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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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それぞれの思いと苦悩



「「はぁ……はぁ……はぁ……」」


 しばらくして立ち上がる二人。

 身体を小石のように吹き飛ばした衝撃波は収まり、周囲を巻き込み荒々しく燃えていた炎も消えた。

 辺り一面は地面が一部焦げて黒くなっている。


「……死ぬかと思った」


「私も……」


「今度からはもっと広い所じゃないとですね……」


「そうね」


 息を切らして蓮見とエリカが周辺を見渡せば、そこには――。


「あれ……」


「可笑しいわね……」


「「キリンもだけど……里美達どこ行った???」」


 首を傾ける二人。

 さっきまで自分達の事だけで手一杯になっていた為にキリンだけでなく仲間の事すら頭の中からは消えていた。


「「…………」」


 それから訪れた沈黙。

 しばらくして。


 蓮見とエリカが何かに気付いたようにお互いの顔を見て、


「「あっ……」」


 と何かを悟ったように顔色を悪くする。

 その瞬間、コロシアム上空に『WIN』と大きな文字が出現した。

 どうやらキリンはさっきの爆発に巻き込まれて、撤退する前に死んでしまったらしい。

 となると、本来の目的は達成されたわけだが……。


「あら~紅にエリカよくやってくれたわね」


「里美……待て、違うこれは……誤爆だ!」


 慌てて聞こえてきた声の方向に身体を向け、両手を使い身振り手振りをしながら必死に弁解を始める蓮見。


「く・れ・な・い?」


 別方向からも声が聞こえてくる。


「く~れ~な~い~さん」


 さらにもう一つ。


 気付けばさっきの爆発で一度死んでしまった三人が満面の笑みでこちらにやってくるではないか。

 ただし全員目が笑っていないが……。

 それを見たエリカは蓮見の背中に隠れて身体をビクビクとさせている。

 純粋な力ではこの三人に勝てる者などそうはいない。


 となると、後はやる事は一つ。


「エリカさん……」


「なに?」


「こうなったらアレをやりましょう」


「……わかった」


 頷くエリカ。

 それから二人は地面に正座で座り、キリンもろとも美紀、七瀬、瑠香の三人に三途の川を渡らせたことを誠心誠意に謝った。

 運が良い事にギルドに繋がるライブ映像は『WIN』と言う文字を映した直後に終わり他ギルドの誰一人この光景を見ていなかったこと。


 そしてこの日を境に【神眼の神災】は更に警戒されるようになった。

 それは当然運営にも……。



 とある運営室では。

 ある光景を目にしてしまった者たちが突如黙り沈黙が支配していた。


「「「「「…………」」」」」


 ――少し前。

 変にサーバー負荷がかかった事にいち早く気付いた運営が色々と確認がてら何が起こったのかをほぼリアルタイムで見る。

 それからすぐに目がやられ、口が動く事を止めてしまったのだ。

 ゲーム内の攻撃が現実の自分達にも襲い掛かると言う、今まで想像もしなかった。

 これはゲーム内の許容負荷をある意味超えている。

 その為いつもの五人はこの後何をしなくてはならないかを正しく理解している。


 だけど言葉が出ない。

 その理由はただ一つ。

 これから再び訪れた【神災】と言う名の嫌な現実と向き合わなくてはならないからだ。


「……なぁ?」


「どうした?」


「もう小百合の件なんだけど、火属性と爆破ダメージ完全無効化付けていいと思うんだが四人の意見はどうだ?」


 責任者は言った。

 それも何かを諦めたようにして。


 ただモニター画面を見ながら。

 魂の抜けたような乏しい声で。


「「「「賛成」」」」


 残りの四人はすぐに返答した。

 どうやら全員の気持ちが一致したらしい。

 ここで本題に入る責任者。


「なら今日は残業で戦闘時におけるアイテム威力補正ならび所持数制限ってことで皆よろしくな。そんで緊急アップデートかけると同時にサーバー負荷がかかる要因に対しても可能な限り対処な」


「「「「…………」」」」


 責任者の言葉に四人は大きなため息で答える。


「放置したら社長のお怒りが来て俺達の生活に支障がでるかもしれんぞ? だから今日は諦めろ」


「もう出てるよ。当初見込んだ売り上げの四倍の収益を出し、今年の予算の三百パーセントを既に使いサーバー強化始めイベント開催などをして更に収益化。それに伴い臨時で何十人今も雇ってるか覚えているか?」


「キャリア十年以上の者が四十二人でそれ以下が三十六人だろ?」


「なのに残業は増える一方。俺の家族や近所からは世界で人気ゲームを作った人の一人って事でめっちゃ持ち上げられて近所付き合いが面倒になったよ……。それに最近は息子と娘がそのゲームしたい!と煩いし」


「それは大変ね。私の場合は先月急遽出た臨時ボーナスの額を見て思ったわ。ゲーム管理者って一夜にして大金を稼ぐことができるのだとね」


「いや……俺達は特別だからな?」

(こんなこと普通じゃあり得ないだろ。気前よく給料十二ヵ月分とか……逆に来年の税金が心配になるわ……)


「それな!」

(そもそも賞与名がこの前明細見たら社長のおふざけか『神災ボーナス』とかなってたしな!)


「でも考えてみろ。今度かその次には小百合が動く。そうなれば【神眼の神災】が地に落ち本当の凄腕プレイヤーだけが活躍する日がやってくる。そうなると俺達にも平穏な日々がやってくる予定じゃないか!」


「そうだな……あくまで予定だな」

(それがフラグになるのがいつもの落ちだろ……)


「そうだな」

(制限かけて弱体化……余計な事しない方が俺はいいと思うんだけどな……)


「そうね~。お姉さん的には【神眼の神災】君がいなくなったら仕事は確かに減るけど、それで収益減って社長にグチグチ言われるぐらいならとりあえず今は徐々に減って貰う方がありがたいのよね~」

(だって社長が誰とは言わないけど誰かさんの大ファンなんだもん……その証拠に先月の明細に……)


「……結論。社会人は大変。……ってことでお前達今日は残業な? 後で俺が夜食でなんか奢ってやるから頑張ってくれ」


 こうして内なる思いをそれぞれ心の中に秘めた五人の戦いも再び始まった。

 本来の業務である第四回イベントの最終確認が終わっても、なぜか仕事が終わらない五人は今日も仲良く徹夜で作業となる。

 その頃、ようやくログアウトした五人(蓮見達)は今夜行われるゲーム大会の為、現実世界で集まる準備を始めていた。



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