん、ごめん」


「んで、調子はどうなの?」


 鼻で笑い、口角をあげる蓮見。


「最高潮に良いぜ! なんたって朝から――ぐほっ!?」


 蓮見の言葉を未来予知した美紀が素早くお口チャック。

 それも物理的な手段。

 お腹にパンチ!

 そしてお腹を抑えてうずくまる蓮見と膝を折って頭の高さを揃える美紀。


「ちょ、あ、あのね、あ、あ、ああああれは二人だけの秘密よ。いい? わかった? 恥ずかしいから絶対他言しないで……ください」


 最後は耳元で聞こえるか聞こえないかの声になる美紀。

 蓮見がチラッと見ると、赤面をしている。

 なので、コクりと頷く蓮見。

 それを見た美紀は小さく息を吐き出してホッと一安心。

 だが――。


「朝から何してるの? 仮にも副ギルド長とギルド長なんだから二人仲良く出来ないの?」


「あら~可哀そう、紅さん」


 憐みの目を向ける姉妹を他所にさり気なく蓮見の隣にやって来たエリカ。


「大丈夫?」


「……はい」


「お姉さんの胸で休む?」


 その言葉を聞いた瞬間、蓮見の目が見開かれる。

 それと同時に脳が目覚め、さっきまで感じていたはずのお腹の痛みが消える。


 ――ゴクリ。


「……い、いいんですか?」


「うん。おいで、紅君」


「なら遠慮な――」


「んなわけあるかー!!!」


 エリカの胸に飛び込もうとする蓮見の身体が強引に横から振り払われ飛んできた槍により明後日の方向へと軌道を修正して飛んでいく。

 そのまま頭から地面にダイブした蓮見は第四回イベントを前にして大ダメージを負った。どうやら、これが下心を出した報いなのかもしれない。


 そして始まる痴話喧嘩。


「ちょっと何してるのよ!」


「うるさいわよ! なんでそうやって紅だけに女を出すのよ!」


「別にいいじゃない、好きなんだから! それに紅君は可愛いから大抵の事は許すわよ!」


「許す許さないじゃなくて、そもそも時と場合を考えなさいよ!」


「それはお互いの問題でしょ?」


「違うわよ。わ、私だって……が、我慢してるんだからね!」


「そんなの知らないわよ。私達の気持ちに休みはないでしょ?」


「当たり前よ! それでもTPOは大事よ!」


 美紀とエリカの痴話喧嘩を止める者はいない。

 残念ながら七瀬と瑠香は二人がいない間に「いててっ」と言って起き上がる蓮見の元に行き、「大丈夫?」と声をかけて心配すると人思いのアピールタイムへと入っている。恋とは難しい。そう思いながらも七瀬と瑠香の方が一歩身を退いた大人の恋をしていた。もしくは余裕を持った恋をしていた。と言った方が良いのかもしれない。恋に答えはなく、恋のアプローチの方法も速度も人それぞれなのかもしれない。故に蓮見が密かに思っている『人生初めての彼女が欲しい』と言う願いは叶いそうで中々叶わない……かも。


「里美に毎度毎度大変ね」


「まぁ、もう慣れましたよ……あはは」


「それは慣れるもんなんですか?」


「うん。どうせ申し訳なさそうにしてリアルで後から謝ってくる……気がするから」


「ふーん」


 急に唇を尖らせてソッポを向く瑠香。

 どうやら瑠香の女心では聞きたくない言葉だったらしい。


「あれ? ルナ?」


「ふんっ!」


「え、えっ、助けてください、ミズナさん」


「もう、しらなーい。そんなに里美の事ばっかり信じてから……」


「そ、そういう意味じゃない……です」


「ならどうゆう意味?」


「長年の付き合いだからなんとなくわかると言うか……ちょ、ちょっと!?」


 唇を膨らませたかと思いきや、あっかんべーをして「ふんっ」とご機嫌斜めになった七瀬が蓮見から離れて美紀とエリカの方へと向かって歩いて行く。

 その後ろを瑠香が「そうゆうのは嫌です。私の事ももっと信用してくれていいと思います」と言葉を残し付いて行く。


 そのまま一人になった蓮見は一人頭の中を???で沢山埋め尽くしていた。


「あれ? それはどうゆう意味だ?」


 超ハイテンションの蓮見は平常運転へと戻った。

 それからすぐに第四回開始のアナウンスが鳴り響き、参加プレイヤー全員を白い光が包み込んでイベント専用MAPへと転送していく。



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