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便り2

「もう一度繰り返そう。年の瀬のカウントダウンまでに手を打つべきだったんだ。こんなこと言ってももう遅い。覆水盆に反らずか。この手紙を読んでいる誰かも気を付けなければいけない。そう、この手紙は名も知らぬあなたを救うためにもあるのだ。断っておくがこれはサバイバルゲームなんかじゃない。今、この世界で本当に起きていることだ。それはさておき、我々が命がけで調査した奴らの習性を伝えよう。これはきっと役に立つ。

 その壱、奴らは足がとても早い。チーターなんか遠く及ばないまさしく足の生えたハヤブサだ。陸上で見つかったらまず逃げられない。一方でとても泳ぎに疎いことも判明した。仲間の一人が捕まる寸前、捨て身で奴もろとも川にダイブした。そのとき奴は動きが途端にぎこちなくなって、水槽の亀よろしく静止してしまったんだ。奴がのろのろと平泳ぎしている間に仲間は魔の手から脱出できたんだ。しかしここで注意しなければならないことは奴らは決して泳げないわけじゃない。調子にのった他の仲間が池に落ちた奴らにお尻を向けてギリギリまで馬鹿にしていた。陸地に指をかけた瞬間の奴の瞬発力といったら、ああ、忘れはしない同胞の最後っ屁、いいや叫びを。

 さて、特筆すべきその仁を教えよう。奴らは暗闇では全く視認できない。理由はその俊敏な動きのためではなくて、吸い込まれそうな黒い皮膚によるものだ。月明かりの届かない林は余りにも危険すぎる。食料に飢えた仲間が制止を振り切って山に向かった。僅かな光線も届かない竹林は奴らの格好の狩り場だというのに。案の定翌日の朝、彼の遺体が見つかったと報告が入った。現場へ駆けつけると彼の骸が無惨にも。ああ、忘れはしない同胞のジャケットが倍近く膨れるほどのタケノコの束を。

 そして最後に吉報だ。これまでの説明では、奴らから逃げ惑う術など皆無だと思うだろう?しかしそんなことはない、現に僕らは生きている。実は奴らの記憶はそう長くは保たれない。その性質を逆手に取って辛うじて逃げ延びることができている。焦らさないで教えて欲しいなら、それに応えるまでだ。ーーーには川に囲まれた洞窟が存在する。目を凝らしても発見しにくいが、それだけではない秘密がある」

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