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とりあえずカッコいいのとモテそうなので弓使いでスタートしたいと思います  作者: 光影
一章 神災者爆誕と俺様全力シリーズ伝説
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その日蓮見は知る


 しかし相手の動きが遅すぎるので……。


「スキル『迷いの霧』!」

 蓮見を中心として、毒の霧が発生して男の視界を奪い、毒によるダメージを与える。

 蓮見はそのまま武器を構えず、後ろに後退する事で、男の七連撃を躱す。


「あれ、……何か手ごたえがない……」


「ちぃ、小賢しいガキめ。どこ行きやがった」


 この時二人は驚いていた。

 一人は今までトッププレイヤーやボスばかり相手にしていた為に、手ごたえが感じられず。


 一人は毒の霧を発生させて、姿を暗ます事で攻撃を躱してきた事に。


 蓮見は今まで第一回イベントでは里美に負け、第二回イベントでは機械少女に里美の力ありきで引き分け、そして先日綾香にも引き分けており、強い相手には勝った試しがなかった。

 だから自分はかなり弱いのだと思っていたが、どうやらそうでもない事に気付く。


 ――が。

 この天災の発想はいつも周りの斜め上を行く。

 だからこそ誰にもこの成長を止められない事は今さら言うまでもなく。


「なるほど……。上には上がいるように、下には下がいるのか!」

 と手をポンと叩いて納得を始める。

 あくまで自分はまだまだ初心者に毛が生えた程度だとこの男は思っているのだ。


「よしこうなったら、ちょっと試してみるか! スキル『迷いの霧』!」

 更に毒の霧を発生させて効果範囲を広げる蓮見。


「俺を舐めるな! スキル『烈風』!」

 男を中心として周囲の風が巻き上げられ、毒の霧が上空に飛ばされていく。


「ありゃ……そうくるの……」


「まだ武器も構えねぇとはいい度胸じゃねぇ……かってなんだこの人の集まり……」


 視界を奪っていた毒の霧がなくなると、そこには蓮見と男の決闘を多くのプレイヤー達が野次馬となって集まっていた。

「ヒューヒュー女を取り合って決闘か!?」


「ほどほどに二人共頑張れー」


 と数々の声援が聞こえてくる。


 そして聞き覚えのある声も。


「くれないーーーー!! 早く勝負を付けて私と出かけるわよーーーー!!!!」


 と美紀の声も聞こえてきた。

 美紀の機嫌を損ねると大変なので、蓮見は武器を構える。

 弓を手に持ち、矢を構える。


「悪いがこちらも反撃する」


「来い! 雑魚が! 女は俺の物だ!」

 男は叫びながら近づき、槍で攻撃していくが、疾風装備となった蓮見のAGIはかなり強化されており、余裕で躱す事が出来た。


 ――そう言えば、機械少女は攻撃を躱しながら、間合いを作って矢を放っていたな


 蓮見はあの日の機械少女の動きを頭の中でイメージして躱していく。

 そして今までとは違い闇雲に動くのではなく、相手の動きを見て落ち着いて攻撃を躱し隙を見て矢を放ち反撃していく。やはり対人戦で一騎打ちとなるとKillヒットやテクニカルポイントは中々狙えない。


「こうなったら俺の必殺スキルを見せてやる。ありがたく思えガキ、スキル『破滅のボルグ』!」

 男が後方に大きくジャンプをして槍が黒味のかかった暗くも白いエフェクトを放ち始める。


「ヤベぇ、あれは……」

 この時、蓮見は焦った。

 これは美紀の必殺スキル。効果は嫌と言う程わかっている。

 命中率は100%で回避不可能。攻撃力は使用者のSTRに依存。

 そして男は投擲の構えを取り、全力で投げる。


「仕方ない。悪く思うなよ、スキル『迷いの霧』『虚像の発火』!」

 槍は最短ルートを通って目標に向かって飛んでくる。

 つまり動きを予測する事は可能なわけで、まず毒の霧を周囲に発生させることで男の追撃を阻止しながらすぐに弓を構え反撃する。

 そして蓮見は『虚像の発火』で男の槍を撃ち落とす。


「まだまだ、スキル『連続射撃3』!」

 毒の霧で姿を隠しながら、男のテクニカルヒットポイントを目掛けて放つ。

 男は美紀みたく槍を回収する手段を持っていないのか、こちらに走りながら己の運動神経だけで矢を躱す。


「舐めるな、クソガキ!」


 蓮見はこの時少しだけイラっとしてしまった。

 ガキガキばっかり言ってくるこの男に。

 そして蓮見は弓を静かに構える。

 男とは違って赤と黄色い丸が相手の場所そして相手の武器の場所も教えてくれる。


「悪い……少しイラっとした」

 そう呟いて槍を掴もうとした男の心臓を狙って矢を放つ。

 毒の霧の中は視界は悪く、男は反応が遅れそのままKillヒットを受けて敗北した。

 決闘に負けた男がその場に膝から崩れ落ちると美紀が走ってやって来る。


「さすがぁ~私の紅ね!」


 その時、男はようやく気付いたようだ。


「紅ってもしかして……【神眼の天災】……。でもなんで……【神眼の天災】は【紅】装備のはずなのに……」

 どうやら装備が違った為に、噂でしか【神眼の天災】について知らない人間には分かりにくかったらしい。


「べぇーだぁ。覚えておきなさい! 私を好きにしていいのはギルド長である紅だけよ!」


 美紀は舌を出して、男に言う。


 そして美紀は蓮見の手を取り、

「なら私は紅と今夜一緒に過ごすから、じゃーねダサい白馬の王子ちゃん」

 と言ってフィールドへと向かって歩き始める。


「ありがとう、紅。ちょっと嬉しかった。紅が私の為に頑張ってくれて」


「そっか、なら良かったよ」


「なら今日は決めた。これから私の男よけの為に紅をカッコイイ王子様にする!」


「つまり、どうゆう意味?」


「この私が愛情を込めて、紅の相手をしてあげるわ!」


「あっ、ゴメン、急に体調が……ああああああああああたすけて~~~~」

 蓮見が強引に美紀の腕を離して立ち去ろうとするが、美紀の力が強く苦戦してしまう。



 それから二人は一時間とちょっとと限られた時間では合ったが第三回イベントに向けて修行を始める。

 その日、蓮見は知ってしまった。

 美紀の前では蓮見の力などまだまだちっぽけな物でしかないと。

 夜の森で情けない男の声が木霊する……がそうゆう時に限って当事者達を除き誰も見てない、聞いてないのもまた事実であった。



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