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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説
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初対面



 あれから数日後の金曜日。

 美紀の提案により見事上位入賞出来た事を祝って祝賀会をしようという提案に女子全員が賛成した為、美紀の家に四人は集まっていた。


 美紀は皆が来る前に気合いを入れて食材の買い出しから料理と準備を終わらせていた。


 そして女性全員が揃い、後は蓮見だけとなっていた。


「それにしても私の蓮見君遅いわね」


「ですね。蓮見の奴もしかして美紀の家知らないとか?」


「えー? だったら私が迎えに行こうか?」



 蓮見が来ない事にソワソワするエリカにこのまま来ないのではないかと心配する七瀬と瑠香。


「案外蓮見君の事だからここに来る道中で何か凄い事してたりして……」


 エリカの言葉に七瀬と瑠香が頭の中で考える。


 ――。

 ――――。


「「まさか……現実でそんな事――」」


 そして二人の思考がリンクし同じ事を考えてしまった。


「「――あり得る!!」」


 七瀬と瑠香の息の合った声にリビングから戻って来た美紀がすかさず言う。


「んなわけないでしょ! って二人共そこ邪魔。料理が置けない」


 七瀬と瑠香は急いで美紀とテーブルまでの道を開ける。


「わぁ~美味しそう!」


「本当だぁー!」


 目をキラキラさせる二人。

 そんな二人を避けてエリカの隣に座る美紀。

 今日は好きな人に初めて現実世界で会えると言う事でエリカは気合いを入れて化粧をしており、女の美紀から見ても正直綺麗な人だなと言う印象を受けるものだった。それに水色に桜の花びらがデザインされたスカートに春をイメージしてかピンク色のカーディガンと明るい色をベースにしている。現実世界でのエリカはゲームの中と同じく綺麗な青色の髪が何とも印象的である。苗字は渡辺と別に珍しい名前ではない。


「でもまだ蓮見君来てないわよ?」


「エリカ?」


「なに?」


「大丈夫よ。多分もうすぐ来るから」


 美紀が壁に掛かった時計に一瞬視線を向けて落ち着いた様子で言う。


「時間まで後三分もあるしね。それに本気出せば正規ルートでも一分程度だし」


 その言葉に驚くエリカ、七瀬、瑠香。

 美紀はそんな三人を見てまぁ無理もないだろうと思った。三人には蓮見とは幼馴染と言う事しか教えていないのだ。流石に隣の家に蓮見がいるとは誰も考えないだろう。ちなみに美紀の言う正規ルートとはお互いの家の玄関から玄関までの道の事を言っている。また美紀がよく蓮見家にお邪魔する時のルートの事を最短ルートもしくは近道と美紀は呼んでいる。


「美紀?」


「なに?」


「流石にあのくれ……じゃなかった、蓮見でも一分で来るのは無理でしょ?」


 まだ現実世界の蓮見の言い方に完全に慣れていない七瀬の言葉に瑠香がウンウンと頷く。


「そうよ。私の蓮見君はあくまで人間よ。空を飛んだり、ジャンプしたり、どこぞの特撮映画のアクションシーンみたいに窓からやって来るなんてありえないわ!」


 呆れたように強気で言い切るエリカ。

 現実だろうがゲームの世界だろうがあの男が簡単に常識に囚われてくれれば美紀は恋に対してここまで苦労する事はなかったと内心思っている。逆を言えば、そこが蓮見の良い所でもあるのだ。


「残念ながら、それがあるのよ」


「いやいや……」


 エリカの言葉を遮るようにして空気の入れ替えの為にカーテンだけを閉め窓を開けていた場所から蓮見が美紀の部屋に姿を見せる。部屋から部屋の移動時間は素晴らしい事に一秒程度。これが美紀と蓮見だけに許された最短ルートである。


「よっ!」


「お! 珍しいじゃない。蓮見が時間に余裕を持って約束護るとか」


「まぁな」


 ここで蓮見が驚いた三人にようやく気付く。

 三人共驚きのあまり言葉を失っているようにも見える。


「あっ皆さんお疲れ様です。すみません、なんか俺だけがギリギリに来てしまって」


「う、うん。それで蓮見は……い、今、ど、どこから来たの?」


 ようやく七瀬の開いた口が閉まり、言葉を発する。


「え? 何処って家からですけど?」


 七瀬に続くようにして瑠香が言う。


「蓮見さんはドラ〇モンか何かで?」


「えっと……その話し方はルナか! 急になに意味がわからない事言ってるんだ?」


 普段から意味がわからない事を言っているお前には言われたくないと言う視線に蓮見が苦笑いをする。まぁ無理もないだろう。会ってまだ間もないとは言えゲームの中であれだけ盛大に振り回された人間からしたらこれが普通の反応なのかもしれない。その証拠に少し視線を泳がせれば、瑠香だけでなく、エリカと七瀬もそうだ!と目で訴えているように見えなくもない。美紀に限っては蓮見と視線すら合わせようとしてくれない。


「あはは……」


「ここ二階ですよ?」


「そうだけど……?」


「ったく、仕方ないわね~」


 状況の整理が追いつかない女三人と誰が誰なのかそして皆の本名と名前すら知らない男の仲介に美紀がようやく入る。

 そして美紀が女三人に蓮見家が隣にあり、窓から窓へ飛び移った事、そして蓮見には全員の現実世界での自己紹介を簡単にした。


 ……――。

 …………――――。


「エリカさんって本名可愛いんですね」


「ふぁ!!!」


 急に赤面顔になったエリカは。


「う、うん、ありがとう。でも美紀がさっき言ってたみたいにこっちの世界でもエリカって呼んでね」


 と言った。

 化粧をしたエリカはこちらの世界でも、やっぱりとても綺麗なお姉さん。

 それでいて照れた顔もまた可愛くて、年上なのに話しやすい人だと言うのが蓮見の印象だった。逆に水樹姉妹はゲームの世界と変わらずって感じがして、これはこれで親しみやすい姉妹と言うのが蓮見の感想である。


「わかりました」



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