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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説
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まずは女三人活躍


 会話文以外で蓮見を紅、美紀を里美と書いてある所がありますがここでは意図的にそうしておりますので間違いではありません。



 男は全身を震わせている。

 そして走るようにして、逃げ始める。


 エリカは場所を聞き、念の為に男を尾行しようと考えていたのだが男の逃げ足はさっきより速くなっていた。


「ルナー? 悪いけどアイツ足早いから追いかけてくれない?」


「わかりました」


 人間爆発がないとわかった七瀬の手が離れた瑠香はエリカの言葉通りすぐに男を追いかけ始める。どうしても瑠香よりAGIが低くおいて行かれる形になった二人はマップに表示された瑠香の位置情報を頼りに追いかけていく。




「あっ、エリカさん、お姉ちゃんここみたいです」

 目の前には一軒家が建っており、それを包囲するようにさっき逃げた男を含めたギルドメンバーが囲む。ギルド長はどうやら一軒家――拠点の中らしい。


「ルナいい子ね、よしよし」


 エリカは瑠香の頭を撫でる。


「見えるだけで数は全部で十五人。ちょっと三人じゃ正面突破はキツイですね」


【深紅の美】ギルドと同じく小規模ギルドらしい。小規模と言っても人数では一人から最大五十人まで可能である。また五十人から百人が中規模ギルド、百人以上を大規模ギルドと枠組みがある。


 そして【深紅の美】ギルドが当初考えたのは、ギルド長を片っ端から全員倒して行けば拠点は一つで後はそれを守り通せばいいのではと言う作戦だった。とは言え、周囲のギルドはある程度は潰しておかないとギルド同士で手を組まれて包囲され攻め込まれたらと言う懸念からこのように自ら攻撃にも人員を回している。


「……仕方ないわね。紅君のアイデアを盗んで作ったこれを早くも使うしかなさそうね」


 その言葉に茂みに隠れた状態で七瀬と瑠香の視線がエリカだけに集中する。


「なんですか、それ?」


「紅さんが考えた物……とは?」


 二人は先日の一件を思い出す。

 悪魔アリステインと闘った時、確かにエリカの発明品で死に掛けた嫌な記憶を。

 考案者が紅で発明者がエリカの物は特に注意が必要だと身をもって知っている。


 ――冗談抜きで死ぬのだ!


「なにって、ただの音発生装置よ?」


 七瀬と瑠香は胸の中で安心する。

 流石に音発生装置では相手も自分達も死ぬことはないからだ。


「ってことで行くわよ」


「「はい!」」


 エリカはその場に装置を置いて、瑠香とエリカが前衛、七瀬が後衛で敵拠点に向かって歩いて行く。


「ちなみに地盤が少し揺れるけど気にしちゃダメよ」


 エリカ達の襲来に気付いた敵ギルドメンバーがこちらに向かって武器を構え警戒する。

 どうやらこちらから攻撃をするまではギリギリまで様子を見るつもりらしい。


「悪いな、エリカ。俺もそう負けてられないんだ」


 さっき逃げだした男が余裕の笑みを浮かべて言う。


「そうね」


 敵の前衛が男の合図を見て、飛び出してくる。

 瑠香とエリカが武器を手に取り、護りに集中する。

 だが徐々に減っていくHPとかすり傷。それでも二人は隙を見て反撃をしていく。

 美紀と比べれば、さして脅威ではなかった。


 七瀬が急いで『恵みの光』を使い二人の回復に入ると同時に『水手裏剣』を使い二人を援護する。敵の前衛もこちらの反撃を受けて徐々にHPが減っていくが中々減らない。そしてHPが八割から七割まで減ると一気に全回復する。敵の後衛部隊が回復魔法を使っているためである。


「後十秒もしたら私の自動音響装置が発動する。それと同時に合図を出すから一気に後方まで攻めてくれない?」


「わかりました」


 敵の後衛部隊も魔法を使い前衛部隊を支援するが、七瀬が『導きの盾』を使い二人を護る。MPの消費量が激しくこのままでは長く戦えないと思い悩む。


「よし、まずはエリカだ。態勢を崩した!」


 エリカの構えが崩れ、後手に回り始める。

 敵はそれを見逃すことなく、まずは立ち回る事が出来なくなったエリカを集中砲火する。

 瑠香は足止めされ、七瀬はこれ以上二人の支援をする余裕がなかった。


 だがエリカの表情はまだ死んでいなかった。

 そして後方から蓮見の笑い声が聞こえる。そして地面が揺れる。


 その声に全員が反応する。

 七瀬と瑠香は何故《《紅》》がここに?

