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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説
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美紀の記憶



 蓮見がトイレに行き、一人になった美紀は軽いショックを受けていた。

 心の奥底では付き合って欲しくないとハッキリと言って欲しかった。

 それで蓮見の気持ちを確かめようとしたのだ。

 だけど結果はいつも通り、美紀自身が決めたらいいよと言う曖昧な回答。

 美紀も美紀で蓮見が美紀の幸せを願ってくれている事はわかっているし、いつも我儘を聞いてくれている事からある程度の感情を抱いてくれていることもなんとなくわかっている。だけどやっぱり肝心な所で蓮見に上手い事逃げられる、そしてそれが嫌なばかりいつも笑って誤魔化している自分がいる。


「あぁ~、また逃げられたな」


 美紀はボソッと蓮見が教室を出て行った扉をぼんやりと眺めながら呟いた。


「美紀おはよう!」


 そんな美紀にクラスの女子の一人が話しかけてきた。

 美紀の親友の一人で名前は橘ゆかりである。彼女は美紀よりも背が高く、とてもスレンダーで手や足が細い。また黒髪ロングなのだが、その髪の毛にはしっかりとした艶があり、しっかりと手入れがされている。


「おはよう、ゆかり」


「例の幼馴染君となに話してたの?」


「別になんでもないよ。ただの雑談だから」


 美紀は少し寂しそうな表情でそう答えた。

 それをみたゆかりは少し間を空けて言う。


「……そう、ただ雑談なのね」


「うん」


「それで朝クラスに来る途中で聞いたんだけど武田から放課後誘われたんだってね」


「まぁね……でも五分だけ」


「五分って……どんだけ二人きりになりたくないのよ」


「だって男子と二人きりになっても良い事なんて殆どないし」


「でも幼馴染君とはよく一緒に帰ってるよね。それも美紀からいつも誘って」


「だから蓮見は別だって。小さい頃とても仲良しでその名残。私の両親も蓮見のお母さんと物凄く仲が良いからよく小さい頃は毎日一緒に遊んだり、ご飯食べたり、夜更かししてゲームしてたから。今更それを変えようって方が無理よ」


 美紀の説明にゆかりが首を上下に動かして納得する。

 美紀はそれとは別に小さい頃は一緒にお風呂入った事もあったなと懐かしい記憶が蘇ってきたが、今思えばどんだけ大胆な事をしていたのだろうと恥ずかしくなった。昔の自分は大変積極的だったと改めて感心した。

 そのためゆかりには言わない事にした。


「ん? 美紀?」


「なに?」


「顔赤いけどどうしたの?」


「えっ、べ、別になんでもないわよ……多分。気にしないで、あはは~」


 美紀は視線をオドオドさせながら答える。

 もし一緒にお風呂に入っていたこと等を誰かに知られたらからかわれるに違いない、そう思うと変に緊張してしまった。


「ふ~ん。変な美紀」


「あはは……」


「幼馴染君って容姿平凡で勉強は出来なくて授業中よく居眠りして先生に怒られてるってイメージが私の中にあって真面目な美紀とは正反対なイメージがあるんだよね。それでいて仲良しってある意味凄いと思う」


 美紀はゆかりの言葉に納得する。

 確かにゆかりのイメージは間違っていない。というか学校の蓮見に関して言えば殆ど正解なのだ。

 でもそうじゃない部分もある。


「まぁゆかりも蓮見と仲良くなればきっとその理由がわかるよ」


 美紀はありのままを言う。

 だって最初は何処か毛嫌いしていた七瀬ですら今では少しムカつくぐらいにとても仲良しになっているのだ。それでいて瑠香からも慕われている。そう考えると、蓮見が本気で何かをしたいと思った時の人としての魅力ってとても素晴らしい物だと言える。


「まぁ美紀がそう言うなら考えとく」


「うん」


「あっ! もうすぐチャイム鳴るからまたね!」


「またね~」


 それから美紀は自分の席で今日の一日の時間割を確認し持ち物に忘れ物がないかの確認と先日出された各教科の宿題をしっかりしているかの確認と授業の復習と予習を始めた。



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