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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説

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不法侵入者


 ――悪夢一日前。


 翌日――金曜日の夜。


 放課後美紀と一緒に帰宅した蓮見は家の前で別れて自室のベッドの上でのんびりしていた。窓を少し開けて空気の入れ替えをしているのだが、風と一緒に楽しそうな笑い声が聞こえてくる。


 その声は二つ。

 一つは部屋の主――美紀。

 もう一つはお姉さんキャラでいつも蓮見が困っていたら助けてくれるエリカの声である。


「平和だな~」


 ベッドの上で背伸びをして呟く蓮見。

 放課後美紀と帰宅している時に蓮見も家に来るかと誘われたが今日は遠慮しておくことにした。

 別に二人と喧嘩したとかではない。

 ただ――水爆について一人ボッーと考えたいだけだった。

 昨日ゲームの中であれこれ試してみたが、何一つ蓮見が納得できる結果は得られなかったのだ。そこでどうすればもっと画期的な攻撃が出来るかを一人考えたかったのだ。


「そもそも水蒸気爆発はイフリートの時できた。となると後もう少し頑張ればできる気がするんだよなー」


 蓮見の言う水蒸気爆発とは鏡面の短剣の爆発の事である。興味がある人や忘れた人は第二回イベントのイフリートとの戦闘シーン(第45話)を読み返してもらえればと思う。ここで説明すると文字数がえぐいことに(恐らく数千文字の回想に)なるのでそれでご了承願いたい。


「だけどあんな、熱い!ぐらいのダメージを狙っても俺の陳腐シリーズ程度にしかならないしな~。俺がしたいのは全力全開の大暴れなんだよな~」


 と誰かが聞いたら、お前はもう十分に大暴れしてるからと言われてしまいそうな言葉を呟き、天井とにらめっこして考えていた。

 なぜ蓮見が力を急に求め出したかと言うと、先日たまたまギルドホームで聞いてしまったのだ。


「えー凄いじゃない! 流石ルナだね。また強くなったんだ」


「うん。これで少しはお姉ちゃんに追いついたと思う」


「そうだね。ならさ、いきなり実践も恐いだろうから力試しって意味で私のクエストに付いてきてよ。そこでスキルの練習していいから」


「本当!? ありがとう!」


「うん。里美もあれから強くなっているし、エリカさんも密かに強くなっているみたいだからルナも頑張らないとだしね」


 と言う二人の姉妹の会話を偶然聞いたのだ。

 それを聞いた蓮見は内心慌てていた。ギルド長として七瀬と瑠香の会話の中に蓮見の名前だけが出てこなかったと。それは七瀬と瑠香から呆れられ始めていて、蓮見だけが成長していないとバレているのだと勘違いをしたのだ。その為、蓮見は新しいスキルを手に入れたものの、二人の信頼を取り戻す為に早急にさらなる新しい力を手に入れようと必死だったのだ。


「それに美紀とエリカさんも最近俺とパーティー組んで出かけてくれないし……」


 蓮見は確かに一人で自由行動を選んだが、一向に手伝ってと声を掛けて貰えなかった。つまり蓮見では実力不足だと思われていると睨んでいた。


「とりあえずなんでもいいから皆が認める何かが欲しいよな……」


 ちなみに【深紅の美】ギルド女子Lineグループでは『蓮見は放置でいいよね? その方が強くなるだろうし、私達だけが置いてけぼりが一番マズいし個々の力を伸ばすのをまずは最優先で頑張ろう!』と答えが出ていたし、方向性も美紀を中心に決定していた。そもそもそうゆうのを全く考えていないギルド長には皆が伝えなくても関係がないとも判断しているのだ。それが災いに繋がるとは当然誰も思ってもいないし、そこに悪気もない。

 頭を使うのは私達女の役目で、好き勝手に暴れて頼りになる【神眼の神災】をフォローし周囲に魅せるのも私達女の役目だとギルドメンバーは思っているからだ。

 何より七瀬と瑠香は蓮見のギルドが大好きだし、蓮見の事を尊敬していた。だって、こんなにも自由に好きな人達と楽しく遊べるアットホームなギルドでありながら、必要な時は全員が真っ直ぐ同じ方向を向いてチームプレーをして、なにかあってもお互いに認め合い責める事をしないそんなギルドにずっといたいと思っていたしこれからもずっといようと思っていた。なによりかなり信用も信頼もしている。


 この状況を一言で言うならば。


 ――蓮見の勘違い


 である。


 その時、母親の声が部屋に聞こえてくる。


「蓮見いるー!?」


「なに、母さーん?」


 部屋のドアを開けて階段を下りるのがめんどくさいという理由から声を大きくして返事をする蓮見。


「ごめん、急に仕事行かなくちゃいけなくなったから、今日は夜カップラーメンで我慢してくれない? 後明日の朝とお昼も!」


「わかった! 気を付けて仕事行って来てな!」


「本当にゴメンね。ならお母さん行ってくるから。多分そのまま今日は会社に泊まって明日の夜帰ってくると思うけど大丈夫?」


「うん! 俺の事は気にしなくていいから行ってらっしゃい!」


「なら行ってきますー」


 そう言って母親が玄関の扉を開けて家を出て行く。

 相変わらず大変そうだなと思い、蓮見は母親を心の中で応援する。

 それから振り返って部屋の中に戻る。


「うわぁ!?」


 蓮見は驚きのあまり思わず尻もちをついてしまった。

 不法侵入が二人、いつの間にか忍び寄り背後にいたのだ。



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