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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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俺の新必殺シリーズ


「「「どこ狙ってんだ?」」」


 三人の蓮見が口を揃えて言う。


「「「はいぃぃぃぃぃぃいいいいいいいいいぃぃぃぃぃ!?!?!?!?!?」」」


 美紀と七瀬と瑠香も三人声を揃えて言った。

 全員が度肝を抜かれた。

 とうとうあの災いの元凶(種)が三つに増えたからだ。

 てか何をどうしたら一番増えたらいけない人間が三人に増えるのかと言う疑問である。


「……エリカ……これは……どうゆうこと?」


「これ? 第三層のボスが使ったスキルに似た奴で『虚無残像』(きょむざんぞう)らしいわよ。効果は使用者と同じステータスを持った分身を二体作る。スキルの使用制限は各分身その時の本体と同じ。また分身は自立し本体の命令を最優先として行動する。って紅君が言っていたわ」


 どうだ! と自信満々に胸を張って言い切るエリカ。


「あぁー、あれだ……」


「これアウト……」


「うぅ~ん、相変わらず私達の右斜め上しかいかない……」


 頭に手をあて、困り果てた美紀、七瀬、瑠香。

 それもそうだろう。

 今まで一人でも手綱を握るのに苦労していた【神眼の神災】がさらに二人増えたのだから。これでは一人で一つの神災を管理しろと言われているような物である。天災ならともかく神災にまでなった【神眼の神災】を一人で管理するのは物理的にかなり辛いものがあるのだ。



 そんないい意味でも悪い意味でも困り果てる仲間の姿に気付いていない蓮見は首をポキポキと鳴らし余裕を見せていた。


「しょうがないからよ」


「見せてやるよ」


「進化した俺の姿を!」


 早くも分身の制御に慣れた蓮見。

 とは言ってもエリカに色々と手伝って貰い慣れるまでにはかなりの時間が裏ではかかっているわけだがそれは蓮見とエリカだけの秘密である。


「「「スキル『水振の陣』『罰と救済』『虚像の発火』!」」」


 三方向から放たれる水爆。

 しかしアルティメットは咆哮を使いそれを阻止する。


「本日最後の投影行くぜ! スキル『覚醒』!」

(へへっ! 人様のスキル模倣には限界がない事にこの前気付いたんだよな俺様)


 だけど蓮見は止まらない。

 水色と白のオーラ二つを纏いし、《《神災》》は《《過去最速》》で動いていく。


 通常攻撃を続け、MP回復。


 水色のオーラの効果並びに火事場系統を含めた自動発動スキルに白のオーラが合わさった蓮見は瞬間的に800近くまでAGIが強化されている。

 その為、全ての攻撃を難なく躱していく。

 一人大台の四桁に強引な形で手を伸ばした者はプレイヤー初ステータス500overを軽々と更新した。


「良し! 分身は囮を頼む!」


「「任せろ!!」」


 ブレスで分身を攻撃しようと息を吸い込むアルティメットの首。


 そこに本体である蓮見は手榴弾を手に取り、全力で投げ込む。


 息と同時に吸い込まれた手榴弾。


 それを遠くから見守るエリカが遠隔操作で爆発させる。

 エリカのスキルも仲間のアイテムなら遠隔操作対象になるように、先日スキルショップで購入し実の所進化していた。

 ダメージを与えることに成功した蓮見は微笑む。


「まだだ! スキル『放電』!」


 蓮見の身体からバチバチと音を鳴らした雷が出現し、周囲(自身を中心とした半径三メートル)にダメージを与える。そのうち十%で感電させることが出来るのがだが、残念ながら今回は失敗した。


