アイコンタクト
全員の休憩が終わり、イベント開始から六時間が経過した。
「そうゆうことだけど最後は紅次第になると思う。大丈夫かしら?」
美紀が七瀬との会話を伝える。
エリカと瑠香は話しの流れからここが最後の正念場になるのだと感じてか心配そうに蓮見の背中を見守っている。
「別に俺は構わないけど?」
「ちなみに綾香に対する勝算はあるの?」
七瀬の質問に蓮見が首を傾げる。
結局の所、蓮見が負ければ他の全員が幾ら頑張ってもあまり意味がないのだ。
かと言って大型ギルドのように最小限のリスクだけで戦果を得られる程、【深紅の美】ギルドに力はない。
つまり利用できそうな物は全部利用する。
それしか【深紅の美】ギルドが最後まで生き残る方法が今の美紀と七瀬の頭の中には思い浮かばなかった。
というのも、多くの小規模、中規模ギルドはすでに第三回イベントから大半がリタイアしている。残った小規模、中規模ギルドはお互いに潰しあったり、手を取り合ったりとまずは生き残ることに力を入れ始めている。
対して【深紅の美】ギルドの目標はイベント上位に入ること。
そうすればイベント限定アイテムを手に入れる事ができるためである。
「ん~、そうだな~」
腕を組んで考える蓮見。
『なさそうね』
七瀬アイコンタクトで美紀に言う。
『そうね。これはないわね』
美紀もアイコンタクトで返事をする。
『どうする?』
『どうせいつものパターンで今はってなると思うけど?』
それから自分の世界に入り一人考える蓮見を他所に瑠香とエリカも話し合いに加わり、七瀬と美紀が【雷撃の閃光】ギルドを含めた敵ギルドの偵察へと向かう事となった。
「なら行ってくるわね! あ、あとエリカアイテムこんなに沢山ありがとう」
「後は任せたわよ、ルナ! それとエリカさん妹と紅をお願いします」
「は~い。二人共気を付けてね」
「お姉ちゃん任せて!」
美紀と七瀬は前回【雷撃の閃光】偵察部隊が攻めて来た方向に向かって走り始めた。
——エリカさん曰く、表面に『爆』って書いてある奴が爆発して、書いてない奴が爆発しない方の装置らしいけど、なんで同じ名前ので二種類の自動音響装置作ったんだろう?
七瀬はふとそんな事を疑問に思った。




