いざダンジョンの中へ!
無事エリカと合流出来た蓮見、美紀、エリカは北にある二階層に続くダンジョン向かう。
楽しくお話ししながら、時折出現するモンスターを倒して、MPゲージを溜めながら歩いているとすぐについた。
「やっと着いたわね。まだ8時54分少し時間があるわね」
「そうね。でも紅君MP半分しかないけど大丈夫なの?」
「あら、ホント。MPポーションないならあげるけど?」
美紀とエリカの心配を無視するように蓮見が答える。
その顔は何処か自信満々。
そう今日の蓮見は内心いつも以上にワクワクしているのだ!
どんなボスが待ち構えているのかと思うと。
その為今まで表に出さず隠していたがテンションはいつも以上に高い。
「あっ、いらない。5分あれば自力で回復出来るから」
「「えっ? ここモンスターいないけど?」」
見事に二人の声がシンクロした。
二人の表情は驚きに満ちていた。
「では一曲」
エリカはこの日蓮見が戦場で歌を歌う理由を知る事になる。
それはエリカだけでなく蓮見関連の提示板に集う人々の永遠の疑問とされていた答えでもある。
蓮見が周囲の目を気にせずに深呼吸をしてから大きく息を吸い込む。
そして歌い始める。
するとみるみる蓮見のMPゲージが回復していく。
テンションが高いのか踊りながら歌う蓮見。
美紀とエリカが驚いていると、そんな三人を囲むように同じくボス攻略をしに来たプレイヤー達に囲まれる。
「おっ? 誰か歌って……って【歩く天災】じゃねぇか!?」
その一言を中心にボス部屋攻略より、まずは蓮見を見ようと輪の集団が次々と乱されていく。
自分の世界へと完全に入った蓮見に恥ずかしいと言う感情はなく熱唱を続ける。
会場となったボス部屋前では瞬く間に盛り上がり、歌が終わると同時に沢山の拍手が送られた。
自分が有名人だと未だに気が付いていない蓮見は歌が終わり自分の世界から帰ってくると沢山のプレイヤーに囲まれていたので驚いてしまった。
「おっ!? なんだこの人達?」
驚く蓮見。
余韻を楽しむ観客達。
注目を浴び恥ずかしいので一秒でも早くこの場を逃げ出したい美紀とエリカ。
そして美紀とエリカが蓮見の腕を掴んで人混みの中を縫うようにしてボス部屋攻略の為にダンジョンへと足を踏み入れる。
呆れたように美紀が言う。
「ったく、なにやってるのよ。歌うならMPポーションあげたのに……」
首を傾げて質問をするエリカ。
「もお~お姉さん焦ったわよ。それより歌を歌ってMP回復ってそれスキルなの?」
「はい」
「なるほどね~。まぁ上手かったし良しとしましょう。これで下手だったらあの場で紅君を半殺しにしてたけどね」
優し気な笑みで言ったエリカに蓮見と美紀が驚く。
「「えっ……?」」
――エリカってもしかして怖い人……
――今後エリカさんの前では気を付けよう……
一瞬でエリカに対する評価が変わる二人だった。
「まぁ、まぁ、エリカ落ち着いて。とりあえず奥へ行きましょう! 蓮見とエリカは私の後ろにいて。雑魚は全部私が引き受けるから!」
「わかった」
「わかったわ」
洞窟の薄暗く、何も灯りがない状態では少し不安が残る。
しかし生産職のエリカがお店で商品として扱っているライトを貸してくれることで視界の確保に成功した三人。美紀が左手にライト、右手に槍を持ちいつどこから敵が来ても万全の状態で進む。
幸いにも初めてのボス戦と言う事で道も一本道だった。
三人が歩いていると正面から音が聞こえてくる。
そのまま目を凝らし接近してくる物体に目を向けると巨大な岩が通路を全て塞ぐようにして転がってきた。巨大な岩の表面にはハリネズミのように沢山の針がついている。
「えっ? ちょ? どうする里美?」
「どうってこうするわよ」
慌てる蓮見とは対照的に槍を巨大化させて投げる美紀。
すると岩が一瞬で砕け、槍が美紀の手に戻ってくる。
「わぁ~流石里美。頼りになるぅ~」
パチパチと手を鳴らして褒めるエリカ。
すると第2弾、第3弾と次々と先程と同じ岩が転がってくる。
「あ~めんどくさいわね……。スキル『巨大化』!」
美紀の槍が全てを破壊し粉々にする。
先程より威力が上がっているらしく、1回で4個の巨大岩を破壊する。
その分MPは使うらしく、蓮見にライトを持ってもらい、その間にMPポーションを使い回復する美紀。
そして三人は美紀の回復終わりで止めていた足を進める。
「次は巨大蜘蛛と小さい蜘蛛が沢山か……」
「これボス部屋に着くまでにMP消費させられるように作られているわね」
「えぇ。っても多分足切りようだからそんなに強くないわ。スキル『ライトニング』!」
槍が赤いエフェクトを放ち雷撃を放つ。
小さい蜘蛛が半分ほど焼き殺され、光の粒子となっていく。
すると巨大な蜘蛛が白く太い糸を吐き出して美紀を拘束する。
「美紀!?」
「大丈夫?」