 敵はマズい【神眼の天災】が早くも三人に合流しようとしていると言う感覚に襲われる。

【神眼の天災】が来ると言う事は間違いなく《《里美》》もそこにいる。

 更には地面が僅かにだが揺れる程の勢いでこちらに向かって来ている。

 それが敵の冷静な判断能力を奪う。


「今よ!」


 その言葉にまず瑠香だけが正しく状況を理解した。

 これはエリカの作った自動音響装置だと。


 ――ドカーン!!!


 かと思った瞬間、後方で爆発が起きる。


 ――えぇぇぇぇぇぇぇぇ!?


 エリカさん……私爆発は聞いてないけど……


 ――えぇーーーーーい! とりあえず敵が優先!!!


 ただのアイテムが更にリアリティを追求する。

【神眼の天災】と言えば火事と毒だが、火事の元は爆発。よって敵は嫌でもそれを無視するわけにはいかなかった。身体が反応してはいけないとわかっておきながら、どうしてもその方向を気にしないわけにはいかない。



 敵後方部隊は本来は前衛味方部隊の支援と今も一直線に近づいてくる瑠香の迎撃に集中しなければならない。だがその後の【神眼の天災】対策に頭が働いてしまう。第三回イベント前からあれだけ皆が過剰に意識していた為である。



「スキル『水流』『ペインムーブ』!」

 瑠香は『水流』を連続で二回使い敵の注意を引き付ける。そしてMPがなくなるまで連続で『ペインムーブ』を使い続ける。レイピア専用スキルの六連突きによる連撃。後方にいる六人の致命傷となる場所を狙い放たれた。


 一人また一人と光の粒子となって消えていくが二人のHPだけが僅かに残ってしまう。


 最後は二体の水流で止めを刺した。


 地盤を揺らし更には爆発、ここにエリカは苦戦をしていた。

 当時は盛大に派手に暴れたいと言う蓮見のおふざけ心が生んだアイデアは本人の予想とは別の方向で有効的に使われた。


「ミズナ!」


 エリカの言葉に今度は七瀬が我に返り状況を正しく理解する。


 ――なにあれ……私、本当に紅が来たかと思ったんだけど……


 敵前衛部隊の視線が爆発の方を見て動きが一瞬止まった隙をついてエリカが七瀬の方に走って逃げてくる。


「ええい! もうどうにでもなれ! スキル『焔:炎帝の怒り』!」

 七瀬は今あるMPゲージを全て使い、半ばやけくそになって敵前衛部隊に向かって魔法を発動する。

 赤い魔法陣が赤く光始めると、一直線に目標目掛けて待機中の空気を圧縮し放たれたかのように勢いよく燃え盛る炎が飛んでいく。


 そのまま七瀬の魔法によって敵前衛部隊が大ダメージを受ける。

 後方支援がいきなりなくなり動揺した前衛部隊に今度はエリカが止めを刺していく。


「とりあえずこれでギルドメンバーは全滅と。さぁギルドメンバーが復活する前にギルド長と言いたいけど、拠点を破壊した方が早そうだしミズナとルナに後は任せたいけどいいかしら?」


「いいですよ」


「任せてください」


 二人はそう言ってMP回復ポーションを飲んでから、拠点の破壊を始める。

 仲間を倒したエリカ達の前にギルド長が姿を見せる事はなく、そのまま拠点破壊に成功した。そして壊れた拠点がすぐに復元され【深紅の美】ギルドの支配下に入る。


 とりあえず三人は予備拠点の確保に成功したので、エリカがこの日の為に気合いを入れて作った罠を周囲にありったけばら撒いて蓮見達の元に戻る事にした。



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