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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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順番決めと風の悪戯


 盤上にセットした駒を動かす順番を決める為に次はそれぞれ一回ずつルーレットを回していく五人。


「なら皆一回ずつ適当に回して~」


 蓮見は皆がルーレットを回すのを見ながら頭の中で考える。

 運が絡むゲームでどうすれば自分に運を味方につける事が可能なのかを。

 正直今回は美紀に五位を取って貰えばこの回においては罰ゲームを喰らう事はない。

 だが今後の事を考えると何とか運を味方に付けたい。


「なら最後は蓮見ね」


 美紀が回し終わり、最後残るは蓮見だけとなった。

 まずはこの順番決めが最初の難所だと思い、気合いを入れる蓮見。

 ここで悪い数字を引くと必然的に皆より一ターン動くのが遅れる為それだけでも不利となる。

 だがルーレットを回すだけなら、ただの運ゲーみたいなものだ。

 ここに上手い下手や誰かと駆け引きなどは一切ない。

 そう思い、手を伸ばしルーレットのつまみを握る。


 ――ゴクリ


 俺なら出来る、と自分に言い聞かせてつまみを回しながら力を入れてから離す。


 カラカラ、と独特な音を鳴らし、数字が書かれた部分が高速で回り、徐々に速度を落とし針先で止まる。


「……こいこい、六。そうだ、あともうちょい」


 祈るようにしてルーレットの行く末を見守る蓮見。


「うそ……」


「……まじか……」


 エリカと七瀬の表情が苦しくなる。

 二人はそれぞれ六と五の出目を出している。

 ここで蓮見が六を出すと、二人にとっては予定外の結果となるのだ。

 そして美紀と瑠香も。


「……私より小さい数じゃないの」


 不安そうに二を出した美紀が呟き、


「……三よりは大きそうだな」


 瑠香がそれに続く。

 神災を操る蓮見にとってはこれくらい朝飯前。

 なにせルーレットで六を出すように周りを巻き込む神災を起こす方が百倍難しいので。


 そして針がしめす数字は――。


「きたーーーーーー!!!!!」


 蓮見が両手を天井に突き出す。


 なんと出目は六!!!


「まじか……」


「チッ。やるわね、蓮見」


「私を超えてきた……」


「三じゃ勝てなかった」


 悔しがる四人。

 そんな四人を他所に今回は出だしから完璧と思い、テンション爆上げの蓮見。


「おっしゃ!!!!! ならエリカさんとのじゃんけんで俺が勝てば一番目じゃい!」


 と思った時だった。

 窓から入って来た。

 風はそのままルーレットの数字を少しだけ動かして何処かへと消えていく。


 ルーレットの数字が動いた先は一。


 それを見た四人がニヤリと微笑む。


「あれ~、よく見たら一だね。なんだビビらせないでよはすみぃ~」


 自分が最後じゃないと知った美紀の表情に笑みが戻る。

 いや違う。

 小悪魔が満面の笑みとなった瞬間だった。


「あっ、本当だ!」


「なんだビビらせないでよ、蓮見」


「そうですよ。今回は? って思っちゃったじゃないですか」


 あはは~、と笑いながら既成事実をなかったことにして、神様の気まぐれとも呼べる風を味方につけた四人は一言も話すことなくアイコンタクトのみで意思疎通をして結託する。ゲームであちらこちらと暴れる蓮見のテンション、これが現実世界でどう影響するかを考えると必然。ないとは思うが、これも四人の安全策の一つなのだ。


「いや……これは違う! 確かにさっきは六だった」


 抗議する蓮見に美紀が言う。


「でも今は一じゃん!」


「……ぅう!」


「そんな事ばっかり言ってると、リアルでキリンの時に受けた怒りを拳に乗せてお見舞いするよ?」


 その言葉に蓮見の目が見開かれ、胡坐状態から正座状態に変わり光の速さでどけ座をする。


「なんでもありません。ですからリアルファイトだけは勘弁してください、美紀様」


「うむ、宜しい。はすみぃはいい子だね~」


 と頷く美紀。

 それから頭を下げる蓮見の頭を手でわしゃわしゃとして納得する。

 しばらくすると美紀の気が済み、手が離れたタイミングで蓮見が頭をあげる。

 その時、蓮見は悟ってしまう。


 ――しまった!!!


 俺のテンションが……。

 平常運転に戻ってしまった……。


 と。蓮見はとりあえず深呼吸をしてから、隣から聞こえてきたゲーム開始の声を聴きながら座り直す。


「まぁ、いい。要は勝てばいいんだ。まだ順番決めで負けただけだ」


 そう呟いて、自分の番を待つ。



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