火の車となった運営室
すみませんでした。
完全に更新忘れてました。。。
年末年始をですね……はい、楽しんでました。。。自動更新いれたつもりで……
またこちらもぼちぼち無理なく更新していきますので、気長に暖かい目で見守って頂けると嬉しいです。皆様あけましておめでとうございます(*'▽')←一週間遅れですが
運営室にて――。
「おいおい提示板がヤバいぞ!?」
一人の男が言った。
それはもう信じられない物を見せられたように驚きに満ちた表情で。
「おい、そっちバックアップ急げ。下手したら処理落ちするぞ」
「わかってる。サブコンも動かして一生懸命やってる」
「てかどうなってるのよ、なんで海外からも凄い勢いでアクセスされてるのよ。地球の反対側って真夜中なんでしょ!?」
「知るか!? ただこれだけはわかる。俺達が思っていた以上にこの二人海外でも超人気があるんだろ!」
「ログインプレイヤーもまだまだ増えてくぞ!? サーバー持つのか!?」
「そもそも一つの板で十秒1000超え書き込みが十分以上続くとかもう規格外過ぎるだろ! お前ら自分の気持ちを一方的に書きすぎだ! 少しはコミュニケーション取れよ!」
「諦めるな。口より手を動かせ!」
「ちょっとふざけないでよ! こっちがアクセス制限かける前にどんどんログインしてこないで!」
「お前も口より手を動かせ!」
運営室は火の車となっていた。
日付は日曜日の13時過ぎと最恐と最強が戦い終わった頃。
今までない以上の同時ログイン&フィールドのNPC狩り並びに提示板への書き込みとサーバー負荷がこの日過去最高を超えた為だ。
日々サーバー強化は今後の事を考えてお金を掛けてしっかりと来るべき日に向けて用意していたのだが、どうやら神災は思わぬ形で運営にも降りかかってきたのだ。
「ったく、誰だよ。生LIVEでニコニコとYouTubeにも流そうって言った奴」
「「「「「お前だろ!!!」」」」
鋭い突っ込みに責任者が言葉を失う。
まさか全員が敵になるとは思ってもいなかったからだ。
それからしばらく機械の音だけが運営室に鳴り響いた。
――三十分後。
ようやく少しずつ落ち着きを取り戻した頃。
「死ぬかとおもったぁー」
「私もー」
「俺もー」
椅子の背もたれに全体重を乗せて意気消沈の五人。
「てかあの二人まだ切り札隠してあれだろ? マジで鳥肌立ったよ。まぁルフランは『聖剣エクスカリバー』が正真正銘の切りだから、他に切り札があると言うには微妙だがな」
「確かにな」
遠目で二人の所持スキルリストを画面に出し確認する五人。
「結局わかったのは最恐と最強は安易な気持ちで鉢合わせたらダメだってことだな……下手したら俺達がリアルで死ぬ」
「そうね。それにしてもやっぱり最強はルフランなのね」
「だな」
「ところで一つ疑問に思ったんだが、【神眼の神災】ってこれで止まると思うか?」
「「「「思わない」」」」
全員の意見が一致した。
そう第三層の悪夢は運営にも降り注ぐ程に生半可な物ではないことがこれで証明された。そして【神眼の神災】は人の都合を考えて動いてくれる程、お人好しではないと言う事も証明されてしまった。
「仕方ないな」
「どうした?」
「今あちこちで経験値稼ぎやスキル獲得が行われているが、このままじゃ全員の意欲が高すぎてプレイヤーが消化不良になってしまうってことだ。そして討伐速度が速過ぎてアルゴリズムの性質上一定時間NPCがあちこちで出ないとクレーム多発事件が起きてしまうのは時間の問題だと言う事だ。流石に第二波の神災はごめんだ」
「諦めるな!」
「無理だろ!」
「俺達の職務はなんだ!?」
「円滑にゲームを運営する事だ! 決して災害級の事案を事後処理前提で対応することではない! なにより災害を事前に防ぐ事だ!」
「だけどそれは無理だとわかった! ならやるしかないだろ!」
「俺を殺す気か、貴様!」
「んだとぉー」
「やんのか、てめえー」
運営室の空気がピリピリした物へと変わろうとしたとき、他の仲間がそれを止める。
「二人共落ち着いて。ならどうするの? そこまで言うなら案の一つや二つでもあるんじゃないの?」
「第四回イベント前にちょっとしたレクレーションをしてやろうじゃないか」
「あーあれをやるのか?」
「そうだ」
「いいだろう。見せてやれ、俺達の予備プランイベントをな。それとあれもな」
「おう!」
蓮見とルフランの活躍により、第三層はもっと奥深いステージへと変貌を遂げる事が確定した。
それも急ピッチで最終確認が行われ、告知期間僅か一週間弱での開催。
前代未聞ではあるが、参加すれば気持ちいい事があるかなぐらいの報酬の提示と後からでも手に入れられるようにと色々配慮する事で全ての問題を強引に解決していく運営。
そう、後からのクレームよりも今は目先のユーザーの維持率向上が大切と大人には大人の事情が絡んでいた。そしてなにより運営は運営でこの状況を内心楽しんでいた。無駄になるかもと思って作っていたプランがこうして役にたったのだから。
だけどそれは――。
何かの前触れにしかならないとわかるのは《《後日》》のことである。