 ならばと思い。


「「スキル『放電』!」」


 分身二体もすかさず攻撃する。


 だがこれも失敗。

 どうやら今日は運がない日みたいだ。


「「「良し! このゼロ距離ならいけるはずだ! スキル『水振の陣』『罰と救済』『虚像の発火』! レッツ・パーティー・タイムーーーー!!!」」」


 水爆による同時攻撃が決まった。

 だが水爆発生時に起きた爆発の衝撃に蓮見の身体が大きく吹き飛ばされてしまう。


 蓮見は自らの攻撃で自分のHPゲージを殆ど失ってしまった。

 だけどアルティメットのHPゲージも残り僅かとこれでなった。


 お互いに残りHPゲージ一割程度。


 美紀が気合いを入れて立ち上がろうとするがエリカが首を横に振る。


「信じてあげたら?」


「でも……」


「勝つわよ。だって紅君があんなに楽しそうに笑ってるのよ」


「わかった」


 蓮見は起き上がって気合いを入れる。

 覚醒が切れるまで後十秒。

 これが切れればAGIが400前後まで一気に落ちる。

 ならばと思い、蓮見が最後の賭けに出る事にする。


「やっぱり男は危険な遊びが大好きだよな!」


 そう言った矢先、二人の蓮見が走り始める。

 その俊敏性を活かし僅か数秒でアルティメットの懐に入る。


「「後は頼んだ!」」


 そう言って分身二人が手榴弾のピンを抜き自滅し自らダメージを与える人間爆弾となった。後を託し十パーセントが取れなかった分身が消滅していく。


「任せな! 行くぜ俺の全力シリーズ!」


 弓を腰に掛け、一直線で駆け抜ける蓮見。

 お互いに減ったHP残量からこれが最後の攻防だと美紀達が確信する。


「「「「紅! 勝って!!!」」」」


 聞こえてくる声援に背中で答える。


「おぉぉぉぉぉぉおおおおおお!!!!」


 雄たけびをあげ、拳を握りしめる。


「ウォォォォォ!!!」


 アルティメットから来た『ポイズンテール』を難なく躱し、大きくジャンプ。

 そこから右腕を後方に引き、力を溜めて、前へと突き出す。


「これが俺の新必殺全力シリーズ、目つぶし!」


 蓮見の拳が三つ首の一つの目を貫いた。

 そこから手を広げ眼球を鷲掴み状態で引き抜く。

 ――目つぶし。

 きっと大ダメージだろうと勝手にそう思っていたので、


 勝った!


 そう思った。


 ――。


 ――――!?


 その時だった。


 脳内に声が聞こえてくる。


『アイテム、悪魔龍の紅蓮の瞳を手に入れました』


 ニヤリ。


 つまりなんだ?

 赤色の瞳が『紅蓮の瞳』ってことか……。


 なるほど、なるほど、宝石龍の時と同じってことね。


 パンチのダメージが限りなく低くHPゲージはそんなに減らない。てか減っているのか? と逆に聞きたくなるぐらいに変化がない。これはとんだ誤算だった。覚醒が切れAGIが400程度になってしまったが動き回る程度なら問題はない。

 ならばやる事は一つ。


「おっしゃぁぁぁぁ! その目ん玉よこせー!!!!」


 入ってはいけないスイッチが入った蓮見は苦しみ、呻き声をあげる三つ首の眼球ならぬ瞳集めが突如始まってしまった。衝動に身を任せる蓮見の残虐な行為に全員が言葉を失った。本来は部位破壊報酬である瞳をこのような形で強引に手を入れることで取りに行く蓮見。そこに人の欠片はなく、目を失い何も見えなくなった首は荒れ狂い始める。それでもまた一つ、そしてもう一つと蓮見に奪われていく瞳。実は瞳の部分がテクニカルヒットポイントだったりするので、蓮見のパンチ(目つぶし)は一点の狂いもなく放たれる。


 それを知らない者達は言った。


「「「「悪魔だ……」」」」


 そしてついには六つ全ての瞳を手にした悪魔は達成感に満ちあふれたように満面の笑みで美紀達の元にやって来ては言う。もはやどっちが悪魔なのかがわからない。

 そして言う。


「終わった♪」


 と。達成感に満ちあふれた声で。


「いやまだ生きてるよ?」


「あっ! ホントだ。ならこれでいいだろう」


 そう言って手榴弾を適当にポイポイと投げ始めた蓮見。

 アルティメットは何が起きたかわからぬ状態のまま光の粒子となり消えていった。

 最後はあっけない終わりを迎えた悪魔龍アルティメット。

 だけどこれは相手が悪かったとしか言いようがない。

 だって誰も目つぶし(極悪テクニカルヒット)をするとは思ってもいなかったのだから。


「ちなみにこの目ん玉六個エリカさんいります?」


「言い方があれだけど貰っていいの?」


「はい。あげますよ、その分日頃から無料で沢山アイテム貰ってますので」


 蓮見はいつものお礼にと悪魔龍の瞳をエリカにあげた。

 それから五人は街にあるギルドに戻り、クエスト達成報酬を受け取ってログアウトした。



 その後、とある新規の提示板では。

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